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【開催報告】第6回JAIST連続セミナー「未来へのまなざしと知」

 2026年3月18日(水)、コワーキングスクエア金沢香林坊にて、北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)未来知識創造機構 未来デザイン研究センター主催の連続セミナー「○○と知〜新たな学び」の第6回を開催いたしました。
 本セミナーシリーズは、最先端の科学技術をテーマに、専門用語をできるだけ使わず、市民の皆様とともに「新たな視点」を発見することを目的としています。プレゼンターによるインプットセミナーを踏まえ、参加者同士の対話や発表・共有を通して、科学技術と社会との関わりを身近に考える場として実施しています。今回は「未来へのまなざしと知」をテーマに、当日の様子をご報告いたします。


 第6回のプレゼンターには、北陸先端科学技術大学院大学 社会システムマネジメント研究領域の 白肌邦生教授 にご登壇いただきました。白肌教授は、ウェルビーイング志向のサービス研究を専門とされています。サービスマネジメント、サービスイノベーション、組織論、技術経営をキーワードに、よりよい社会に向けた知識創造について研究を進められています。

 今回のセミナーでは、「科学・技術に携わる人は、未来とどう向き合えばいいのか?」をテーマに、未来を単に予測するのではなく、社会の変化や価値観、技術の発展を読み取りながら、望ましい未来を構想していくための考え方についてご紹介いただきました。

インプットセミナー:未来を構想するためのロードマッピング

 講演の冒頭では、生成AIや大規模言語モデルの登場を例に、10年前に現在の社会の姿をどれほど具体的に予測できていたのか、という問いが投げかけられました。技術は突然社会に現れるように見えますが、その背景には、研究開発の積み重ね、企業活動、社会のニーズ、制度や価値観の変化など、さまざまな要素が関係しています。

白肌教授は、未来を考えるための代表的な方法として「ロードマッピング」を紹介されました。ロードマップは、単に将来の計画表を作るものではなく、技術、市場、社会の変化を重ね合わせながら、「なぜそれを実現する必要があるのか」「どのように実現するのか」を考えるための対話の道具です。未来を一つに決めつけるのではなく、複数の可能性を見据えながら、関係者が共通の視点を持って議論するための手法として説明されました。

また、ロードマップは一度作って終わりではなく、仮説として定期的に見直していくことが重要であると述べられました。未来には不確実性があるからこそ、社会の小さな変化や新しい兆しに目を向け、考え続ける姿勢が求められます。

さらに講演では、企業や研究者が未来を構想する際には、技術の発展だけでなく、それが社会にどのようなインパクトを与えるのかを考えることの重要性についてもお話しいただきました。新しい技術やサービスは、便利さや売上だけで評価されるものではなく、環境問題、生活の質、働き方、人間らしさといった観点からも捉える必要があります。

未来は「当てるもの」ではなく、社会の変化を読み取りながら、多様な立場の人々との対話を通じて考え続けるものです。白肌教授の講演は、科学技術と社会の関係を見つめ直し、望ましい未来を主体的に構想していくための視点を与えてくれるものでした。

クエスチョンディスカッション:10年後、仕事はどう変わる?

 後半のディスカッションでは、参加者の皆様がグループに分かれ、「10年後に進化する仕事とは?」をテーマに議論を行い、発表を行いました。各グループとも白熱した議論が繰り広げられ、それぞれ独自の視点からこの問題にアプローチしました。各グループの議論内容は以下の通りです。

  • グループ①
     ホテルのフロント業務や店員など、人手に支えられてきた仕事に注目しました。人手不足やコスト削減、AI・ロボット・ドローンなどの技術発展により、単純な作業は自動化される一方で、人にしか提供できない体験価値の重要性が高まるのではないかという意見が出されました。

  • グループ②
     「食」に関わる仕事をテーマに議論しました。忙しい現代社会において、三食をきちんと取りたいという価値観と、食事に時間をかけられないという現実の間にある課題に注目し、完全栄養食や食品製造、味や食感の再現技術など、食のあり方そのものが変化する可能性について意見が交わされました。

  • グループ③
     観光ガイドの仕事について考えたグループでは、AIや翻訳技術、インターネット上の情報検索が発展することで、単に観光地を説明する役割は変化していくのではないかという意見が出されました。その一方で、人との交流や、その場でしか得られない体験を支える役割は、むしろ今後さらに重要になる可能性があると考えられました。

 今回のセミナーは、科学技術の未来を専門家だけで考えるのではなく、参加者一人ひとりが自分の生活や仕事に引き寄せながら考える機会となりました。白肌教授の講演を通じて、未来は誰かが一方的に決めるものではなく、技術、企業、社会、そして私たち一人ひとりの選択や対話によって形づくられていくものであることが示されました。

連続セミナーのご案内

 本セミナー「○○と知〜新たな学び」は、2026年度も継続して毎月第3水曜日に定期開催しております 。 科学技術だけでなくだけでなく、イノベーション、組織論など、毎回異なるテーマで最先端の研究者が話題を提供します 。

【開催概要】
日時: 毎月第3水曜日 18:00〜19:40
場所: コワーキングスクエア金沢香林坊
対象: 高校生以上(新しいこと・話すこと・考えることが好きな方)
参加費: 無料
ご応募はこちら(https://forms.cloud.microsoft/r/QiwdsYwjMg)のフォームからお願いいたします。
【今後のラインナップ】

  • 4/15 (水): パズルと知(JAIST 上原 隆平 教授)
  • 5/20 (水): 結晶と知(JAIST 大島 義文 教授)
  • 6/17(水): 分断しにくい繋がりと知(JAIST 林 幸雄 教授)
  • 7/15(水): 対人コミュニケーションと知(JAIST 岡田 将吾 教授)
  • 9/16(水):生命と知(JAIST 栗澤 元一 教授)

 科学技術と私たちの未来について、肩肘張らずに語り合える場として、皆様の継続的なご参加を心よりお待ちしております。

Future Writer:福山

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