「量子力学で生命の謎を解く」

量子力学で生命の謎を解く」を読んだ。昨年9月に学会(@京都)にて発表したとき、座長を務めた人が後で「量子力学」というキーワードを発したことが発端といえば発端。

量子力学といえば「タオ自然学」という本があって1979年の翻訳だから今では話題にならないが、訳者のひとりが心の師のひとりであることもあって、(「タオ自然学」とは直接の関係はないけれども)量子力学の影響はどうなったのか?ということも気になって読んでみた。

おもしろかった。「タオ自然学」で展開されたのは「振動」的世界観であるが、それが生物の理解に拡張された感じがした。いろいろ面白い話が披露されていて、その多くが現段階では仮説であるが、説得力があって刺激的だった。特に面白いと思ったのは香りの話で、成分ではなく分子レベルの振動で決まるという説だ。香り成分が鼻の奥の粘膜に吸着して、なんらかの神経をふるわせて、それが脳の中で香りとして認識されるとしたら、振動特性が香りを決めるというのは説得力のある考え方だ。

本書の最後の方でいろいろな種類(本の中ではいろいろな色と表現されている)のノイズを組み合わせることで生命が成り立っているという仮説が述べられており、最近自分が考えていることと重なるところもあって、心強く感じた。しばらく前に確率論の本を(わからないながらも無理やり)読んで、そこでもホワイトノイズに焦点が当てられていて感心(?)しながら読んだのだが、内容を消化できていないのでもう少し時間を掛けていろいろ読んでみるつもり。(これも古典だが)生体のゆらぎとリズムで提案されている解析手法でもノイズが重要な役割を果たしていて、しかし理屈が理解できなくて戸惑うのだが、ヒントが得られた気がする。

「量子力学で生命の謎を解く」自体は一般向けに書かれているので悩まず読める。夜、寝る前に足湯をしながら少しずつ読んだ。睡眠に影響を与えないレベルでよい。

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