二日、三日と滞在するうちに徐々に体が気候に馴染み、道を思い出し、食べ物の味を思い出す。旧友らと会い、この三年間に起きたことを互いに報告し合う。僅かな期間であるが町は結構変わっていた。人もまた変わっていた。
Monthly Archives: 3月 2017 - Page 2
復帰@Malta
back to Malta
久しぶり(3年ぶり)にマルタ島に来ました。微妙に街並み(お店等)が変化していて戸惑いますが、気分は快調です。
Hi, I am now back to Malta (after three years of absence). I feel good though slight changes of streets and shops puzzle me a bit. Dear islanders, contact me if you have time for a cup of coffee, please. Friends, I would like to renew our ties. I am leaving next Wednesday. I am flexible till then. Yours sincerely, Tsutomu
灰色の犬、またはウェプワウェト Wepwawet
灰色の犬、またはウェプワウェト Wepwawet: 夢で見た「灰色の犬」が気になっていた。こげ茶の犬がアヌビス anubis だったとして灰色の方はなんだったのか。図書館で「古代エジプト神々大百科」を借りて調べてみた。するとウェプワウェト Wepwawet が該当することがわかった。
ウェプワウェト Wepwawet はアヌビスとは起源が異なる、別の神で「道を切り開く者」であるらしい。「死者の魂を冥界へと導くための道を切り開く者と見られるようになった」とある。耳が短いところとか灰色であるところが自分のみた犬の特徴に当てはまる。
(出典 https://en.wikipedia.org/wiki/File:Wepwawet,_664–332_B.C.E.,16.580.168.jpg)
(出典 http://www.egyptianmyths.net/wepwawet.htm)
振る舞いがほかの犬と違って、挙動不審な感じがしたのだが、戦争と関係があるとわかって腑に落ちた。死者を冥界へと先導してくれるのだろうが、守ってくれる感じはなくて戸惑っていたのだが、別の神なのであれば納得。
アヌビス anubis
アヌビス anubisについて:
2017年1月30日にみた夢の話の続き。最初の夢で家の中に沢山の犬が入ってきたと書いた。なぜ犬なのかということがひっかかっていて、頭の隅で「アヌビス」anubis という単語が繰り返しささやかれるので調べてみた。エジプトの神様で、犬の頭を持ち、死と関係しているということは知っていた。
– How Anubis Became God of Embalming
http://www.ancient-egypt-online.com/images/anubis-embalming-osiris.jpg
(出典 http://www.ancient-egypt-online.com/anubis.html)
http://pimm.barkpost.com/wp-content/uploads/2014/03/anubis-and-dog-ancient-egypt.jpg?q=70&fit=crop&crop=entropy&w=808&h=500
(出典 5 Ways Ancient Egyptians Were More Obsessed With Their Dogs Than You
http://stories.barkpost.com/ancient-egyptian-dogs/)
https://en.wikipedia.org/wiki/Anubis
http://www.touregypt.net/images/touregypt/dog19.jpg
http://animal-store.ru/img/2015/050210/1353090
anubisの犬頭がどの犬に発想を得たかというと、チズム tesem という説がある。これにもっともよく似ている現代犬はファラオ・ハウンド pharaoh hound らしい。
https://ja.wikipedia.org/wiki/チズム
http://p.twpl.jp/show/orig/yrPCU
(出典は http://ameblo.jp/kuro-inu-kennel/entry-11021136221.html)
この犬が夢の記述で「母犬」と呼んでいるものに最も近い。自分の見たものはもう少し色が暗めだったが、姿形はほぼこの通りである。
「石でできた犬」と呼んでいるのは以下の絵のものに近い。耳がもう少し短かったけど。
https://retrieverman.files.wordpress.com/2012/04/egyptian-dalmatian5.jpg
出典 https://retrieverman.net/2012/0/page/103/
あるいは以下の彫像にあるもの
http://www.ancient.eu/uploads/images/display-4499.jpg?v=1485681704
