Neteco06 Poster (Y.Hayashi)

第2回シンポ ポスター発表概要

3月13日(月) ポスター発表1
大久保 潤,田中 和之(東北大学大学院 情報科学研究科)
題目:壺モデルの解析と複雑ネットワーク研究への応用
概要: 壺モデルとよばれる数理モデルと複雑ネットワークとの関連について述べ,壺モデルの解析を応用した例について発表する.まず壺モデルの解析計算によって,スケールフリー的な構造をもったネットワークの生成条件について考察する.また経済物理等への応用として,ネットワーク上での壺モデルを考え,パレート分布のようなべき分布の生成条件について調べる.結果として,ランダム性がスケールフリー構造(べき分布)の生成に大きな寄与をする場合が存在することが判明した.

中村 隆志・結城 宏美(新潟大学 人文学部)
題目:Webコミュニティにおける相互行為儀礼と階層性
概要:  本発表では、Webコミュニティ内の階層構造を見いだし、社会的行為の側面を抽出することを目的とする。 Kumarら(1999)は、完全2部グラフ構造を全世界のWebサイトから抽出することに成功した。しかし、Kumarら及びその後続する研究では、コミュニティ内のサイトを2部グラフに分割することの社会的意味を検討していない。本研究では、Webサイトの運営を社会的な行為とみなし、リンクページ内でのリンク作成に、E. ゴフマンの相互行為理論を適用する。Webサイトを個、リンクを「敬意」としたとき、リンクページ内のリンク先の選択に、当該者の社会性を維持する行為が避けがたく随行すると仮定する。リンクページとそのリンク先を分析した結果、Webコミュニティのサイト間に階層性が見いだされる。この階層性はWebサイト運営者の社会的行為の帰結であることを示し、Webコミュニティ内の社会的儀礼行為の存在を指摘する。

小野 真裕, 石塚 満(東京大学大学院 情報理工学系研究科)
題目:囚人のジレンマゲームにおける空間上のエージェントの進化・学習
概要: 近年自律的なエージェントの学習の研究が盛んである.エージェントの工学的応用を考えると,システムのパフォーマンスは,ハードコーディング部分と,環境に適応可能な学習部分との組み合わせ方に影響を受ける事が予想される.また,マルチエージェント環境において,エージェント間の相互作用が空間構造によって制限される場合,エージェントの振る舞いはその空間構造に影響を受ける.学習による適応が有効な条件を明らかにすることは,エージェント設計指針のために必要である.本研究では,囚人のジレンマゲームを行うエージェントの進化・学習への空間構造の影響について報告する.

内田誠, 白山晋(東京大学大学院, 人工物工学研究センター)
題目:大規模ネットワークの構造と状態遷移の可視化
概要: ネットワーク構造の動的変化の様子やその上での物理現象や社会現象を計算機シミュレーションの手法によって分析する試みは多い。その結果を考察するためには、実際にネットワークの位相構造やその上での状態遷移を直接可視化することがもっとも効果的であると考えられるが、対象が大規模なネットワークになると可視化は非常に困難なものとなる。本発表では、ノード数が数万〜数十万規模の大規模ネットワークを対象とし、構造そのものに加えその時系列的成長の様子、クラスタ構造との関連、さらにネットワークにおける情報伝播の様子などを静止画および動画によって可視化する方法を提案する。そして、いくつかの現実のネットワークに提案手法を適用し、結果を提示する。

中野 豊, 岡部 寿男, 中村 素典(京都大学 情報学研究科, 学術情報メディアセンター)
題目:ネットニュースサーバ群のトポロジーにおける諸性質の分析
概要 本研究ではネットニュースを配信するサーバ群が構成するネットワークに注目する.ネットニュースはWWWやE-mail等とともにインターネット上で利用されるサービスの一つであり,数万のニュースグループ上で多数のユーザが議論を行う世界規模のネットワークである.しかしWWWやE-mailと異なり,ネットニュースを対象とした研究はこれまでわずかしか行われていない. 我々はネットニュースの配信サーバをノード,サーバ間の相互配送関係をリンクとしたネットワークを対象として次数分布, 平均経路長,クラスタ率を始めとしたネットワークの特性を調査し,他の実世界ネットワークや代表的なネットワークモデルとの比較分析を行う.さらに過去のニュース記事を基にこれらの性質の時間変化の分析も行う.その結果としてこのネットワークがスモールワールド性・スケールフリー性などの性質を持つことを示す.

