発表者:佐藤 尚 タイトル:  研究の進捗状況報告:主観的関係モデルの構築 内容:   これまで行われてきた社会的ネットワーク研究では、  得られたネットワークの構造や特徴が「なぜ出たのか?」  という問いに対する答えを設定したルールや条件から  得ようとしてきた。すなわち、ネットワーク自体は静的に  捉えられているのである。   一方、それらが「どのように出たのか?」という  問いには答えられていない場合が殆どである。これは  ネットワークおよびネットワークを構成する個体(ノード)の  状態変化の過程、すなわち、「ダイナミクス」に注目する  という視座が欠けていただめであろう。   また、この分野で提案されてきたモデルは、殆どの場合、  関係の種類が1つであり、関係の種類や状態などの質的  変化に注目していたものは殆ど無かった。   そこで、本研究では、多種の関係を用意することにより、  多様な関係間相互作用の影響について調べる。具体的には、  複数の関係の多様な変化がもたらすネットワーク構造への  影響(と同時にネットワーク構造の変化からもたらされる  影響によって関係がどのように変化するのか?)を調べる  ことにより、社会的ネットワークを動的に捉える。   本研究では、これまで答えられていなかったWhy?とHow?の  両方の問いに対する答えを同時に「関係のダイナミクス」  から得ることを目的とする。   今回のゼミでは現在構築中の「Subjective Relationship  Model」を紹介し、モデルの問題点および単純化すべき点に  ついて議論したい。