http://www.ancient.eu/image/4499/
原種はすでに絶えたか、長い年月の間に雑交して消えてしまったらしい。
– The dogs of Ancient Egypt
http://www.touregypt.net/featurestories/dogs.htm
もう一種の「子犬」と呼んでいるものは Golden Jackal のような気がする。
https://en.wikipedia.org/wiki/Golden_jackal
anubis はエジプト最古の神々のひとつで死者を冥界(地下世界)へと導くものらしい。墓場に犬がたむろしているのを古代の人々がみてそんなことを発想したという説もあった。私を取り囲んだ犬たちが anubis だとするとF先生の魂はこれらの神々に守られて黄泉の国へ旅立っていったと思われる。二つ目の夢が階段を下りていき、能楽堂に至るというのも合点がいく。能では夢の中に霊が現れて「昔の出来事について舞ってみせ、旅人の夢が覚めるとともに、消えていく」ものだから。
http://www.the-noh.com/jp/sekai/forms.html
その他の参考資料
– Podenco, http://de.academic.ru/dic.nsf/dewiki/1117367
http://de.academic.ru/pictures/dewiki/80/Podenco_Canario_2.jpg
– Farao Anubis
http://www.faraoanubis.com
http://cdn-www.dailypuppy.com/media/dogs/anonymous/ra_pharoahhound06.jpg_w450.jpg
http://animal-store.ru/pet/древние-собаки/
大勢の犬と二つの能舞台
2017年1月30日朝、二つの夢を続けてみた。この日は月曜日だったが代休をとり、ゆったりと過ごしていた。普段、夢をみることはないが、この日は鮮やかな夢を続けて見、内容が印象深かったので、翌日、メモをとったくらいである。最初の夢は以下のようなもので、大勢の犬が家の中に飛び込んできて暴れ回るので、一喝して追い出すというものだった。
[後からblogに載せるつもりで、翌日、英語で書いたものである。]
I had two dreams. In the first dream, I was in a house, which I do not recognize. A flat, simple house. I was probably with my wife. It was felt like our home. Looking outside, I noticed a puppy by the window. He stared into mebehind the glass. I moved to another room. I found a puppy again. I moved to the other room, where I found a puppy, too. They look so similar to each other. So I wondered whether it was a single puppy that had moved quickly around the house as I moved from room to room. The same happened five times till I concluded that many pappies were around our house. A mother dog sneaked into our house. An elegant, tall dog, whose color is dark brown. Puppies bursted into our house, following her. I also found some other dogs made of stone among them. The house was full of dogs, running and chasing each other everywhere. I did not know what to do with them. They behaved themselves, paying little attention to us. At the peak of confusion, I exercised my magical power to expel the mother dog. She was struck by my curse to get out of our house immediately. Puppies got out, too. I was amazed to see so many puppies moving out together. The house recovered to piece again. I was satisfied by my work.
