TOP » 研究テーマ » 高性能バイオプラスチック

高性能バイオプラスチック

生物資源から環境適応型プラスチックを開発する研究は、 二酸化炭素削減と廃棄物処理への貢献度の高い重要な研究であるため、持続可能社会の実現には必須とされています。しかし、現状はそう簡単な事ではなく、最も高性能なバイオプラスチックとされるポリ乳酸でさえ、その軟化温度が60℃しかなくお湯に触れるだけで変形してしまいます。それは、分子鎖が柔軟な脂肪鎖のみから構成されることに起因します。プラスチックの耐熱性はその価値を決める重要なファクターであるため、耐熱温度を向上させることはプラスチックの高性能化において極めて重要です。そこで本研究室では高耐熱バイオプラスチックの開発を目指し、2006年末、生分解性高分子への「剛直なベンゼン環」の導入という全く新しい分子設計概念を確立しました。その結果、軟化温度150度を超える生分解性ポリエステルを世界で初めて開発しその結果をNature Materials誌に報告しました。研究はさらに発展しポリエステルからポリアミドへ、ポリアミドからポリイミドへと研究を分子設計を広く展開させ、耐熱温度は2012年には300℃を超え、2016年には425℃に達しました。現在700℃を超える超高耐熱プラスチックの開発を目指して研究を展開し、その成果は2019年中には報告できる目処が立っています。これはあらゆるプラスチックの限界を超える温度であり、その分子設計法は画期的な発見でもあります。

高分子材料は金属に比べ軽くリサイクル可能であることから、自動車などの輸送機器やビルなどの建造物などのあらゆる社会インフラを軽量化するための重要な材料で低炭素化社会の構築に不可欠となっています。特にハイブリッド型自動車や電気自動車では、エンジンからモーターへの転用により部品への要求耐熱条件が下がり、重い金属材料はオーバースペックとなりつつあります。そこで、軽く高性能なスーパーエンプラを微生物バイオマスから開発し金属部品の代替を行えば、生産時のCO2固定化と自動車の軽量化に伴う大規模なCO2排出削減を行う理想的なバイオスーパーエンプラが開発出来る発想しました。この発想は2004年ごろより経産省、文科省に認められ耐熱温度150度を超える生分解性ポリエステルの開発に至りました。2011年には文科省の外郭団体であるJSTのプロジェクトの一つである先端的低炭素化技術開発(ALCA)の国家プロジェクトとして認められました。その後、アミノ桂皮酸という新しいアミノ酸が筑波大高谷教授により微生物生産され、本研究室でこれを用いたバイオポリイミドを世界で初めて合成しました。その後環境省からも支援を受け、透明性および絶縁性にすぐれ次世代の自動車部品またはエレクトロニクス部品として期待されています。さらに2013年東京大学農学研究科大西教授らとともに全芳香族アミノ酸からポリベンズイミダゾールを設計する研究がJSTの別のプロジェクトであるCRESTで認められました。これにより世界最高耐熱のプラスチックを開発することを目指しています。

パラクマル酸とカフェ酸を共重合することにより得られた高耐熱性生分解性プラスチックの成形体
写真:微生物から得られる新規アミノ酸4-アミノ桂皮酸から得られた高耐熱性生分解性プラスチックの成形体
図:自動車エンジン周り材料のイメージ
図:自動車エンジン周り材料のイメージ