新しい研究室をつくっていく一体感の中で

 将来は化学系の研究職に就きたいと思い、その夢に近づくため修士課程へ進もうと考えました。学部も化学系でしたが、そのまま大学に残るよりまったく新しい場で学んでみたいという気持ちがあり、そこへ学部の研究室の先生から、大学院だけの大学があって研究設備も優れている、田舎らしいけどその方が遊ばず勉強できるだろう、と勧められたのがJAISTでした。行ってみると、確かに山の中。周囲から孤立していてちょっと怖いなという印象でしたが、学生はみんな新しく何かに取り組もうという気概で集まっていて、すぐに仲良くなれ、環境にも馴染むことができました。

 “身近な物から航空宇宙分野まで、幅広い樹脂の開発”という紹介に魅力を感じて、できたばかりの山口政之先生の研究室に入りました。先生も一期生メンバーも、みんなで研究の場をつくっていこうという雰囲気に満ちていましたね。私が取り組んだ研究は、ガラスに代わる透明なプラスチック樹脂の開発というテーマ。研究室では夜遅くまでつめて実験をしたり、時には鍋を囲んだりと、充実した楽しい思い出が残っています。研究成果が出れば、積極的に学会に参加させてくれたので、みんな何か発表しようという意欲で頑張っていました。この2年間で研究の面白さを知り、その後念願だった研究職に就いてからの取り組みの基礎が培われたと感じています。企業で研究の仕事をしたいという人は、様々な制約のある組織に入る前に、JAISTで思い切りやりたい研究に打ち込んでおくといいと思います。

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