抄訳:二つの夢を見た。最初の夢で自分は家のなかにいた。どこだかわからないが、平屋で簡素な家だった。妻が一緒に居たようだ。自分の家という感じがした。窓の外に子犬がいて、こちらの様子をうかがっているのがみえた。状況を確認するため、自分は別の部屋に移動した。そこでも子犬が窓のところにいた。別の部屋に移動した。そこでも窓のところに子犬がいた。どの犬もよく似ていたので、これは一匹の犬が家の外をすばやく移動して自分を追ってきているのかと考えた。同様に5度ほど、部屋から部屋へと家の中を移動したが、どの部屋でも子犬が窓からこちらを見ていたので、沢山の犬が家を取り囲んでいるらしいと推察した。何かが起きそうな予感がした。いつのまにか母犬が家の中に忍び込んでいた。背の高い、優雅な犬で、毛並みがこげ茶色だった。その母犬を追って子犬らが一斉に家の中に飛び込んできた。子犬の群に混じって、石で出来た灰色の犬がうろついているのに気づいた。家の中は犬たちで溢れ、互いにじゃれ合ったりするものだから大変な騒ぎになった。突然の狂騒を前にしてどうしたらよいのかわからない。犬たちは我々のことを意に介せず、好き勝手に振る舞っていた。混乱の頂点で自分は魔法を行使し、母犬を攻撃した。母犬は呪いに打たれ、一目散に部屋を飛び出していった。子犬たちがその後をついて走り出て行った。大勢の犬を撃退し、家の中が静かになった。犬たちが出て行ってくれてほっとした。
前夜、妻と寝室の壁の塗り替えのことでちょっとした議論があったので、それが上のような形で現れたのかと自分は考えた。二つ目の夢は次のようなものだった。
[二つ目の夢] 誰かに案内されて石造りの階段を地下に降りて行く。ヨーロッパの都市にある古い建物のようだ。そういう建物の地下にはよくレストランがある。下っていった先にもレストランかパブのようなものがあって、数人が食事していた。古くからの知人がその中にいて、こちらを見ていた。彼女と目があった。ここで食事するのかと思ったが、さらにその先へと案内された。着いたところは劇場だった。客は誰もおらず、ほぼ全ての照明が落とされていて暗い。すぐには公演がないのだろう。支配人らしき人が説明してくれたところによると、そこは能楽堂だった。古式を保っているところが特徴で、舞台の上にもうひとつ隠れた舞台があるという。階上へと連れて行かれた。すると確かに客席からみえる能舞台の上にもうひとつ舞台があった。下の劇場全体を箱のように閉じ込め、その(箱の)上に舞台があった。下の舞台で能を舞うとき、上の舞台でもう一人が同じく舞うのだという。観客から見えないところでなぜ舞うのかと聞いたところ、上の舞が本来の舞であり、そこに死者らが訪れてくる、下の舞はそれを模倣して、観客が見られるようにしているのだと教えられた。
この夢についても書くつもりだったが、なかなか書けなかった。というのも夢をみた次の日の夜、F先生の奥様から電話があり、先生が急逝したことを知らされたからである。F先生は自分が上の夢をみていた朝に亡くなられた。こういうときは夢の意味について深く考えなければならない。
F先生は自分より20歳以上も年長で、学会の重鎮というべき方なのだが、気取ったところが無く、私のような能力の足りない者に対しても辛抱強くお付き合いくださった。F先生の存在がなかったら今日の自分の学術的な立場や成果はなかった。そういう学術上の恩師であるが、趣味の音楽でも一緒に演奏してくださるなど私的な親交も深かった。ドライブに誘われて一緒に風光明媚な地を回るなどの楽しい思い出も多い。
家のなかに大勢の犬が入り込んできて大騒ぎになった情景は、F先生の死因である大動脈乖離を思わせる。血管の膜が剥がれ、血流が流れ込み、激しい痛みと共に死に至るという恐ろしい病であるが、こげ茶色の母犬は血を思い起こさせるし、それを追って走り回る子犬たちは血流のイメージに重なる。その中に石でできた灰色の犬が混じっていたのは、死の影なのだろう。
夢枕に人がたつ経験は初めてではない。(父方の)祖母の状態が悪くなっていたとき —その時はそういうことになっているとは自分は全く知らない — 夢を見た。古い日本家屋に居て、導かれるようにゆっくりと暗い、木の階段を二階へと上がっていった。何事だろうと扉を開けると、(花嫁のように)純白のドレスを着た祖母が部屋のなかに居て、「わたし、死んじゃうの!」と大声で叫んだ。
びっくりして、震え上がって、目が覚めた。後から叔父に聞いたところでは、その時、腸内で大出血を起こして危篤状態だったという。(叔父は祖母と一緒に住んでいた。)そういうことがあったから、鮮明な夢をみたときには何かあると考えている。
能舞台の夢はどう解釈したらよいのだろう。舞台裏の夢は表舞台に出るよう促されているという意味があるらしい。F先生は上の舞台で舞い、自分はそれを模倣して下の舞台で、人々の前で舞うということなのだろうか。舞台裏で、人目に付かないところで支え役を務めることが重要と考えているところが確かにあって、リーダーシップをとることについては及び腰なのだけれども、夢のメッセージを静かに受け止めるなら、今や自分が表舞台に立たなければならない立場になったと考えなければならない。F先生が亡くなって今日で40日。学術的にも自分で立つ決意を少しずつ固めている。
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