本山 範明,佐藤 一憲(静岡大学 工学部), 増田 直紀(理化学研究所), 今野 紀生(横浜国立大学 工学研究院)
題目:Barabasi・Albert型ネットワーク上での伝染病伝播モデルのペア近似による解
概要: BarabasiとAlbertによって考えられたネットワークモデルとして、べき指数が3のスケールフリー・ネットワークモデルがある。現在、そのようなネットワーク上での伝染病伝播のダイナミクスが研究されているが、そこでは平均場近似を用いたモデルの解析が行われている。今回の研究では、ペア近似を用いた解析を考え、より良い近似を目的としている。

入山 史啓, 佐藤 一憲(静岡大学 理工学研究科)
題目:複数パッチ間を移動する資源獲得型競争の個体群ダイナミクス
概要: 複数パッチ間で移住→競争→繁殖を繰り返す個体群において、パッチ間ネトワーク構造を変化させた時にどのようなダイナミクスの変化が現れるか。 また、パッチ間ネットワーク構造と初期分布や移住確率との関係について調べる。

高田 寛喜, 斎藤 和己, 木村 昌弘(龍谷大学, NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
題目:トラックバックネットワークの入次数と出次数の相関分析
概要: 本研究では、ブログ空間のトラックバックネットワークにおける入次数と出次数の相関関係をWikipediaの記事参照とCiteSeerの論文参照の2つのネットワークと比較して分析した。入次数に対する出次数相関は、ブログとWikipediaで高い相関を示したが、出次数に対する入次数相関は、ブログのみで高い相関を示した。後者の相関が高い結果は、トラックバック参照によるネットワークの特有な性質であることが示唆される。

佐藤 進也(NTT未来ねっと研究所)
題目:共起ネットワークを利用した語の意味解釈について
概要: 語の意味の決定において文脈は重要な役割を持っている.その文脈を記述するものとして,当該語と共起するその他の語を挙げることができる.そして,語の共起関係を表すネットワークはそのような文脈の集合体であると考えられる.本発表では,語の意味の解釈を目的とした共起ネットワークの利用可能性について議論する.

船谷 浩之, 池田 和司(京都大学 工学部情報学科, 情報学研究科)
題目:遺伝的アルゴリズムのネットワーク学的解析
概要: 遺伝的アルゴリズムの状態遷移をネットワークとしてみなし、その性質を解析した。遺伝的アルゴリズムでは、突然変異と交叉によって、その状態を遷移させるので、遷移が可能な部分にリンクがあると考え、そのネットワークの性質について考察する。 突然変異は、隣接したノードへの移動であり、交叉は、別の基準での隣接したノードへの移動と見なすことが出来る。 いずれも、ネットワークとしてはレギュラーであるが、異なる基準を導入している事から、Small World 性が生じる。 この事を、簡単なモデルについて定量的に解析した。

三井 一平, 内田 誠, 白山 晋(東京大学大学院, 人工物研究センター)
題目:SNSにおけるコミュニティとクラスター構造の関係性について
概要: 近年, ネットワークモデルが盛んに提唱されているが, その多くは人同士の繋がりのみをモデル化している. しかし, 社会的ネットワークは, 人同士の繋がりだけでなく, 人と社会的コミュニティとの関係によっても規定される. 例えば, SNSにおいては, コミュニティと呼ばれる趣味や属性のグループが存在し, SNS内のネットワーク形成に重要な役割を果たしていると考えられる. 一方,様々なネットワークに対して,潜在的にクラスター構造が存在することが指摘され,その構造を顕在化するための方法や方法論が提案されている.本研究では,陽なコミュニティ構造を有するネットワークに対して, 局所的・全体的な相互作用を考慮したネットワーク成長モデルを提案し,このモデルによるシミュレーションによって,コミュニティとクラスター構造の関係を明らかにする.

