Daily Archives: 2015年5月8日

「きれいに稼ぐ」 第3回哲学カフェ「竜宮城」へのお誘い

前回3月15日に開催した第2回から間があいてしまいましたが、第3回哲学カフェを開催します。今回は「きれいに稼ぐ」ことについて話し合ってみたいと思います。

第1回のカフェは「お金の取れるサービスとは」と題して、お客さんに喜んでお金を払ってもらえるサービスを考えてみました。話し合ってみて、ニーズを満たすことは相手の弱みにつけ込むことに近いと考えている自分に気づきました。そこで立場を変えて、顧客として「気持ちよくお金が払える時」とはどのような時なのかを第2回のカフェで話し合ってみました。そこで気づかされたのは、気分よくお金を払ってくれたからといって受け取る側の気持ちがすっきりするわけではないということです。極端な例を挙げると、詐欺です。人を騙してお金を儲けても幸せではない気がします。たとえ相手が喜んでいたとしても。

やはり受け取る側の満足感に着目しなければならないということで、今回の提案です。第1回のカフェで「金銭を超えた価値があって、その部分に価格をつけられない」と教えてくれた方がいます。お金を受け取っても、それが金銭を超越した価値に対する謝礼であるなら、それはお金であってお金でないということでしょうか。お金の持つ穢れみたいなものが祓われているのでしょうか。第2回のカフェの後、タイで訪問した赤十字社関連のリハビリ施設について少し書きましたが、基本無料で診てもらえて、あとは寄附のみというこの組織、働く人の士気は高いと感じました。

基本無料でサービスを提供し、受け手が感謝の気持ちを表したければお志を頂くという商売(?)の仕方は「きれいに稼ぐ」姿になっている気がします。(いつもそんな「きれいごと」で済むとは思えませんが。)これも第1回のカフェで教えていただいたことですが、アーティストの作品に自分で価格をつけて払うという仕組みがあります。これなんかもきれいな稼ぎ方だなあと思いますが、自分から金品を要求しなければ、きれいな稼ぎ方になるのでしょうか。

たぶん極端な例をみているだけで、現実には、金品を要求していても「きれいな稼ぎ方」だなぁと感心するようなビジネスがあるのだと推測します。ただ安い物やサービスを顧客が納得する値段で提供したとしても「きれい」ではないような気がします。頑張っているなぁとは思うでしょうけれど。

格好いいとかスマートというのともまた違う気がします。「格好良く稼ぎたい」と言われると、自尊心を満足させるだけかと突っ込みたくなります。炎天下、地面にビニールシートを広げて商品を並べ、汗をかきながら物を売るのは格好悪いことでしょうが、見た目同じようなことをして「きれいに稼ぐ」ことは可能な気がします。汚い仕事できれいに稼ぐことは可能であろうと思います。

あとは「きれいな金」と「きれいに稼ぐ」ことの関係、逆に「汚い金」と「きたなく稼ぐ」ことの関係も気になっています。きれいに稼いだお金はきれいなのでしょうか。きたなく稼いだ金はたしかに汚い気がしますが、「きたなく稼いできれいに使う」という言葉もあるので、きれいに使えば汚い金もきれいになるのでしょうか。「きれいに稼ぐ」ことと「きれいに使う」ことは違う話なのでしょうが、同じ世界に属することのようにも思えます。

とりとめなく書きましたが、こんなようなことからお金の持つ力について考えられたらと思っています。

日時:2015年5月24日(日曜日) 13時30分から15時30分まで
場所:北陸先端科学技術大学院大学 先端領域社会人教育院 (東京サテライト)
会場:Room A/B (定員40名程度)
住所:東京都港区港南2-15-1 品川インターシティA棟19階
品川駅近くです.アクセスについてはこの案内の最後をご覧ください.
参加費:無料(事前のお申し込みをお願いします)

お願い:本会は哲学「カフェ」なのですが、会場運用の都合上、飲食に制約があります。飲料を持ち込むことはできますが、ペットボトルや缶、蓋付き紙コップなど、内容物がこぼれにくいものでお願いします。お弁当やサンドイッチなどは食べられません。スナックや菓子類などもご遠慮ください。ご不便おかけしますがご協力よろしくお願いいたします。

代表 (申し込み・問い合わせ)
藤波 努 (北陸先端科学技術大学院大学 ライフスタイルデザイン研究センター)
メールアドレス fuji@jaist.ac.jp
電話 0761-51-1716 (直通)

