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環境調和型社会を切り拓く液体シリコン科学


講師:増田 貴史(Masuda Takashi)

E-mail:
[研究分野]
有機化学、半導体工学、分子間力
[キーワード]
液体シリコン、ナノ液体プロセス、プリンテッドエレクトロニクス、水素化金属液体

研究を始めるのに必要な知識・能力

新たな研究領域を切り拓くために、多様な人材を求めています。従って出身学部や専門は問いません。ただし研究室で学ぶ参考書の理解のために、高校レベルの数学と英語力、及び論理的思考力が必要となります。

この研究で身につく能力

社会に出て優れた研究者、技術者として活躍するための基礎能力を身につけます。
(1) 自らの創意によって必要な知識を獲得する能力
(2) 自らの研究成果を正しく伝えるための表現力、プレゼンテーション能力
(3) 国際交流に必要な語学力、コミュニケーション力
専門知識としては、「分子間力・表面力・界面科学」「高分子科学やコロイド科学」「有機ケイ素科学」「固体物理や半導体工学」、「プリンテッドエレクトロニクス」といった分野になります。薄膜の解析手法やその知識、液体→固体変化の解析を通した物質変換の研究手法、また高度な分析装置やシミュレータを用いることによって解析に対する理解が得られます。

【就職先企業・職種】 化学、半導体、繊維、印刷、総合電気メーカーなど

研究内容

 例えば100年後の社会にも残っている元素資源は何だろう?そんな発想が本研究室の出発点です。シリコン(Si)は酸素に次いで地殻中に2番目に多い元素資源であるだけでなく、エレクトロニクス産業の主役として人類社会を支えています。この産業は「固体Si(ウェハ)」の獲得、「気体Si(シラン)」の活用、と歩みを進めてきた過去100年の歴史を持ちます。従って将来、「液体Si」と呼ばれる新材料が必要になると考える事はおかしくありません。

1. 液体Si科学

 私たちは世界に先んじて「液体Si」材料を創出し、後世に必要となる新たな学術領域として「液体Si科学」を切り拓いています。液状のSi物質を扱う「液体Si科学」は、Si科学の対象を「硬いSi」から「柔らかいSi」へと転換させ、既存の研究を質的に変化させました。例えば研究室では、「省エネルギーな印刷法によるモノづくり」をSi半導体産業に歴史上初めて適用しました。私たちは「液体Si」の合成や反応の解析、また製膜法や産業化へ向けた取り組み、といった一連の研究開発に取り組んでいます。

2. ナノ液体プロセス

 インクジェット、ナノインプリト、3Dプリンタ等を用いて電子デバイスを印刷で作製する「プリンテッドエレクトロニクス」を研究の範疇とし、そこに必要な液体科学を追及します。液体物性を支配する重要な因子の1つに、仮想光子を介したゼロ点エネルギーがあります。このエネルギーの起源となる場の量子的揺らぎと、塗れ性のような古典力学的物理量の関係を、振動電荷(van der Waalsエネルギー)の視点から解き明かします。そしてナノスケール液体の物性制御の下で、印刷法による省エネルギーなモノづくりを実現する、「ナノ液体プロセス」に取組んでいます。

3. 水素化金属液体

 液体Siの正体は液体の水素化Siです。私たちは他にも「液体SiC」「液体SiO2」「液体CoSi」「液体Al」といった液体材料の創出にも挑んでいます。私たちが最終的に目指すのは、それら材料群の先にある「水素化金属液体」という新たな材料科学の潮流を生み出すことです。つまり産業上重要となる多くの金属材料の液体化技術を確立し、未だ実現できていない「液体Fe」や「液体Ge」等の未踏の材料創出に立ち向かう、その最初の一歩に取り組んでいます。

 環境調和型社会の実現には、機能の追及を第一としてきた従来のSi科学の発展モデルから、環境調和性のある液体Si科学への質的な転換が必要です。赤・緑・青の三原色が揃う事で発光ダイオードが発展したように、Siにおいても固体・気体・液体の三態を揃えることでその科学技術は大きく進展すると考えます。


研究の位置付けを表す図

 

主な研究業績

  1. van der Waalsエネルギーと液体Siの研究 T. Masuda, et al., Silicon deposition in nanopores using a liquid precursor, Scientific Reports, 6, 37689 (2016).
  2. 液体Siのナノ加工に関する研究 T. Masuda, et al., Direct imprinting of liquid silicon, ACS Appl. Mater. Interface 8, 9969 (2016).
  3. 液体Siの印刷による太陽電池の研究 T. Masuda, et al., Fabrication of solution-processed hydrogenated amorphous silicon single-junction solar cell. Appl. Phys. Lett. 100, 253908 (2012).

研究室の指導方針

AIやIoTが発展する将来においてもなお優位性を保てるスキルや知識は何か、それを意識して下さい。研究室では単に1つの研究分野を追求するだけでなく、得た知識の広い利用法を考え、多様な分野の科学的知識に結合させる訓練をします。そのためには多くの社会や人と出会う事が大切です。最先端のエレクトロニクス関連企業や魅力的な地元企業との共同研究に活発に参加してもらいます。そして研究の中で社会に貢献する経験、自然科学の美しさに触れる経験を得、自らの創意によって必要な知を獲得する能力を磨いてもらいます。

[研究室HP] URL:http://www.jaist-masuda.com/

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