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平成30年度学位記授与式を挙行

 3月22日(金)、平成30年度学位記授与式が白山市鶴来総合文化会館(クレイン)文化ホールにおいて挙行され、博士前期課程263名、博士後期課程23名の計286名に学位記が授与されました。

 浅野学長から修了生に学位記が授与され、修了生は学系長、指導教員と握手を交わしました。
 修了者代表による謝辞の後、大学歌の斉唱が行われました。

修了者内訳

博士前期課程 博士後期課程
知識科学研究科 4 5
情報科学研究科 6 6
マテリアルサイエンス研究科 0 3
先端科学技術研究科 知識科学系 73 2
情報科学系 81 2
マテリアルサイエンス系 99 5
合計 263 23
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式典開始前に披露された
クラシックギターの演奏
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学位記を受け取る学生

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優秀修了者表彰

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告辞を述べる浅野学長
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修了者代表謝辞

学長告辞

 修了生諸君、おめでとうございます。ご家族や友人、教員の皆様、おめでとうございます。北陸先端科学技術大学院大学を代表してお祝いとお礼を申し上げたいと思います。

 皆さんご承知のように、今世界は激動の時代にあります。昔は大企業に入って定年まで勤めるということが理想だとされてきましたが、今日では大企業といえども、いつまでも存続するという保証はありません。折角身に着けた技術にしても、その技術をいつまで活かすことができるのか、分かりません。このような不確実な世界を生きていくにはどうすればいいのでしょうか?私は知的たくましさこそ、現代を生き抜く上で最も重要な能力だと思っています。知的たくましさとは、より広い経験と知を求める挑戦力を持ち続けることです。新たなことを恐れず、常に挑戦し続ける心を持てば、何も恐れることはありません。

 ところで、私の研究分野は情報科学の中でもアルゴリズムという分野です。アルゴリズム研究とは、どのような手順に従えば与えられた問題を解くことができるかを考える学問分野です。まずは、問題を解く手順が存在するのかどうかを調べ、2通り以上の手順が存在するなら、どれが良いかを比較します。最終目標は、ある基準の下で最適な手順を見つけると共に、それ以上の性能をもつ手順が存在しないことを証明することです。この最後の段階が難しいところです。というのは、基準が変われば最適解も変わってしまうからです。
 アルゴリズム研究では、ある基準で最適な手順、すなわち最適なアルゴリズムを見つけることができたとしても、それが終わりではありません。基準を変えたらどうなるだろうか、というのが次に来る疑問です。このようにアルゴリズムの研究においては終わりがありません。最適なアルゴリズムを得たと思っても、また別の基準に当てはめれば最適でないということがあるからです。

 私の専門であった計算幾何学を例にとってお話しします。平面上に多数の点の座標が与えられているとき、それらの点からの距離の2乗和を最小にする点を求める問題を考えましょう。すぐに思いつくのは、任意の点から出発して、その近傍の点を適当に取り、どちらが距離の2乗和が小さいかを比較します。もし近傍の点の方が小さい値をもつなら、その近傍の点を現在の点とし、そうでなければ、近傍の点を単に無視します。これを繰り返して、どんどん良い点に置き換えていくと、与えられた点からの距離の2乗和はどんどん小さくなっていきます。実際、近傍の取り方をうまく調節すれば、ある1点に収束するので、その点を出力すればいいということになります。
 このアルゴリズムの一つの致命的な欠陥は、うまく近傍を選ばなければ収束しないということにあります。では、全く違った方法、アルゴリズムはないのでしょうか?実は、この問題は簡単です。点の座標が与えられているので、そのx座標の平均値とy座標の平均値で決まる点を求めて出力すれば、それが与えられた点からの距離の2乗和を最小にする点です。繰り返し計算することは必要ありません。

 では、問題を少しだけ変えて考えてみましょう。先ほどの問題では、与えられた点からの距離の2乗和を最小にする点を求めようとしました。2乗和ではなく、単に距離の和を最小にする点を求めることにするとどうでしょう?今度は座標の平均値を取っても、それが最適な点ではありません。実は、座標値だけを用いて最適な点を特徴づけることはできない、ということが数学的に証明されています。したがって、この場合は、先に述べた逐次改良法ぐらいしか方法が思いつきません。他方、評価の高い点を順次求めるという逐次改良法で最適解にいくらでも近づけるということも証明されています。

 少し長くなってしまいましたが、私が言いたかったことは、アルゴリズム研究では現在の解に満足せず、何か改良点はないかと「しつこく」良い解を求め続けることが求められるということです。そういった態度は生きて行く上で大切です。一つの解に満足せず、常により良い解を求める努力を続けていれば人間は成長し続けることができるのではないでしょうか?

 これからの人生を生きて行く上で、多くの困難が待ち構えていると思います。新たなことを恐れず、常に変化に対して挑戦し続ける心を持てば、何も恐れることはありません。これが知的たくましさです。諸君のすべてが知的にたくましく、新たなことに次々と挑戦していくことによって、今後の社会や会社で偉大なリーダーとなり、未曾有の発展へと導いてくれることを願って私のはなむけのことばとします。

平成31年3月22日

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