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問題の本質は何か?ー「意思決定」の観点から考える

内平研究室 UCHIHIRA Laboratory
講師:佐々木 康朗(Sasaki Yasuo)

E-mail:
[研究分野]
意思決定論、システム科学、経営科学
[キーワード]
意思決定・ゲーム理論、社会システムモデリング

研究を始めるのに必要な知識・能力

専門的な予備知識は必要としませんが、論理的・批判的に物事を考える姿勢が重要です。新しい知識を習得することを楽しめる知的貪欲さがあると良いです。数学やプログラミングの素養があれば、それらを研究に活かすことができます。

この研究で身につく能力

対象とする社会的課題をうまく抽象化(モデル化)することで、その本質を見定め、意思決定や問題解決に役立てる力が身に付きます。研究の進め方としては、まず、各自の関心に応じて、主体的に研究テーマを設定してもらいます。さらに、それを分析、考察し、また教員や他の学生との議論を重ねることにより、テーマを深掘りする過程を重視します。これらのプロセスを通じて、 能動的に適切な情報を収集する力、具体的な課題を発見、設定する力、論理的に物事を考えて分析する力、それをきちんと他の人に伝えるコミュニケーション力などを養います。これらの能力は、社会に出てから多様な人々と知識共創、価値共創を行ううえでとても重要な要素であると確信します。

研究内容

「意思決定」を研究の対象としています。個人的な問題から、組織的、社会的な問題まで、私たちの人生は、意思決定の連続とも言えるでしょう。意思決定を複雑あるいは困難にする要因には様々ありますが(それだけ研究のタネがあるということでもあります)、それらの本質をうまく抽象化(モデル化)して記述、分析するための理論や方法論の開発に取り組んでいます。テーマによっては、それらを実践して、具体的な価値を生み出すことも研究目的の一つとなります。

 意思決定の問題は多岐にわたり(例えば、政治、経済、ビジネス)、分野や領域を問いません。経営組織論の祖として知られるハーバート・サイモンは、「マネジメントとは意思決定である」と述べ、意思決定研究の重要性を説いています。ここでの「マネジメント」とは、企業経営上の課題だけでなく、より広い様々な社会的課題をうまく扱うことを指していると言えるでしょう。また、主要な方法論の一つであるゲーム理論は、ミクロ経済学の一分野と見なされることも多いですが、最近では、政治学や経営学、社会学などでも広く応用されており、「社会科学の共通言語」と見る研究者もいます。
 研究の方法論は、主に数理モデルやシミュレーションを用います。対象とする意思決定問題の本質的な要素とそれらの関係を、数学的あるいは計算的に操作可能なモデルに落とし込むことで、演繹的な分析を通じて示唆を導き出し、これを現実の問題にフィードバックします。しばしばこのプロセスを繰り返し、モデルを洗練させ、その価値を高めることを試みます。一方で、最近は社会調査や実験による実証分析も行っています。この場合にも、通常は何らかの意思決定モデルが背景にあり、その現実との整合性を確めたり、モデルの洗練化のための着想を得たりすることが研究の動機となります。
 私自身の主な研究テーマは、「気づきの非対称性」を考慮したゲーム理論モデルの開発です。これは、伝統的な情報の非対称性とは異なる意味での意思決定者の認識の非対称性を扱うもので、近年、ゲーム理論の分野で注目されている研究領域です。基礎的な理論研究も行っていますが、応用問題として、意思決定者間のコミュニケーションの問題、すなわち、知識の移転・共有の構造を明らかにする課題にも取り組んでいます。
また、この他にも以下のような様々なテーマに取り組んでいます。

  1. マッチング理論の学校選択、保育園利用調整問題への応用
  2. 公共交通機関の運賃収受システムの最適化
  3. ナレッジマネジメントにおけるシステム思考の役割
  4. 経済均衡モデルや交通需要推計による政策・事業評価
  5. 地域経済循環分析(能美市との共同研究)

  このように、対象や手法を選ばず、各自の興味関心に応じて様々な研究ができるのが、意思決定研究の魅力だと思います。もちろん、配属される学生の研究テーマは、上記に限定されるものではありません。幅広い社会的課題に興味関心を持ち、「問題はどのような構造を持つのか」「どうすれば問題は改善されるのか」といった問いに、意思決定の観点から切り込む気概のある方を歓迎します。

主な研究業績

  1. Yasuo Sasaki, Generalized Nash Equilibrium with Stable Belief Hierarchies in Static Games with Unawareness, Annals of Operations Research, 256(2):271-284, 2017.
  2. Yasuo Sasaki and Masahiro Ura, Serial Dictatorship and Unmatch Reduction: A Problem of Japan's Nursery School Choice, Economics Letters, 147:38-41, 2016.
  3. Yasuo Sasaki, Optimal Choices of Fare Collection Systems for Public Transportations: Barrier versus Barrier-free, Transportation Research Part B, 60:107-114, 2014.

研究室の指導方針

私自身は、2018年度に学生の受入れを開始しました。メンバーは少数ですので、一人一人、きめ細かい指導が受けられることを保証します。ただし、それは教員が手取り足取り世話をするという意味ではありません。主体的に研究活動を推進する意欲のある学生を歓迎します。関心のある問題を妥当な研究計画に落とし込み、それを学術論文として仕上げる過程を最大限にサポートします。その中で、ゼミ等における議論、コミュニケーションを重要視します。これらを通じて、研究テーマを深めることはもちろん、上記のような社会に出てからも広く通用可能な知的体力やスキルを身につけてほしいと思います。

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