これまでにやってきた研究,今も続けている研究について


発散的思考を支援するシステムの研究

思いがけない視点や見逃している関連情報を抽出し提供してくれる,話し相手 としての「エージェント」を実現するための研究を進めています.さらに,様々 なドメイン知識を持って上記の作業を行う複数のエージェント同士が,その知識 を交換しあうことにより,より効果的に情報抽出を行うことができるように するための研究を進めています.

成果:創造的思考作業の様々な側面を個々に支援するエージェント群 によって日常的対話の創造的側面を触発する対話支援マルチエージェントシス テムAIDE (Augmented Informative Discussion Environment),対話に おける話題状況に応じて,ちょっと視点の違う情報を新たな話題のタネとして 提供するエージェント Conversationalist

自然言語によるインフォーマルな日常的対話(いわゆる「雑談」など)における対話状況を把握する手法の研究

人間同士の対話空間に思考支援エージェントが介入する際,どんなタイミング でどのように介入するのがもっとも効果的かを調べています.そのために, 人間同士の「対話」の状況をリアルタイムに把握する手法の研究を進めています. 特に,複数ドメインに話題がまたがり,かつ対話構造を特定することが難しい 「雑談」の状況把握手法を研究しています.これは,雑談が潜在的に非常に 情報豊かで創造性に富む場だと考えるからです.

成果:不特定分野における自由対話を書き起こした対談文について, その話題転換を遅延なく検出する手法の確立

非言語的手段による対話における創造性の支援技術の研究

創造的な対話は自然言語によるものだけではありません.たとえば,音楽にお いては対話は非常に本質的な行為であり,対話を通じて多様な創造がなされます. これは,ジャズの即興演奏において顕著に見ることができる現象なので,現在は ジャズにおける複数の演奏者による即興演奏を支援する手法の研究を進めています.

成果:ジャズの理論を知らない人でもジャズっぽい即興演奏をするこ とができるようになるシステムRhyMe,複数の演奏者による演奏フレー ズの相互の関係を二次元空間構造として可視化することにより,演奏全体の構 造を表出するとともに,新たなフレーズ生成のタネを提供するシステム Music-AIDE

汎用的マルチメディアアート製作ツールの研究

マルチメディアアートの創作は,近年多数のアーティストによって盛んに行わ れています.しかし,それらの作品で使用されている創作ツールは,それらの 作品のため「のみ」に作られたものであり,したがって,それらのツールを他 の作品の製作に使用することは原則としてできません.そこで,音楽における ピアノやヴァイオリンのように,特定の作品に依存しない,汎用的に使用可能 なマルチメディアアート創作ツールの実現手法について研究しています.

成果:複数メディアを同時に操作する際に不可避な認知的過負荷をコ ンピュータの支援により低減させることにより,すべてのメディアに対する演 奏意図表現の表出を可能としたマルチメディアアート創作システム MusiKalScope(Ver.1.),メディア非依存の「共通属性」を操作する,4 種類の汎用マルチメディアインストゥルメントによって構成され,音楽と万華 鏡様の映像を4名の演奏者の協調によって実時間的に創作演奏するシステム MusiKalScope-2


詳細は私の博士学位論文をご覧下さい. 論文全文 dthesis.ps.gz(約2Mbytes)日本語概要 (in html text)Abstract (in html text)ZUSAMMENFASSUNG (in LaTeX format)