岡田美智男 :
口ごもるコンピュータ ,
情報フロンティアシリーズ, 共立出版, Aug 1995.
(1997.12)
佐々木正人 :
アフォーダンス−新しい認知の理論 ,
岩波科学ライブラリー, 岩波書店, May 1994.
「アフォーダンスとは,環境が動物に提供する「価値」のことである」らしい.これはこれで一つの考え方だとは思うが,そのような
考え方が自然であるとはどうしても思えないのは,私の理解が足りないからだろうか.ギブソンやアフォーダンスの支持者は,アフォー
ダンスの存在の実証例と思われるような実験を数多く行っており,本書にそのいくつかが挙げられている.たとえば「知覚と行為のカッ
プリング」の例として,卓球の選手がインパクトの直前にラケットの面の向きがかなりの角度で急速に修正されていることを挙げてい
る.これが,従来の「感覚されたものが脳で処理されて運動を制御する」という考えでは説明できないとし,知覚と運動の協応システ
ムに埋め込まれていると考えると理解できると述べている.そのような考え方は理解できるが,そのような考え方が自然(に感じられ
る)かというと否で,やはり従来の考えで,単にインパクトの瞬間を予測して脳が指令を出していると考える方が自然に感じられるの
である.
ということで,本書によってアフォーダンスを理解できたとはまだまだ言えないようだ.さらなる勉強が必要であろう.(1998.9)
高崎陽太郎 :
傾いた図形の謎 ,
認知科学選書11, 東京大学出版会, Jun 1987.
立体の傾きの度合いによって,人間の認識にどのような影響を与えるか,という実験から,心理表象について述べられている.
個人的には大変面白く読めた.最初のシェパードの実験は,まあ言われてみたらそうだろうという予測が簡単につくものであるが,そ
の実験からよく心理表象などを論じる根拠を探し当てたものだと思う.もし,シェパードが,最初から心理表象(をメタ理論として持っ
ていて)の根拠としてこの実験
を遂行したのだとしたら(多分そうなのだろうけど),よく思い付いたものだと感心する.つまり,実験そのものから何を得られるか
というのは,受け取る側の能力に大きく依存していることを再認識させられた次第である.そして,こうしたところに
認知科学の醍醐味があるのだろう.(1998.12)
宮崎清孝,上野直樹 :
視点 ,
認知科学選書1, 東京大学出版会, Oct 1985.
視点といっても,視覚的な視点と概念的な視点の2通りの意味がある.この本で面白いのは,視覚的な視点は実は常に動いてい
るという論を,概念的な視点に布衍したことである.まず,視覚的な視点というのは,静的なもののように思えて実はそうではない.常に微妙に動いてい
るし,あるものを捉えるとき,それが動いているときと止っているときとでは,認識の精度が全く違うことを様々な実験例を引き合い
に出して述べている.そしてさらに,概念的な視点,つまり物事を考えるときにどのようなアプローチをとるかということにおいて
も,やはり視点は常に動かして考えているという説を述べている.この説は,人間の思考過程についての非常に面白い考え方なのでは
ないかと私は思うのだが,最近の認知科学のトレンドがよくわからないので,この説がどのような評価をうけているのか調査する必要
があろう.(1998.12)
佐伯胖 :
認知科学の方法 ,
認知科学選書10, 東京大学出版会, Dec 1986.
認知科学の方法論について語ったものであるが,具体的な方法論というよりはもっと観念的なもので,要はメタ理論を持って研究する
ことが大事である,ということである.
私自身がまだ認知科学をかじった程度なので,実感として湧かないが,しばらくいろいろと認知科学について勉強してみて(補遺の筆
者によるとあまり勉強してはいけないらしいが),再び読み返すと,メタ理論を持つことの重要性がよくわかるかもしれない.(1999.1)
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