Daily Archives: 2019年10月13日

松風閣の音

台風が近づいていて風雨の強い10月12日、松風閣での茶会に行った。年に一回、兼六大茶会というのが金沢であってその会場のひとつが松風閣であった。表千家に属するある会がホストであった。悪天候ということもあって、昼過ぎの番なのに自分が47人目の客であった。一所懸命準備したであろうに気の毒な感じだった。

ひどい雨だったが、お蔭で発見があった。茶席に出てすぐ気づいたのは雨音がよく聞こえること。庇が長く、雨樋から垂れる水滴が地面に当たる音をよく集めているものとみえる。さらに感心したのは、接続する二つの家屋で違う大きさの石を軒先に敷いていたことだ。手前の方は大きめの粗い石、奥の家屋は細かい石が敷き詰められていた。しかも奥の家屋は廊下を木で敷き詰めるにわざと隙間を空けて音が下から漏れ聞こえるようにしている。細かな石に当たる水滴が軽やかな、高周波を強調した音を立てていた。手前の家屋は粗い石に水滴を落とし、低めの音を立てている。二つの音が重なって、広がりのある音世界を重奏していた。

この家を設計した人はそこまで考えていたのだろうか。偶然ではないだろう。とはいえ元は別の所にあったものを明治になってここに移築した物だ。この敷石は元々こうだったのか、それとも移したときにこうしたのか。気になる。それにしても素晴らしい効果だった。雨が地面を打つ音を楽しむとは高貴な精神である。

写真はいずれもネットから拾ったもの。実際には大雨で庭が濡れていた。出典はそれぞれ以下の通り:https://blog.goo.ne.jp/sztimes/e/034e69042ab129cc20be3c34af83b3c0
https://ameblo.jp/kano-2008-4/entry-12094485175.html