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堀田研究室

自分の考えを取り入れた省エネ技術で、
電子材料薄膜・デバイスを作製してみよう

堀田研究室 HORITA Laboratory
教授:堀田 將(HORITA Susumu)

E-mail:E-mai
[研究分野]
電子デバイス、固体電子物性、薄膜形成
[キーワード]
低温作製、電子材料、シリコン系、電子物性

研究を始めるのに必要な知識・能力

 電子材料・電子デバイスの研究には、物理を問わず、あらゆる分野の知識が必要とされますが、研究を始めるには、必ずしも深いものは必要ありません。そのため、高校レベル程度の基本的な物理、数学、化学の知識があれば十分で、さらに深く考えることが好きならば、最高です。

この研究で身につく能力

 社会に貢献できる開発・研究には、長く考えることができる粘り強い頭と地道に努力できるタフな心が必要とされています。本研究室では、電子材料薄膜の省エネ・低温作製に関する研究を通して、薄膜材料の堆積・デバイス作製・膜質評価技術、固体電子物性(特に半導体分野)などの知識・技術の修得は勿論のこと、入学前に比べて見違えるように変わった自分自身を感じ取ることができます。さらに、結果として、研究を楽しむこと、目標を達成したことによる充実感・喜び、つまり研究を通しての生きがいも分かるようになります。

【就職先企業・職種】 電気系関連会社、材料製造装置(半導体装置)会社などの技術者、研究者

研究内容

 電子機器・製品に用いられているトランジスタ(Tr)は、主に600〜1000℃の高温度で作製されており、我々の日常生活からすると極めて高い温度です。 本研究室では、Tr 材料である半導体・シリコン(Si)と絶縁体・酸化Si(SiO2)薄膜を、環境負荷の少ない200℃以下の低温で形成し、最終的に紙上へのTr作製を実現して、社会への省エネ、省資源化、環境保護に貢献したいと考えています。

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図1.430℃ でYSZ界面から低温結晶化した
Si薄膜の断面TEM像。

1)結晶化誘発層とレーザーを用いた結晶化Si 薄膜の低温作製

 ガラスなどの安価な基板表面は、結晶情報が無い非晶質のため、その上に低温で形成するSi 薄膜は非晶質あるいは質の悪い多結晶となります。そこで、結晶性絶縁物YSZ(イットリア安定化ジルコニア:Yttria-Stabilized Zirconia)層を基板(主にガラス)表面にあらかじめ低温で形成し、そのYSZ の結晶情報によりSi薄膜の結晶化をより低温で良好に誘発させることを検討しています。図1から、YSZ 層界面からSi 結晶が成長しており、YSZ 層がSi の低温結晶化を促進していることが分かります。現在は、パルスレーザーを用いた室温作製を検討しています。

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図2.シリコーンオイルとオゾンガスとによる
Si基板上に形成したSi02薄膜の断面SEM像

2)シリコーンオイルとオゾンガスとによるSiO2薄膜の低温作製

 化粧水にも使われるシリコーンオイルと環境負荷の無いオゾンを用いて、SiO2薄膜を作製しています。窒素ガスのバブリングによりガス化したシリコーンオイル蒸気とオゾン発生装置により得たオゾンとを200℃以下の低温で混合・反応させて作製します。図2に、Si 基板上に200℃で作製した酸化Si 薄膜断面の走査型電子顕微鏡写真を示します。 厚さ約100nm の平坦な酸化Si 薄膜が形成されていることが分かります。現在、如何なる低温作製でも本質的な課題であり、膜中に多量に含まれかつ絶縁性を悪くする水分の除去法を捜しています。

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図3.(左) セルロースナノペーバ(CNP) と普通紙との比較(阪大 能木提供)
(右)CNP を基板とした薄膜トランジスタ(TFT) の模式図。

3)セルロースナノペーパー(CNP)上へのトランジスタ作製

 図3に、CNPと通常の白紙との比較写真(左)と、その上に形成した薄膜Tr(TFT)の模式図(右)を示します。CNPは通常紙に比べて透明で、表面凹凸がnmレベルと平滑です。それは、 紙の主成分である植物セルロース繊維の幅が、通常紙ではμm オーダですが、CNP は数十nm 以下と極めて細いためです。この平滑な表面上に、厚さ数100nm 以下のTr 作製を試みています。セルロースは地球上全ての植物に含まれる無尽蔵な天然資源であり、Tr は石の主成分であるSi、O から出来ていることから、CNP 上のTr は、まさしく土に返せる究極の使い捨て半導体デバイスになると期待しています。

主な研究業績

  1. S. Horita and P. Jain, Dependences of deposition rate and OH content on concentration of added trichloroethylene in low-temperature silicon oxide films deposited using silicone oil and ozone gas, Jpn. J. Appl. Phys., 57, 03DA02 1-7 (2018).
  2. M. T. K. Lien and S. Horita, Material properties of pulsed-laser crystallized Si thin films grown on yttria-stabilized zirconia crystallization- induction layers by two-step irradiation method, Jpn. J. Appl. Phys., 55, 03CB02 1-8 (2016).
  3. S. Horita and B. N. Q. Trinh, Disturb-Free Writing Operation for Ferroelectric Gate Field-Effect Transistor Memories with Intermediate Electrodes, IEEE Trans. Electron Devices, 56, 3090-3096 (2009).

使用装置

Nd:YAGレーザー
イオン注入装置
X線回折装置
X線光電子分光装置
ラマン分光装置

研究室の共同専攻における強み

上記研究の実用化も含めた実現には、材料物性の微視的な理解と制御に加え、ナノからメートルオーダまでの均一性な物性やデバイスの新作製法が求められます。この共同専攻では、本研究室だけでは不可能な、原子、電子の動きの詳細な観測や、メートルからナノレベルまで品質評価観測技術のある金沢大学教員との連携で、それが可能となります。また、システム系との連携により、ネットワークの自己修復機能を応用したデバイスの新修復技術の開発や、医学系との連携により、人体に無害なトランジスタによる体温、発汗、脈などの生理現象センサーへの応用なども可能となります。この様に本研究室では、異なる組織の異分野教員との共同指導・研究を通じて、研究力のグローバル化を図ります。

[研究室HP] URL:https://www.jaist.ac.jp/ms/labs/handoutai/horita-lab/horita.html

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