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鵜木研究室

「聴く」を科学してヒトの生活をより良いものに

鵜木研究室 UNOKI Laboratory
講師:木谷 俊介(KIDANI Shunsuke)

E-mail:E-mai
[研究分野]
聴覚情報処理、聴覚心理、音声知覚
[キーワード]
聴覚的注意、聴覚の発達、隠れた難聴、音の質感、ことばの鎖、ロンバード効果

研究を始めるのに必要な知識・能力

音響学、聴覚心理、プログラミング、統計・検定の知識があることが望ましいですが、入学時点で揃っている必要はありません。これらを研究しながら身に着けていく気力が最も必要です。そして、その気力を継続する体力もある程度必要です。

この研究で身につく能力

聴覚の研究をとおして、問題を解決する能力や何らかの事象の原因・要因を突き詰める能力を身につけます。問題解決や原因究明には、仮説を立て、仮説を検証する方法を立案し、その方法を実施し、さらに実施した結果を評価することが必要です。研究を経験することで、これら一連の過程を自ら実施できる人材となることが期待できます。また、研究成果の対外発表をとおして、プレゼン能力の向上も期待できます。

研究内容

 ヒトは、空気の振動を耳で捉えて音を聴いています。物理的には同じ空気の振動でも、音の感じ方は異なります。それは、個人間ではもちろんのこと、個人内でも変化します。例えば、同じ音楽であっても、好きと感じる人もいれば、嫌いと感じる人もいるでしょう。恋人と一緒に聞いているときは良く感じた音楽でも、失恋の後では良くない音楽になるかもしれません。このような、音を聴くこと、聴いて感じることについて、ヒトが行っている聴覚の情報処理(メカニズム)の研究をしています。

現在行っている研究テーマの一部を紹介します。
〇選択的聴取の研究
 いくつもの音がある環境でも、ヒトは狙った音を選択的に聴き取ることができます。これを選択的聴取と呼びます。このとき、狙った音への注意を切り替えることによって、聴き取れる音が切り替わります。このような選択的聴取や注意の切り替えは多くのヒトができますが、そのメカニズムは分かっていません。選択的聴取のメカニズムを明らかにする研究を行っています。
 また、聴力検査では問題がないけれども、にぎやかな環境では相手の声が聴き取れないという現象があります。これは隠れた難聴や聴覚情報処理障害(APD)と呼ばれています。選択的聴取のメカニズムが分かれば、隠れた難聴やAPDで困っている方への補助ができるようになるかもしれません。
kidani1.jpg 音を聴く能力は、幼児の段階で成人と同程度になります。一方で、選択的聴取は小学生でも成長段階です。しかし、何歳でどの程度できているのかは明らかになっておらず、子どもたちが過ごす環境は、選択的聴取の発達に応じた音環境になっていません。子どもの選択的聴取の発達過程を調べながら、子どもが過ごす音環境の改善にも取り組んでいます。

〇謡曲の質感の研究
 音にも様々な物質のように質感があります。澄んだ声やざらついた音と聞けば想像ができるのではないでしょうか。さらに、質感のある音は、情動に働きかけるものがあります。音のどのような物理特徴が、ヒトに音の質感や情動を引き起こすのかを研究しています。
 現在は、日本の伝統芸能である能楽を研究対象にしています。能楽の良さや優美さを表すものとして、幽玄という言葉が用いられます。能楽の歌唱である謡曲を対象に、幽玄を感じさせる謡曲の音響特徴を明らかにすることを目指しています。幽玄に重要な音響特徴を明らかにできれば、音楽家でなくともヒトの心を感動させる音の操作が可能になるかもしれません。

主な研究業績

  1. S. Kidani, R. Miyauchi, and M. Unoki, “Presentation effect of cue tone on tuning of auditory filter for several frequencies,” Acoustical Science and Technology, 41(1), pp. 378–379, 2020.
  2. H-I Liao, M. Yoneya, S. Kidani, M. Kashino, and S. Furukawa, “Human pupillary dilation response to deviant auditory stimuli: effects of stimulus properties and voluntary attention, Frontiers in Neuroscience, DOI: 10.3389/fnins.2016.00043, 2016.
  3. H-I Liao, S. Kidani, M. Yoneya, M. Kashino, and S. Furukawa, “Correspondences among pupillary dilation response, subjective salience of sounds, and loudness, Psychonomic Bulletin & Review, 23(2), pp. 412425, 2016.

使用装置

防音室、簡易無響室
心理物理実験装置
簡易脳波計

研究室の指導方針

科学研究には、「正確性」、「速報性」、「再現性」が求められます。これらは、科学研究に限らず、社会のあらゆる面で必要な事項です。日常の議論や成果報告において、これらを実施できるように指導します。心身の健康とゆとりがなくては、良い研究・勉強はできません。充実した大学院生活となるように支援します。一緒に「前向きに」、「上向きに」、「外向きに」活動することで、今より良い社会を目指しましょう。

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