[参加を希望される場合] 下記のフォームに必要事項を記入してお送りください.
参加申込先:fuji(at)jaist.ac.jp
上記(at)部分は@マークに置き換えてください
——————————————–
(1)参加者氏名:
(2)参加者連絡先
氏名:
所属:
E-mail:
——————————————–
・いただいた情報は本会の連絡のためだけに利用します

ご参考:
北陸先端科学技術大学院大学 http://www.jaist.ac.jp/index-j2.html
知識科学研究科 http://www.jaist.ac.jp/ks/index.html

これまでに開催した哲学カフェ「竜宮城」の記録:
– 「お金の取れるサービスとは」 哲学カフェ「竜宮城」へのお誘い
http://www.jaist.ac.jp/~fuji/wp/?p=2800

– 哲学カフェ「竜宮城」に参加してくださった皆様へ
http://www.jaist.ac.jp/~fuji/wp/?p=2818

– 「気分良くお金が払えるとき」 哲学カフェ「竜宮城」へのお誘い
http://www.jaist.ac.jp/~fuji/wp/?p=2823

– 第2回哲学カフェ「竜宮城」にご参加いただいた皆様へ
http://www.jaist.ac.jp/~fuji/wp/?p=2833

カフェフィロとは?
http://www.cafephilo.jp/aboutus/aboutus0.html

寺田 俊郎 (上智大学文学部哲学科)
http://rscdb.cc.sophia.ac.jp/Profiles/70/0006927/profile.html

藤波 努 (北陸先端科学技術大学院大学)
http://www.jaist.ac.jp/~fuji/

——————————————–
補足1 哲学カフェってなに?

哲学カフェに決まった定義があるわけではありません。共通するのは、進行役がいて、テーマを設け、その場にいる人たちが話して聞いて考えるというシンプルなつくりです。ですから主催者や進行役によって雰囲気がちがってきます。徹底討論する、じっくり対話を進める、その場でテーマをつのる、進行役がテーマを提示する、哲学の知識・歴史をフル活用する、日常経験を活かす、などなど。「カフェフィロ(Cafe Philo)」が開く哲学カフェはケンケンガクガクの議論というより、<話すー聞く>を丁寧に積み重ねてじっくり考えることがおおいです。それでも進行役の個性や場所の雰囲気によって違ってきます。いろいろなカフェに参加して進行役の個性や違いを味わうのも、哲学カフェの楽しみ方の1つと言えるでしょう。
(http://www.cafephilo.jp/activities/activities_cp.html より抜粋)

補足2 北陸「先端科学技術」大学院大学と哲学がどう関係するの?
北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)は科学技術を教育研究する国立大学ですが、イノベーションやサービスなども得意分野です。理系に特化しているわけではありません。本会を主催する知識科学研究科は「知識」をテーマとしており、同じく知を扱う哲学とも緊密な関係にあります。

補足3 なぜJAISTで哲学カフェを開くの?
実は主催者(藤波)は学部生の時に哲学を専攻しておりまして、現在は科学技術分野にいますが、哲学的な課題は常に頭の隅にあります。哲学カフェは答のない問いに多面的にアプローチする際に有効と感じていますし、重要な問いは誰でも参加できる場で議論すべきと考えています。7年ほど前のことですが、以前にも哲学カフェを開いたことがあります:

・地域で「老い」について考える 哲学カフェ「竜宮城」
http://www.jaist.ac.jp/event/2008/post-42.html
http://blog.cabrain.net/CN008041/article/id/21775.html

——————————————–
会場へのアクセス:
・JR東海道本線・横須賀線・山手線・京浜東北線「品川駅」
・JR東海道新幹線「品川駅」港南口 徒歩3分
・京浜急行線「品川駅」高輪口 徒歩5分

詳細は以下の地図をご覧ください
http://www.jaist.ac.jp/satellite/sate/access/index.html
JR品川駅の中央改札を出て「港南口」方面へ歩いていくと連絡歩道があり、ビルまで直結しています。港南口から右斜め方向にインターシティのビル群が見えます。駅に一番近い楕円形ガラス張りの高層ビルがA棟です。そのビルの19階に東京サテライトがあります。歩道橋伝いに入館していただくとそこが2階です。2階入口正面にエスカレーターがありますので、それを使ってまず3階に上がって下さい。3階からエレベータで19階まで上ってください。19階で停まるエレベータは3列あるうちの中央列に並んでいます。(ほかの列にあるエレベータは19階で停まりませんのでご注意下さい。)