先日のアートシーン(NHK教育)では水戸部七絵の作品も紹介されていて、すさまじい存在感があり興味をもった。映像でみえていないところがあると感じたので実際に見たかった。見られてよかった。
大量の絵の具をつかって平面から立体に盛り上げていく、その度合いが並外れている。絵と彫刻の中間という感じ。その微妙さが面白い。絵を描いているうちにいつのまにか彫刻になってしまったというところが。いや、彫刻というよりは粘土細工か。妙に生々しい。人間の肉体を感じる。
この鮮烈さは、人の生とか死を扱っているせいではないかと思う。赤を塗り重ねて作るこの質感は女性でなければ出せないのではないか。孤独死した老人の精神が見えたらきっとこうなんだろうという気がした。死を描きつつ生き生きとしているのは、この人の才能だろうし、女性のものだという気がした。死が生につながっていく様がかすかにみえる。
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