ボストン
1998, 2003
テーマ: ボストンバッグって何?
ボストンには2度行ったことがある。アメリカをそんなに旅したわけではないが、ヨーロッパ的な雰囲気を感じさせる唯一の都市であると思う。
ボストンは、はっきりいって洗練された街ではない。アメリカの頭脳が集まる街であるから、という期待が上回っていたからかもしれない。とはいえ、結構楽しいところである。というのは後からわかってきた。
ハーバード、MIT、ボストン大をはじめとして多数の大学がボストンとその周辺に集中している。では延々と学生相手の街が続いているのかというと、そうでもない。ハーバードの近辺は学生街であるが、MITやボストン大は町中にある。小さなダウンタウンは、港町、中華街、劇場街、高級店街と、区分けされているようである。その割に公園が広いところが、いい雰囲気である。ただし、高級品店街以外は、あまり洒落てるとは言えない。なお、ドラマ
Ally McBeal の事務所という設定のビルは結構町中にあった。
学生が多いというと巨大な書店を期待してしまうが、日本の基準からするとせいぜい中規模の書店しかない。とはいえ、ハーバード大の書店では建築関係の本を買い込んでしまう。
ボストンは緯度的に札幌と似ていて、雪はそれほど降らないものの、冬はそれなりに寒い。他に似ている点としては蟹ならぬ伊勢エビが名物で、しかもそんなに高くないということである。他には外壁が羽目板になっている家が多いが、これは北海道開拓当時にニューイングランドから大工が来日したためらしい。北大農場に現存するモデルバーンが、この代表例である(北大にいた頃はよくその脇を通ったものである)。
脱線ついでにいうと、北大のすぐそばにあったパン屋が「ボストンベイク」という屋号であった。ではボストンでおいしいパンが見つかったかというと、そうでもない。強いていうと、「Au
bon Pain」といういまや全米に展開しているサンドイッチ屋はハーバードの卒業生が興したベンチャーである。悪くないが、飛び抜けて美味しいわけでもない。あまり都心には「ボストン」の名を冠した店が無いというのは、気のせいだろうか。
話を戻そう。ボストンというと、公共交通である。トラムだか地下鉄だかよくわからないグリーンラインやら、トロリーバスなどというかなりレアなものまであって、車社会、アメリカのイメージがかなり変わったのも確かである。ここなら、車無しでも何とかなると思っていたら、なるほど「Carless
in Boston」なる本まで売られていた。派手さはないのだけれども、確かに活気があるのは、ボストンの魅力である。多分、コミュニケーションの密度が高いのではないだろうか。中華街があるのも、その一因かもしれない。大人数で必死になって掻き込む中華料理は、いいものである。
滞在も終わりに近づいてきた頃、会議が終わって、町に出ようと思ったら、そこで知り合ったアメリカ人と出くわした。待ち合わせらしく、小さな花束を片手に。「お前に全然違う2つの質問があったんだ。一つはお前の発表した陶芸の練るやつについて。そしてもう一つは、お好み焼きについてなんだ。」時間があったので、ちょっとだけ答えてやろうとしたら、白い車が前に止まり、その男は乗り込んでいった。
そのままダウンタウンまで歩いてゆこうとしたら、たまたまレッドソックスの試合にぶつかり、渋滞はないものの地上は大混雑になった。こんな町中に球場があるとは知らなかったが、阪神ファンとも比喩される彼らは、いい感じに盛り上がっていた。
記憶を掘り出してみても、なぜかとりとめもないのであるが、それがアメリカの大都市なのかもしれない。そうそう、ボストンバッグって、ボストンが発祥なんだろうか。