自然環境と生体物質の歴史に学ぶ
ー高分子の世界に挑戦!ー
DRY & WET マター研究室
Laboratory on DRY & WET Matter
准教授:桶葭 興資(OKEYOSHI Kosuke)
E-mail:
[研究分野]
高分子科学、光化学、ソフトマター
[キーワード]
ゲル、水、多糖、パターン形成、光機能材料、エネルギー変換材料、バイオインスパイアード材料
研究を始めるのに必要な知識・能力
高分子科学、物理化学、材料科学、光化学、ソフトマターの基礎知識や経験を持っていると望ましいでしょう。そして何より、チャレンジングスピリットを強く持っている人、好奇心の強い人、思考の持久力を高めたい人と研究を始めたいと考えています。
この研究で身につく能力
論理説明能力・解釈能力、科学的な仮説検証・立案力、高精度なディスカッション力、発表能力、英語コミュニケーション力
学問分野:高分子科学、光化学、ソフトマター、界面科学、コロイド科学、幾何学、非平衡科学など
【就職先企業・職種】 化学メーカー、医療機器メーカー、エネルギー関連、材料全般、食品関連、化粧品関連など
研究内容
自然界を見渡すと、目に見えるレベルで綺麗なパターンがたくさんあります。たとえば、雪の結晶が水分子で構成される一方、生体組織は様々な小さな分子から組み上がり、マクロな幾何学構造をあらわにします。これは、物質そのものにだけ由来している訳ではなく、外的な環境が強く作用した結果です。変化する外界環境に適応できるように生命が進化した結果、多様な空間パターンやリズムが生まれています。
物理環境を制御して、高分子などのソフトマテリアルからパターンを創り出す研究は歴史的に長くなされています。そこにはスケールを超えた物理や数理が潜在し、生物もそれらを取り込んで活動し成長しています。直近の研究で我々は、生体高分子の多糖が自らパターンを再構築する現象を発見しました。特に、一つの界面が複数に分割する「界面分割現象」に取り組んでいます。この際、パターン形成の特徴:対称性の破れ、非同期性、さらに、高分子種に依存しない普遍性の解明に至っています。ここで、なぜ、どのように、パターンをつくるのか?物質群の根底に在る法則性とスケールを超えた普遍性について、その意義理解をテーマとしています。
1.DRY で WET な多糖と分割現象
自然が創り出した多糖は、どのように分子スケールを超えて幾何学パターンを生み出すのか?特に、乾燥環境下で多糖が見せるパターン形成の法則を検証しています。DRY でWET な非平衡環境下、ミクロにもマクロにも多糖が水中から再び組織化してきます。実際の生体組織が常に乾燥環境におかれながらも、 WET なからだを維持していることを振り返ってみれば、水中から陸上進出した生体高分子の進化を紐解く鍵があるはずです。
2.ソフトマテリアルのパターン形成
生体高分子、合成高分子に関わらず多くのソフトマテリアルは、界面の応力制御によって分子形態を様々に変化させます。事実、ほんの小さな環境の違いや僅かな力学的エネルギー負荷によって、多様なパターンを現します(自己集合、自己相似など:図参照)。特に、水などの溶媒が蒸発する界面は自然界に共通する重要な場です。これを利用して環境に適応する先端材料を設計したいと考えています。
これら「自然美の探究」を基に、現象の普遍法則とそのメカニズムの探索・理解が究極目標です。そして、生物がなぜパターンを創るようになったのか?自然科学の大命題に挑戦しています。

主な研究業績
- Nonequilibrium period with emergence of Marangoni circulations in meniscus splitting. Wu L, Okeyoshi K, Advanced Materials Interfaces 13, e00655 (2026).
- Symmetry breaking in meniscus splitting: Effects of boundary conditions and polymeric membrane growth. Nguyen TKL, Hatta T, Ogura K, Tonomura Y, Okeyoshi K, Advanced Science 12, e3807 (2025).
- Design of open systems for meniscus splitting demonstrated using an aqueous polymer solution. Hagiwara R, Okeyoshi K, Science and Technology of Advanced Materials 26, 2512704 (2025).
使用装置
各種光学顕微鏡、各種光学装置(偏光、蛍光など)、画像解析装置、粘度計、密度計、表面張力計、動的光散乱、電子顕微鏡
研究室の指導方針
社会で働くトレーニング期間として、個人個人の能力を最大限に発揮できるようにサポートします。我々のグループは研究・文化の両面で多様な環境に在り、多角的な視野を構築する上で日本でも稀に見る貴重なチャンスです。突出した研究をみなさんと進めたいと考えています。そのためにも以下1-3の基礎を実践していきます。1. 実験とディスカッションを通して論理的思考力と先見性の能力を養う。2. 仮説と検証を繰り返し大目標にアプローチする。 3. 学会発表、学術論文発表を念頭に科学的言語を使う。これらの積み重ねを自信にして創造力を高めていきたいと考えています。熱いハートのみなさん、ぜひ21世紀のパイオニアを目指して一緒にチャレンジしましょう!
[研究室HP] URL:https://sites.google.com/oke-acgroup.com/web/home-j