Info_Know_Doc(Y.Hayashi)

ヒューマンネットワークビジネス

<情報創造は自己表現>

情報生産とはつまるところ自己表現である. メディアを使い, 自己を表現し, 他人との共通の理解を求めようとする. そのためには 他人との共通項を構築することが前提となり, 必然的に情報の入手を要求する.

今日のメディアは, こうした相互関係に基づいた情報システムとして出来ていない. あくまで情報の供給者(一部のプロ)と需要者(消費者)が分かれているという前提で 作られている. ところが, 人々が求めているのは, 自分の意思を表現し, 他人に伝えるためのメディア であり, それを活用するための情報システムやノウハウなのである.

<情報ニーズはコミュニケーションのニーズ>

衣食住足りた今日では, 自己を表現し, 他との共通領域を構築し, 自己の 存在領域を広げていくという, 「自己実現欲求」こそが人びとの行動を引っ張って いる. こうした時代に人びが望むものが, 自らを理解し, 高めてくれる人と人のつながり である.

パソコン通信は通信回線を通し, 時間, 空間の限界を越えて, 出会いとふれあいを作り出してくれる ところに魅力がある. これはコミュニケーションの原点である. それが通信システムの利用によって拡大してくる. 当然, 出会いとふれあいをサポートするのは, 相手への理解であり, 自己の意思の 表出である.

< Know WhoのKnow Howを作れ >

単に人に知り合えばいいというのではなく, なんらかの共通項を軸に, 持続発展していける人間関係をどう構築できるか, 恣意的な人間関係の設定ではなく, 「ネットワーク」そのものが持つポテンシャルこそが, 状況を切り開く.

人と人のふれあいからビジネスが発信する 状況がきわめて明確になりつつあり, (資本主義文化を作った「 コーヒーハウス」のように) ふれあいを作り, サポートするシステムが改めてクローズアップされている. そして, パソコン通信やデータベースのようなデジタルコミュニケーションツールが, 人間の手によって, 「肌ざわり」のあるメディアに甦ろうとしている. [平林87]


林 幸雄 (yhayashi@jaist.ac.jp)
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