鈴木 祐太, 古川園 智樹, 井庭 崇(慶應義塾大学)
題目:動的に変化するネットワークの可視化ツールの構築
概要: 近年、ネットワーク理論における研究成果を受けて、社会シミュレーションの分野でもスモールワールド・ネットワーク等を用いた分析が行われるようになってきた。このとき、研究を大別すると、固定的なネットワーク上で分析をする場合と、ネットワークの構造自体が動的に変化する場合の二つに分けることができる。前者の場合には、ある時点でのネットワーク構造のスナップショットを、既存の可視化ツールを用いて描画すればよいが、後者の場合にはそれでは不十分である。なぜなら、シミュレーション結果を把握するためには、ネットワークの空間的側面(ネットワークの構造)だけでなく時間的側面(ネットワークの変化)も考慮に入れて可視化する必要があるからである。本研究では、PlatBox Simulatorのビューアとして、ネットワークの構造と変化をわかりやすく可視化するツールを提案する。

宮崎 修次, 長島 靖(京都大学 情報学研究科)
題目:カオス力学系としてのワッツ・ストロガッツモデル
概要: 前回のシンポジウムでは,簡単な有向グラフをカオス的線形写像に対応付け,カオスの解析手法を用いてネットワークを解析する手法を提案した. 今回のシンポジウムでは,上述の手法をワッツ・ストロガッツモデルに適用して得られた結果を報告する.不変密度(PageRank),再帰時間統計,次数の対数(局所拡大率)の大偏差統計などについて 得られた結果を示し,スモールワールド性が対応するカオス力学系の持つどのような性質にあたるのかを明らかにする予定である.

中桐 斉之(兵庫県立大学 環境人間学部)
題目:モデル生態系における生息地の破壊とパリティ則
概要: n種のモデル生態系において、生息地破壊としてが及ぼされるとき、長期的応答がどの様になるのかを調べる研究を行った。モデル生態系として、二次元の格子上にn種の生物の存在するサイクリックな系を考える。したがって種1を種2がたべ、種2を3が食べ、…以下同様となる。これに、生息地の繋がりの破壊として、近接する2つの格子サイトの間に壁(破壊地)を壁密度Dでランダムに置く。n種類の生物のうち種2だけが、生息地破壊の影響を受け、他の種は壁の影響を全く受けないとするとき、壁の密度をあげると、全体の種数nが奇数の時と偶数の時で、系の長期的応答が異なるパリティ(偶奇性)法則が見つかった。パリティ法則は系の長期的応答において、生物間の相互作用がどんなパラメータを取るかと言うよりもむしろシステムのネットワーク構造が重要である事を示している。

芦澤 恵太, 宮崎 倫子(静岡大学大学院 理工学研究科)
題目:A Class of Adjacency Matrices in Multi-node Networks
概要: ネットワーク構造は,グラフもしくは対応する隣接行列で表現される.隣接行列が既約であるという概念は,グラフが強連結であることに対応し,ニューラルネットワークのモデル等でしばしば仮定される.本研究では隣接行列の固有ベクトルに着目することで,ネットワーク構造をカテゴライズした.相互作用をaruシンプルな遅延型微分方程式で記述すると,解のふるまいから同等の分類ができた.

3月14日(火) ポスター発表2

井上 さやか(東京大学 工学部 システム創成学科), 白山晋(東京大学大学院, 人工物工学研究センター)
題目:ネットワーク構造を考慮したネットワーク外部性市場の分析
概要: ネットワーク外部性市場の分析において、従来考慮されていなかった現実のネットワーク構造を考慮するため、複雑ネットワーク上に個人の意思決定モデルを組み込んでシミュレーションを行った。その結果、ネットワーク構造の違いによってネットワーク外部性の働き方に違いが見られ、構造に応じて企業のとるべき戦略が異なることが分かった。

柴田 尚樹(東京大学大学院 工学系研究科)
題目:学術論文の引用ネットワークからの新興学術分野の抽出
概要: 近年、イノベーションは、複数の学問分野の融合領域で起こる場合が増えている。他方、学問分野の細分化、学術知識生産量の増大によって、学術分野を俯瞰的に把握することは困難になってきている。こうした背景の中で、台頭しつつある新興の学術分野、論文群を迅速に発見することの重要性は増すばかりである。本研究では、学術論文の引用ネットワークから、新興の論文群を自動的に抽出する手法を提案する。学術論文をノード、引用関係をエッジとするネットワークに対し、トポロジカルなクラスタリング手法を用いて、論文クラスターを特定する。各論文クラスターの時間軸に沿った動的成長を考察することで、新興の論文クラスターを特定する。さらに、各論文のアブストラクトから特徴語を抽出し、論文クラスターに特徴語を付与することで、新興の論文クラスターのテーマも特定可能となる。

