Imai_Kaneko'88(Y.Hayashi)

情報という用語の変遷(近代から現代)

「情報」の意味の変遷[上田,倉田92]

日本語辞書の「事情の知らせ」や軍事用語として意味から, 最近15年ほど前に英語の「information」の持つ豊富な語義が「情報」に付け加わった.

「information」意味の変遷

古い順の8つの意味(Oxford English Dictionary 第2版, '89年より)
  1. 「伝える」という行為. これは心や性格をかたち作るという意味で 訓練, 教育等のことである. 14世紀の用例で, ほとんど使われていない.
  2. 同じく「伝える」という行為であるが, 知識やニュースの伝達のこと (OED第1版ではまだ存在).
  3. 事実や出来事に関して伝えられた知識 (第2版で, 「遺伝情報」や「情報量」などが加わる).
  4. 特に人に対して伝えるという行為 (ほとんど存在しなかった).
  5. 特に英国の法律において訴えること(変わらず存在).
  6. その他の法的手続きで使われる表現(変わらず存在)
  7. 何等の行動的な性質をともなう「伝える」という行為 (例えばインスピレーション).
  8. 情報内容, 情報爆発, 情報流通といった 複合語の限定詞としての使い方 (第2版で加わる).

19世紀から20世紀後半の大きな変化として, 「伝える行為」としての意味から 「伝えられる」何かが強調された一方, 「遺伝情報」などの概念と, 「収集され, 探索される」情報 という意味とが新たに出現した.


林 幸雄 (yhayashi@jaist.ac.jp)
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