「かべの しんぶんの おんなは」

お茶が切れたので尾張町まで買いに行った。帰りに金沢21世紀美術館に寄った。運動不足解消のため(美術館を歩いたくらいでは足りないけど。)「生誕百年記念 井上有一」という展示をみたが結構、楽しめた。抽象的な、絵のような作品ばかりでなく、字を覚え始めたばかりの子どものような、習字の書があって、宮沢賢治の作品などをそれでなぞるのだが、なかによく意味がわからない句があって、いくらかんがえても情景が思い浮かばなかった。

かべの しんぶんの おんなは いつも ないている

尾崎放哉の作だという。「壁の新聞の女」という表現が解釈できない。女が壁にもたれかかって新聞を読む図が浮かんだが、なぜいつも泣いているのだろう。。とても奇妙な光景だ。

帰ってから調べてみた。放哉が住んでいた部屋に新聞が貼ってあって、そこに泣いている女の写真(かイラスト)があったようだ。人恋しさに放哉が新聞に載っている女をじっと見つめるの図を思い浮かべるのが正当な解釈らしい。「いつも」という表現で、繰り返し新聞を見つめる放哉の姿を思い、その孤独を感じるのが正しい読み方だろう。

しかし、女が壁を背にして新聞を広げ、ひたすら涙するの図もそんなに悪くないんじゃないかと思った。終戦直後の、新橋のガード下あたりがその舞台。

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