日時 2013年1月31日 10:30-12:00 場所 知識科学研究科2棟6階 コラボレーションルーム3 報告主題 Max-PLus代数の新分野としてのリカード貿易論 講演者 塩沢由典(中央大学商学部教授) 要旨 Max-plus代数は、加算 a+b を max{a, b}、乗算 a b を a+b と定義して 得られる半環のを言います。この代数の上に、(最適化を含む)解析や、 代数学あるいは幾何学をやろうとする数学をトロピカル数学(たとえば、 トロビカル幾何学)と呼びます。一面では純数学的な興味から始められた ものですが、応用面でも注目され、輸送ネットワーク、スケジュリング、 離散記号処理など時間付きイベントグラフで表される対象(離散事象システム、 http://maxplus.org/)の記述数学として使われています。目新しいだけで、 特に難しいものではありません。たけしのコマ大数学科198講(2010年9月24日) でも紹介されました。日本では、微分方程式の超離散化に現れる数学構造 としても注目されています(広田・高橋『差分と超離散』)。本報告では、 リカード貿易理論が、乗算を通常の掛け算とする、よりフツウのMax-times 代数(つまり a+b を max{a, b}、a b を a・b と定義する代数)上の凸幾何 学と考えられることを示します。経済学では、3国3財の場合も難しいとされ てきましたが、この発見により、一般のM国N財の貿易化の生産構造が見通し よく解析できるようになりました。