発表者: 佐藤尚 (橋本研M1) タイトル: 協調行動発現要因に関する一考察 アブストラクト: 複雑な情報処理や推論、高度なレベルのコミュニケーションなどを 行っているとは考え難い昆虫レベルの群行動に注目してみると、そこでは 例えば、社会性昆虫と呼ばれる蟻や蜂などのフェロモンやダンスによる コミュニケーションなどに見られるように、非常に単純な枠組のコミュニ ケーション手段を用いることにより協調的群行動を発現し、群としての 目的を達成している。 しかしながら、群を成す他の動物も同様のコミュニケーションを行うことに よって協調行動を発現させているとは限らない。では、どのようなものが、 協調行動を発現させるための、または、既に成立している協調行動をより 円滑化させるための「キー」になっているのだろうか。 本発表では、「信頼」という多義性の高い概念を工学的にモデル化し、 それを基盤とした関係が個体間に生じることによって、群に対してどの ような影響を与えるかということを議論するための道具として、計算機上で 観察・実験するためのマルチエージェント・モデルを紹介する。