Daily Archives: 2017年7月26日

ファツィオリ Fazioli を弾く

うららでグランドピアノを弾いてみませんか」(石川県こまつ芸術劇場・うらら)という企画があり、ファツィオリ Fazioli のピアノが弾けるというので一月以上前に予約した。本日、順番が回ってきて弾くことができた。ファツィオリ Fazioliは稀少なピアノでWikiの記述をみると日本で公的な場所に置かれているのは5台に留まる。芳醇で明るい音がするとされており、ずっと気になっていた。このピアノを弾くためにホールを貸し切りにしようかと思ったくらいである。一般市民に弾かせてくれるイベントが始まり、大変ありがたい。

試奏では村瀬さん(violin)にお願いしてヴァイオリンと合わせてもらった。曲目は以下の通り:

  1. Antonio Vivaldi,Opus 2, No. 1, 2, 3. (12 sonatas for Violine and Basso continuo).
  2. Cesar Frank, Sonate fuer Klavier und Violine A-dur.
  3. Claude Debussy,Sonate fuer Violine und Klavier G-moll, L140.
  4. Manuel De Falla,Danse espagnole de La vida breve (はかなき人生) fuer Violine und Klavier, Edited by Fritz Kreisler.

最初に軽くBachのフランス組曲(抜粋)を弾いてみたところ、色彩感ゆたかな景色が広がり、目が覚めた。何というか、立体感がある。ホールの音響がよいことも相俟って空間的に音が広がっていく感じがした。前回、同じ場所でSteinwayを弾かせてもらったが、だいぶキャラクターが違う。Steinwayの方は質実剛健な響きだが、それに比べるとファツィオリ Fazioliは木が鳴る。ドイツ系とフランス・イタリア系の響きの違いが歴然としてある。

ヴァイオリンと合わせると、コントロールが自在に効き、非常に弾きやすかった。ppp から fff まで一気に加速できる。(逆も可能。)アクションもよく出来ており、普段自分が弾いている130年前のピアノと比べると、どう弾いても音が出るので楽だった。演奏者をこんなに甘やかして良いのか。。

演奏を終えて帰り道。広大な屋敷に住めたら、もう一台、Faziloiのグランドを置きたいなぁ、、と夢を語った。まぁ、でもこれが1,500万円というと果たしてそこまでの価値があるのかよくわからない。Yamahaでもコンサート用はとてもいい音がする。価格は3分の1くらいかな。まぁそんなことは別として、いい経験をさせてもらった。企画してくれた方々、こまつ劇場の人、共演者の方、この企画をみつけてくれた家人などなどに感謝。

ChopinやSchumann、Lisztの曲もざっと弾いてみたが、ちょっとうるさい感じがした。その点はやはりモダン楽器だなという印象。ひとつひとつの音が存在を主張するので和音になったとき濁るというか、うるさい。そこは技術でカバーするのだろうけど。自分にとっては自宅のPleyelでMozartやSchubertの曲を気の向くまま弾くのがたぶん一番の贅沢。今度Fazioliを弾く機会があったらBachを中心に曲を用意したい。この饒舌な楽器を活かすには線で描かれた曲の方がいいだろう。そんな気がした。

Fazioliのピアノの音がホールの音響特性のお陰でさらに豊かに響いた

Fazioliのピアノの音がホールの音響特性のお陰でさらに豊かに響いた

虎目の木を使っているところがお洒落

虎目の木を使っているところがお洒落

ようやく体験できたFazioliの音

ようやく体験できたFazioliの音