SHG顕微鏡による表面の観察

 光第二高調波発生(SHG)の解説でものべたようにSH光を見てものを観察する と普通の光で見ているのとは違ったものが見えます。SHGでものを 見ると非対称部分の分布が見えます。あるいはSHGを発生する源である電子の 動きやすさをみることにもなります。従ってこのSHGを顕微鏡に応用すれば 物質の普通とは違った側面をみる顕微鏡を作れることになります。
 下に、示す図はそのような一例です。ちょっとわかりにくいのですが、下の 二枚の絵に見えているものは金属薄膜層のSH光像です。女の子の顔のような 形が見えていますが、左の図ではその形に厚さ数10ナノメーターの金の薄膜 が蒸着されています。そして真中の三角のエリアだけ金膜の下に銀の膜が 埋め込まれています。右の図では全体が銀膜でまん中の三角の領域だけ銀膜 の下にアルミの膜がうめこまれています。これらの膜は普通の光の反射で観察 すると一番上の膜厚が十分厚く光が下の膜までほとんど到達しないため、この ような三角の部分の顕著な模様か出ません。ところが、図のようにSH光 像観察をすると不思議な像の強弱が見えました。
 この原因はこれらの膜の電池効果を観察している ことになっていると考えています。すなわち、異種の金属をつなぎあわせると接触 電位差が生じますが、この時左の図では手前側がマイナス、右の図では手前 側がプラスになります。金属においてマイナス側は電子が蓄積し、プラス側 は電子が少なくなります。SH光応答は電子の応答ですから、左図のような場合には 金属二重層の部分ではSHG応答が強く、右図のような場合には金属二重層の部分 でSHG応答が弱くなります。ちなみに左の図において金と銀をひっくり返したら 像の明るさが逆転しました。



 このようにSHG応答を見れば普通には見えないものが見えることが期待されます。 私達はさらに面白い表面系についてこの方法を適用させて研究しています。

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