発表者:畠山剛臣 日 時:2003/10/30(木)15:30- 場 所:7階ゼミ室 タイトル:論文紹介 C.Furusawa, K.Kaneko Zipf's Law in Gene Expression, physical review letters, 2003, Vol.90, No.8 Abstract さまざまな器官や組織での遺伝子発現がZipf's Law(ジップ則)に従う。 Zipfの法則(Zipf's law)とは? ハーバードの言語の教授ジョージ・キングズレーZipf(1902-1950)にちなんで命名された法則で、 文書中の語を出現頻度順に並べて順序をつけると、その順位rと頻度fの積が定数Cになるという経験則。 rf=C Zipfの法則のような、一般的に「べき乗則」と呼ばれる法則は、さまざまな自然現象で観察されており、 例えば、都市人口規模と都市人口順位の関係や、地震の規模と頻度の関係(グーテンベルク=リヒター法則) もあてはまる。(例えば、一定期間内でM7級地震は1回、M6は10回、M5は100回という関係) Webサイトの利用数と人気度ランクもZipf則に従うことが知られている。 論文ではこの法則が遺伝子発現にも当てはまるということが示されている。 さらに簡単な細胞モデルでもこの現象が観察されていて、この法則が成り立つパラメータ領域などについて分析している。 モデルシミュレーションでは、細胞内分子数(縦軸)とその順位(横軸)の対数グラフが-1の傾きになるとき、 数の少ない分子は数の多い分子を触媒しており、触媒された分子はさらに数の多い分子を触媒しており、、、と それが階層構造になっているというのが述べられている。 このことから、細胞内では、大量にある分子よりも少数の分子の方が重要な役割を担っているということ述べている。