富田 真治, 林 幸雄(北陸先端科学技術大学院大学)
題目:県間人口移動のネットワーク分析
概要: 人口の過密化と過疎化は,日本において深刻な問題の一つとなっている.本研究では,県をノード,県間の人口移動量をリンクの太さと考え,県間の人口移動を,方向と重みを持つネットワークと捉える.そして,県間人口移動の定量的な分析を行う.具体的には,1,人口移動に影響を与える要因の仮定と検証, 2,県人口の規模と転入・転出量の相関関係の解明を行う.これにより,地方や国の政策決定において,考慮すべき事項や,その程度等を明らかにする.

鳥海 不二夫, 石井健一郎(名古屋大学 情報科学研究科)
題目:学級集団における友人ネットワーク形成シミュレーション
概要: 学級集団におけるコミュニケーションをモデル化することで,集団内の友人ネットワークがどのように形成されるかをマルチエージェントシミュレーションによって明らかにする.このとき,どのような性質を持ったエージェントが集団内でどのような役割を果たすかを分析し,適切な学級運営法を明らかにすることを目指す.

澤 義和(東京電機大学), 濱崎 雅弘, 西村 拓一(産業技術総合研究所), 戸辺 義人(東京電機大学)
題目:メッセージ解析による掲示板システムのコミュニティ異常状態発見手法
概要: 多種多様な人間の集まるコミュニティにおいて,規約に基づいた統制を行うためには管理者の存在が不可欠である.しかし,コミュニティの規模が拡大するにつれて,時折発生する「荒らし」などの迷惑発言を発見し,早期に適切な対応を行うことは困難になる. 本稿では,「荒らし」などの,通常の話題とは異なる発言に対する他の参加者のレスポンスメッセージ内に含まれる語句に注目する.参加者のメッセージから,異常発言発生時の共通した反応を検知する.これに加えて,本稿の分析対象となる掲示板システムの文書間リンク構造に注目した解析を行い,早期の問題発見に有効な手法を示す.

古川園 智樹, 鈴木 祐太, 井庭 崇(慶應義塾大学)
題目:国際システムにおける同盟ネットワークの変化
概要: 国際政治学では、国際社会はシステムとして捉えるのが一般的である。特に新現実主義では、国際政治システムはパワーの配分構造であるとされている。本研究では、同盟をネットワークとして捉えることで、国際政治におけるシステム観国際政治システムの構造を探る。その際に、近年の複雑ネットワークの知見を生かして、同盟ネットワークの変化を探り、国際政治システムの構造の変化を探る。

井庭 崇, 海野 愛, 野村 奈津子, 古川園 智樹(慶應義塾大学)
題目:スモールワールド型カオス結合系のダイナミクス
概要: 本研究では、カオス結合系をスモールワールド・ネットワーク構造で実現し、その振舞いを分析する。カオス結合系の一般的な構造としては、CML(結合写像格子)とGCM(大域結合マップ)が提案されているが、これらの構造は、それぞれ規則的ネットワークと全結合ネットワークに相当する。カオス結合系では、秩序的な状態と無秩序の状態の間を行き来する「カオス的遍歴」という現象が観察されているが、この現象は、ネットワーク構造が変わっても生じるのだろうか?ワッツとストロガッツの同期現象の研究によると、スモールワールド構造では、ショートカットの存在が情報を迅速に伝える役割を果たし、大域的な協調現象を効率的に行うことができることがわかっている。カオス結合系においては、このようなショートカットは、そのダイナミクスにどのような影響を及ぼすのだろうか? 本研究は、この点を明らかにする。

西田 正延, 林 幸雄(北陸先端科学技術大学院大学)
題目:コミュニティ間のブリッジに対する考察
概要: 本研究は1つのサイト上にある複数の掲示板上に形成させるネットワークコミュニティを対象にする。一定期間内に複数の掲示板で活動する人たちが特定の掲示板で活動した場合、掲示板がどの変化するか観察しその影響を考察する。

河内 佑美, 吉井 伸一郎 (北海道大学大学院 情報科学研究科)
題目:Eコマースネットワークのトポロジー解析によるブランドユーザの 発見
概要: インターネットオークションでの出品者,落札者の関係をネットワークとして捉え,その構造を解析し特徴を抽出する.特に,出品者から落札者への商品の流れを考慮した有向グラフを構造解析のためのアルゴリズムを適用することで,各ユーザの出品・落札履歴のみのデータでは現れない,ユーザ間の関係性によって導き出される特徴について議論を行う.

