発話の時間推移を考慮した自由対談文のセグメント分割手法


組織の円滑な運営や新たな発想の獲得などの面においてインフォーマルコミュ ニケーションは重要な役割を果たすため,我々はインフォーマルコミュニケー ションの支援手法の研究を進めている.本論文ではその一環として,不特定分 野の自由対話を書き起こし,ある程度の編集を加えた対談文を,話題に応じて セグメント分割する手法について検討する.従来の話題構造抽出手法の多くは, 目的指向の対話かあるいは新聞や雑誌の記事ないし論文などの一般的文章を処 理対象としており,インフォーマルコミュニケーションのような自由対話を対 象とするものは少ない.我々は本論文において,従来から利用されている手が かり句や結束性に加え,特に対話において重要な意味を持つ時間推移情報を利 用した広域結束性を定義し,これを利用した,話題に応じた対談文のセグメン ト分割手法を提案する.提案した手法を実装した実験システムを用いての実験 の結果,人手によるセグメント分割に対して,再現率73.2\%,適合率66.7\%の 精度で一致する結果を得た.