選手権では初となるIS将棋との対戦。決勝に出て来た事を実感させてくれる相手だ。
これまで Computer Olympiad やGPWでの対戦は何度かあるが、まったく勝てなかったという
訳でもなく東大6との自動対戦では勝率4割ぐらい。TACOS得意の展開になればいいのだが。
TACOSはISとの過去の対戦や市販の東大将棋相手には相居飛車が相性いいので居飛車で行こうとしていたが、
使用する定跡を間違えて振り飛車になってしまった。
案の定TACOSの四間飛車にISは6一金のまま左の銀を6四に繰り出してくる急戦に。
6一金の形だからか22手目で早くも定跡から外れた。
早めに定跡を外すための作戦かと思ったが、岸本さんによると狙ったわけではなくたまたまそうなったのだそうだ。
31手目、すっと7八飛を読んでいたのに気が変わって7五歩と取ってしまった。
どうも8二銀と打っていいと思っていたようだ。大会前にコードを全般的にかなり大幅に書き換えていたのだが、
局面進行度の計算も修正してろくに検証もしていなかったのがここでひびいてしまったかもしれない。
7六歩以降はかなり一方的な展開になってしまった。
だが悪いながらも頑張って粘って相手が間違えればまだなんとかなるかもと思っていたら81手目、
さすがIS将棋は急所の1五歩!と端を攻めて来た。ここで端に手をつけられたらもう持ちこたえられない。
さすがである。ここで端に来られない相手ならまだ一山あったかもしれないが、もうこのレベルでは
みんな逃さないだろう。以下は幾ばくもなく終了。完敗だった。
0勝1敗。
2回戦の相手は激指。やはり選手権で対戦するのは初めてだ。
激指3との自動対戦だと、勝つ時はいつもぼろ勝ち、負ける時はいつもぼろ負けという面白い相性がある気がする。
IS戦に続いてTACOSの四間飛車になった。あとで勝又先生にも言ってもらったのだが、どうもTACOSは相居飛車が得意だから
振り飛車はさけるべきだったかもしれない。
実は大会の2日ぐらい前に居飛車でしか現れない重大なバグを発見したのだが、そのバグを見つけるまではTACOSはどうも
相居飛車が苦手かもしれないと思っていてなるべく居飛車対振り飛車の形にしようと思っていた。この対局の時点では
まだそのイメージがかなり残っていたのである。
序盤は激指がやや凝り形で3七桂から攻める形にすればTACOSが十分だと思うが、TACOSはなかなか
跳ねてくれなかった。
銀冠では大山名人が桂を3七に跳ねるのを嫌ったらしく、TACOSも3七より2九の点数を高くしているが
その弊害が出たかもしれない。現代風に攻めを意識した駒組みにした方が現在のTACOSには向いているかも。
89手目6六銀が痛恨の手。解説によると4五同桂ならTACOS十分だったらしい。
先に角が取れたものの飛車と龍の差が大きくTACOS不利になってしまった。以下着実に攻められてまたもや完敗。
0勝2敗。
次は昨日負けたKCC将棋との対戦。
間抜けなことにまた使う定跡を間違えて昨日とまったく同じ展開になってしまう。
ひょっとして最後まで昨日と同じでいくんじゃないかと恐れたが40手目で何故かTACOSの手が変わった。
昨日は1四歩だった。
TACOSは気合良く6五歩から仕掛けていくが、62手目4三飛車が痛いミス。横に逃げていればまだまだ
いい勝負だったと思うが、どうもこのあたり何かバグがあるのかもしれない。
自陣に飛車を打たされ、苦しい展開に。このレベルの相手に一度致命的なミスをするともうどうにもならない。
昨日よりも紛れのない一方的な展開になりまたもやTACOSの完敗。
0勝3敗。
3連敗となり、「全敗になってしまうかも」と少し弱気になってきたところで柿木将棋との対戦。
柿木将棋はまたも振り飛車穴熊で来た。昨年の2次予選から3局連続だ。対するTACOSは急戦形で早めの
飛車交換になる。36手目TACOSの8四飛車が後の展開を見るといい手だったのかもしれない。
41手目柿木将棋の9七角がおそらく疑問手で、TACOSがやや指しやすい展開になる。
だがTACOSも自分から9二香と上がって傷を作り、案の定飛車を打たれてしまう。
84手目3六歩とじっと突いたのが端っこは相手にしない急所の突き出し。
TACOS得意の展開になりそうだ。我ながらTACOSのこういう手は好きである。
以下3七香から4七歩と気持ちいい攻めが続く。
柿木将棋が飛車交換をして来たのもかなりTACOSの得になった。
TACOSは7三歩成を無視して3八香成。成香がいかにも大きい。
柿木将棋は3八香成を見て3三角成から攻めて来たが、4一飛と攻めてくれたのではじいて
TACOSのわかりやすい勝ちになった。ここでは取った金を4八金と打てばまだまだ難しかったと思う。
以下はわかり易い展開になりTACOSの勝ち。とりあえず決勝で一勝をあげられて良かった。
1勝3敗。
YSSはこの時点で唯一の四連勝。上位四チームに一つぐらいは入れたいと思って臨んだが…
TACOSの居飛車穴熊に対してYSSは四間飛車から6五歩、7五歩と突き出し三間へ飛車を持ってくるという
いやな作戦。早々に居飛車穴熊を完成させたTACOSは、40手目4四角と変な角出をしてしまう。
ここに角が出てはまずい。実は居飛車でやたら44に角を出たがっていたので直前に駒組みテーブルを
だいぶ修正したのだが、それでも出てしまった。修正が甘かったようだ。
このレベルだとこういうミスが命取りになる。5五歩と仕掛けられてからはもうぼろぼろだった。
YSSとやると仕掛けの時点でもう全然だめでぼろぼろになってしまう将棋がたまにあるが、
この将棋もまったく見所もないまま終わってしまった。
1勝4敗。
次はここまで全敗と調子の悪い金沢将棋との対戦。
昨日TACOSが相居飛車で勝った事もあり、金沢将棋の方が四間飛車にしてきた。
TACOSの41手目6八角はわざと仕掛けさせようということかもしれないが、
さすがにやりすぎだろう。普通に飛車先突いたり3六歩突くぐらいでゆったりしてほしかった。
この辺評価関数か何かに問題がある感じがする。すかさず仕掛けられて悪くなった気がする。
55手目は5五歩か6四角かで迷っていたが、結局5五歩と指した。だがその後の展開を見ると
よくなかったか。
57手目6四歩は指した時私もなかなかいい手だなと思って見ていたが…
取れば6五歩。TACOSの読みでは5二銀と引かせて3二角と打って悪くないとなっていた。
だが金沢将棋は平然と同銀。確かに取られて攻められると一気につぶされそうだ。
これを取られてとがめられないようでは苦しすぎる。
以下一方的に攻められて負けてしまった。
1勝5敗。