JSBインヴェンションとシンフォニア

明け方、夢の中で懐かしい人に会った気がした。初めて会ったのかも知れないが懐かしい感じがする人だった。目が覚めてぼーっとしていたら、頭の中でインベンション2番(JSB)が鳴った。朝食をとった後、古い楽譜を探し出してその曲を弾いてみた。そのままシンフォニアの最後までいった。最後の方はベートーベンのソナタを思い起こさせるなぁと感じたが、冨田さんがそういう解説を書いていた。この曲集を弾いていたのはいつのことだったか。小学生だったのは確かだが、書き込みの字体をみると最後に教わっていた先生のものとは異なるから、小学4年生よりも前なのだろう。一所懸命教えてくれた先生方には申し訳ないのだが、最後の方を除いて自分にピアノを教えてくれた人たちの名前を忘れてしまった。音大の学生さんとか、近所にあった音大出の人が教えているピアノ教室とか、そんなところだったからだろうか。少なくとも二人いて、二人とも女性だった、ということくらいしか思い出せない。曲を弾くに従って浮かんでくるおぼろげな記憶や感情はあるのだが、形にならない。夢であった人を思い出せないのと同じだ。

夕方はモーツァルトのピアノソナタを10番まで弾いた。この中でレッスンしてもらったのは1曲だけ(8番,ケッヘル310番)であった。それ以外はどれも同じように響くといったら言い過ぎか。単に自分の理解が浅いだけだろう。でもどの曲も心が洗われるようではある。少し前にAldo Ciccoliniが弾くモーツァルトを聴いたが、清廉な音楽だった。それには足下にも及ばないが、フォルテピアノの音を想像しつつ、曲が求めてくる音色を追究するのは楽しいものだ。

Comments are closed.