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機能性バイオプラスチック

光エネルギーは全ての生物の活力の源であり、天然には光を制御する分子が沢山あります。その構造は複雑でありながらも美しく、とても単純な人工合成法で得られるものではありません。そこで、本研究室では天然由来光関連分子を物理化学的にまたは生物工学的に活用し、光応答性分子バネの構築を目指して研究を進めています。例えば、光合成微生物が太古から利用している「ヒドロキシ桂皮酸」を重合して得たプラスチックフィルムは光で変形する性質を示すことが分かりました。

これは、光によりトランス体からシス体へと異性化することで、高分子鎖のコンフォメーションが直鎖状態から屈曲鎖状態へと変化することにより生じます。この瞬間、高分子鎖が通常の状態から「変形した分子バネ」、つまり「力学エネルギーの蓄えられた状態のバネ」へと光変形すると考えることができます。この力学エネルギーが物質変形させるための源となります。左の写真は、分子バネがエネルギーを解放してフィルムが屈曲した状態のものです。2013年に形状記憶性エラストマーにこの機能を付与することで光と熱で多重に形状を記憶する素子を作成しました。これは、複雑な3Dの形状を多重に記憶できるポリマーとして初めてのものです。

この桂皮酸の光機能は植物由来分子のプラスチック原料への変換技術にも応用され、高性能バイオプラスチックの項目で示すバイオポリイミドの開発へと展開されています。

光反応性植物分子の代表である桂皮酸は、遙か昔大気中に酸素がほとんど無い頃、既に光合成微生物により利用されていた。
図: 光反応性植物分子の代表である桂皮酸は、遙か昔大気中に酸素がほとんど無い頃、既に光合成微生物により利用されていた。
写真: ポリヒドロキシ桂皮酸の硬いフィルムが光屈曲する様子
写真: ポリヒドロキシ桂皮酸の硬いフィルムが光屈曲する様子