岡本 洋, 坪下 幸寛(富士ゼロックス(株)中央研究所)
題目:Information retrieval based on a neural-network system with continuous attractors
概要: This work deals with a problem at the interaction of two lines of research. i) It has been hypothesized in psychology that long-term memory (LTM) is archived in the network structure. In response to a facing situation, the brain can retrieve relevant information asshort-term memory (STM) from LTM. Recent neurophysiological findings of graded persistent activity suggest that neural mechanism of STM can be described by dynamical systems with continuous attractors. ii) One problem overwhelming modern scientists is a tremendous number of articles being published every year. Even for a narrowed topic, the number of articles to read often exceeds one’s capacity. It is therefore crucial to know which articles are central or peripheral and which relations between articles are mainstreams or tributaries. We have developed a document-retrieval system by the use of continuous-attractor dynamics. By analogy with context-dependent retrieval of STM from LTM, this system extracts a cluster of documents in response to a user’s query from a large citation network of articles.

福田 健介(国立情報学研究所)
題目:統計的トポロジ情報を意識したコンテンツキャシュ方式に向けて
概要: 本研究では,P2Pやweb上のコンテンツ流通において利用されるキャッシュ機構に着目し,ネットワーの構造パラメータの一つである次数情報を用いることで,ネットワークやサーバの負荷軽減が可能であるかを検討する.

坂田 真人, 吉野 直人, 石村 享久, 上林 憲行(東京工科大学 メディア学部)
題目:大学生を対象としたソーシャルキャピタル分析
概要:  本学のメディア学部生(140名)を対象として、ネットワーク分析を活用してソーシャルキャピタルの比較・分析を行った。分析結果は、「アルター数」7.79人、「実効サイズ」5.85人、「密度」30.42%であった。特徴的な分析結果として以下の結果が得られた。1)学年ごとに比較した場合、1,2学年と3,4学年で実効サイズに約0.5ポイント差があった 2)性別と出身地別では実効サイズに変化がなかった 3)メディア学部全体からサークルに所属している学生を抽出し、学部全体とサークル所属している学生を比較した場合、サークル所属の学生の方がやや実効サイズが高かった本学校のサークル3団体を対象としてソシオセントリックの解析から、以下の結果が得られた。4)サークル内の公式な組織(役職)と非公式な組織(役職関係なく)が一致した(乖離がない)5)サークル内に学年のクリークが存在する以上のことから、全体的に学生が持つ人的ネットワークネットワークは狭くて固定的であった。

内藤 進二, 上林 憲行(東京工科大学 メディア学部)
題目:企業内のイノベーション活動コミュニティを対象としたソーシャル・キャピタル分析
概要: 企業内において自発的にイノベーション活動を行う社内コミュニティ(富士ゼロックス(株)VHP)を対象として、イノベーション活動とソーシャル・キャピタルやイノベーションコミュニティ構造との関係についてネットワーク分析の手法を活用して分析したので報告をする。 コミュニティのネットワーク分析の結果としては平均アルター数12.23人、平均実効サイズ8.62、平均密度35.08%となった。特徴的な結果としては、職種別の実効サイズを比較すると技術系が一番高くて9.34、本社スタッフが二番目で8.74、三番目に営業系で8.03となった。年齢別にみると25-29は4.25、30-34は7.32、35-39は8.44、40-44は8.88、45-49は8.02、50-は10.91であり、特異点はあるものの加齢と共に実効サイズは増加する傾向がみられた。また、イノベーションコミュニティのネットワーク図作成も進めた。VHP限定(70名)のネットワーク図とFXG全体のネットワーク図(434名)を作成してみたところ、大域的なネットワークが主体であり孤立郡がほとんどないものとなった。それぞれのネットワークを職種別に区別してみたところ、営業と技術とではほとんど接点がないという職種間の壁が明確になった。
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