藍染め木綿糸でマフラーを編む

藍染め木綿糸でマフラーを編んだ。発端は2017年5月4日に金沢中心部で開かれていたモノビト手づくりマーケットvol.2に遡る。そこに「つばめのうた」が出店しており、並べられていた藍染め糸が気に入って買ったのである。本建正藍染という蒅(すくも)と灰汁だけで発酵させる方法を採っていて惹かれた。色も深くて美しいし、藍染め特有の臭みもなく、色落ちせずに洗濯できる点も気に入った。そろそろ編み物をお休みして(暑くなってきたから)、「織り」物に移ろうと思っていたので、お試しによさそうだと思ったところもある。応対してくれた製作者の方の志が高く、こういう人が作った物なら良いはずと考えた。

購入時は紡いだ状態で輪に束ねられていたので、巻き直したが、かせくり器がなく手作業でやったので大変なことになってしまった。。詳細は省略。経験した方なら分かると思うので。幸い、GWの真ん中で時間があったので壮大なパズルを解くことが出来た。糸の特性として綿に近い(軽くて柔らかい)ので互いに絡み合ってくっついてしまうのも原因のひとつである。

糸の特性を知るために編んでみることにした。糸はガラ紡という古典的(?)な方法で制作されており、太さが一定ではない。「手紡ぎに近い機構であるため、紡がれる糸には手紡ぎに近い素朴な風合いがある」とあるが、糸のように細いところと綿棒の頭くらいに太いところが不定期に混在していて編むのが大変だった。作業が大変というより、目を読むときに間違えやすい。調べてみた限りでは織る人が大半で、編む人は少なかった。少ない例として靴下を編んでいる人を発見した。肌触りがよくて快適なのかもしれない。ストールを織っている人は時折見つけられた。糸の特性を考えると織りの方が楽だろう。

初めての素材なので、いろいろな編み方を試してみた。試すだけでは勿体ない、、というので長く伸ばしてマフラーにすることにした。表編みは楽にできるが糸の太さが不揃いなので模様が整然と並ばず、微妙な感じになった。裏編みだと「ぼこぼこ」した感じがうまく合わさって味わいが出た。一目ゴム編みは表編みと似たような感じで、パターンがきれいにできず、不思議な味わいに。引きあげ編みで作るパターンは形のくずれ具合がいい味となってエスニック風になった。引きあげ編みだと表面の凹凸が大きくなるので、光を当てたときに陰が濃くなり、立体感がでるのもよい。

何度か中断したりしたがおおよそ二週間で仕上がった。最初の方は試行錯誤していたから様々な編み方が混在して、面白いやらバランスが悪いやら、、戸惑うところだが後半はできるだけ均等・均質な編みを目指したので全体として何とか均衡が取れた気がする。首に巻いてみると軽くて肌触りもよく、具合がよい。模様も適度に主張してよい印象だ。何よりもうれしいのは藍染めの濃い青が引き立つことである。草木染めだと淡い色にしかならないのかな、、、と思っていたが藍染めの青の鮮やかさは段違いである。発酵という仕組みを使っているからだろう。

次はこの糸を織ってみたい。ロングジャケットを作っている人がいた。縦糸に光沢のある糸を使うとまた印象が変わることがわかったのでそれを真似てみようかと考えている。すぐに夏だからシャツにすると思うけど。

光があたると模様が浮き出る

光があたると模様が浮き出る

接写すると糸のぼこぼこ感がわかります

接写すると糸のぼこぼこ感がわかります

手前の方は実験を繰り返した前半に、後の方は均衡をとった後半に作った部分

手前の方は実験を繰り返した前半に、後の方は均衡をとった後半に作った部分

首に巻いてもらった

首に巻いてもらった

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