Daily Archives: 2016年11月24日

編み物で感じる空(縁起)

手編み(棒針使用)続行中。ようやく表目と裏目の違いが体感できてきた。糸のテンション保持も安定してきた。興味深いことにピアノの演奏技術が向上した。普段、ピアノ演奏で使わない(指を中心とした)筋肉を使うからだろう。苦手だった指(薬指とか)がしっかり鍵盤を押さえている。不思議なものだ。異なった技能間の転移はないものと思っていたが、筋トレ(?)するだけで出来るようになることもあるらしい。

このくらいのアクリルたわしなら1時間くらいで編めるようになった。まだちょっと形が歪むけど。。

このくらいのアクリルたわしなら1時間くらいで編めるようになった。まだちょっと形が歪むけど。。

しばらく前に中村 元 (著)、「龍樹」 (講談社学術文庫)を読了。中観理論の核は縁起(説)だと理解した。縁起をどう理解するかは人それぞれだと思うが、編み物していて縁起(あるいは空)を感じた。編み物は一本の糸が自らに絡まる(結ぶ)ことで構成される。一本の糸からマフラーが出来たり、手袋、帽子、セーターなどいろんなものができるのは驚きである。しかも完成品の端から糸を解せば(ほぐせば)再び一本の糸に戻る。

一本の糸から形ができ、解けば元の一本の糸に戻ること。そこに生と死を感じる。糸が自身を拠り所として絡みつき、形ができる。しかし時が来て結び目が解かれれば一本の糸に戻る。セーターに見えていたものは一本の糸であった。形ができる前も形をほどいた後も(形になっているときも)、あるのは一本の糸である。それは無くなりはしないし、生まれることもない。これは中観の思想だ。

編み物をトポロジーで語る本(Making Mathematics with Needlework: Ten Papers and Ten Projects)があって、面白そうなので結局買ったが、Quantum topology というものがあるらしく、topologyを導入することで量子計算を安定させられるという。生命は編み物なのだ。3次元で絡まる糸が構造的には一番安定するらしい。そういうわけでDNAは立体構造になっている。2次元でも4次元でも駄目で、3次元であることに意味があるらしい。そんなわけで編み物は人を瞑想に誘います。