
先端AIとデータの共創で、
科学的知見の切り拓きを楽しもう
先端AIデータ駆動知識創成研究室
Data-Driven AI for Scientific Discovery Laboratory
教授:ダム ヒョウ チ(DAM Hieu-Chi)
E-mail:
[研究分野]
計算物理学、データ解析学
[キーワード]
計算機シミュレーション、データマイニング
研究を始めるのに必要な知識・能力
統計学・線形代数学・プログラミングの基礎知識。実際の現象を観察し、そこから原理解明、逆問題を探究することを楽しめる意欲。
この研究で身につく能力
研究室での研究活動は、AIや機械学習を用いた科学的発見に取り組むことで、以下のような能力を養うことを目指しています。まず、現実の課題を正確に把握し、それをデータ解析問題として整理・設計できる力を身につけます。そして、現場の実感や素朴なアイデアを出発点に、統計学や機械学習、逆問題解析などの基礎理論を使いこなし、アルゴリズムを開発・評価する実践力を培います。研究活動では、AIを活用した仮説生成や複雑データからの知見抽出など、AI共創的なアプローチを通じて新たな科学的知見を得る経験を積みます。また、プレゼンテーションやディスカッションを重ねることで、批判的思考力を高めると同時に、日本語と英語両方の文献を読みこなすリテラシーを身につけます。最終的には、学際的なテーマにも柔軟に対応し、AIを効果的に取り入れながら問題解決へと導く総合的なスキルを習得し、幅広い分野でブレークスルーを加速できる人材として成長することを目指します。
【就職先企業・職種】 データサイエンス、情報通信・情報処理産業、技術コンサルタント会社など
研究内容
本研究室では、最先端のAI技術が科学的発見をどのように加速・高度化できるかを探究・技術開発しています。機械学習、深層学習、統計的推論、エビデンス理論、最適化手法などを組み合わせることで、複雑なデータから隠れた知見を抽出し、新たな仮説を生み出し、科学的推論をより洗練させることを目指しています。研究は以下の3つのテーマを柱としています。
計算機モデルや統計手法を活用し、複雑なシステムや大規模データのパターンを解析して、革新的な解決策や理論を提案します。
人間の経験・専門知識とAIの分析力を掛け合わせることで、効果的な研究課題の設定や実験デザイン、成果の深い解釈を可能にします。
観測データから見えない因果関係や根本的なメカニズムを推定するアプローチを探求し、多様な科学技術分野における意思決定や設計プロセスを支援します。
図1:材料に関する知識を発見するための注意機構
図2:物質の構造物性研究の説明可能な深層学習モデル
主な研究業績
- M. Q. Ha and H. C. Dam et al., “Evidence-based recommender system for high-entropy alloys”, Nature Computational Science, 1, 470–478 (2021).
- T. S. Vu and H. C. Dam et al., “Towards understanding structure–property relations in materials with interpretable deep learning”, npj Computational Materials, 9, 215 (2023).
- T. Isogai and H. C. Dam, “Building classification trees on Japanese stock groups partitioned by network clustering”, IEEJ Transactions on Electronics, Information and Systems, 137, 10 (2017).
使用装置
高性能コンピューティングクラスター:マルチコアCPUとGPUを搭載した複数のハイエンドサーバ。大規模並列計算、シミュレーション、深層学習に対応
研究室の指導方針
本研究室では、現実の課題に積極的に取り組み、基礎理論を的確に理解・応用できる学生の育成を目指しています。データ駆動型のAI研究においては、まず現場を理解し関係者への共感を大切にし、観測された課題をデータ解析へと落とし込み、必要なアルゴリズムを開発・評価する流れを重視しています。週に2回ほど開催する学生主体の学習ゼミや英語学習会では、日本語と英語の教材を用いながら、理論と実践を結びつける力を養い、多様な分野におけるデータ駆動型の問題解決に備える指導を行っています。
[研究室HP] URL: https://www.jaist.ac.jp/~dam/