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連絡会議幹事会第7回会合メモ
日時: 2007年12月20日 17:00 - 19:00
場所: 北陸先端大 東京サテライトキャンパス
出席者: 福山秀敏、佐藤三久、中津健之、平尾公彦、中辻博、山下晃一、常次宏一、三間圀興、赤井久純、榊茂好、毛利哲夫、中村振一郎、寺倉清之

配布資料

(1) エネルギー科学分野からの意見書 (本文および附属説明資料)
            国際高等研究所多階層連結コンピューティングフォーラム
   
(2) 財団法人計算科学振興財団(FOCUS)の概要
 世界最先端・最高性能の次世代スパコンの産業利用を促進していくため、産官の資金やマンパワーを結集し、研修会の開催や技術相談等の支援事業を行う財団を設立する。
   
(3) 次世代生命体統合シミュレーションソフトウェア研究開発に関する評価委員会の設置について 
 理化学研究所を研究開発拠点として実施している上記のプロジェクト(平成18年―22年度:開発、平成23年度―24年度:実証)について、第3者による専門的見地からの評価をマネジメントに適切に反映させることを目的として評価委員会を設置する。
   
(4) 次世代スーパーコンンピューター作業部会の設置について
 第3期科学技術基本計画における国家機関技術である「次世代スパコンの開発・利用」プロジェクトは、わが国の科学技術の発展や国際競争力の強化を図るため、世界最先端・最高性能の次世代スパコンを開発・整備するとともに、それを最大限利活用するためのソフトウェアの開発を行い、あわせて大学・研究機関のスパコンとの連携による柔軟性のある計算環境の提供や、次世代スパコンを中核とするスーパーコンピューティング研究教育拠点の形成を行うものである。
情報科学技術委員会の下に「次世代スパコン作業部会」を設置する。主な検討課題は(1)次世代スパコンプロジェクトの今後の推進方策、(2)次世代スパコンプロジェクトに係る評価、(3)その他次世代スパコンプロジェクトに係る諸課題について、である。
   
(5) 次世代生命体統合シミュレーションソフトウェア研究開発 シンポジウム2007
 日時 平成19年12月25日 10:00−
 場所 MY PLAZAホール(千代田区丸の内2-1-1 明治安田生命ビル MY PLAZA 4F)
 主催 理化学研究所

議題

  1. 各コミュニティー(分子科学、物性科学など)からの報告
  2. 国際高等研フォーラムからの報告(三間)
  3. 理研本部の最近の状況(中津)
  4. CLOE,教育などについての意見交換

議論の内容

1.計算物性科学WGにおける活動
 常次氏から説明があった。計算物性科学WGでは、次世代スパコンの共用に関して、課題選定の仕組みについての提言をその1としてまとめたが、All Japan 体制での計算科学の振興というより広い問題に対する提案のまとめの作業を行っている。そこでの最も重要な仕組みは、研究教育推進機構という組織を、登録機関の中に設置することである。研究教育推進機構には運営協議会をおき、それがCLOEの運営の基本的な事柄を決める。利用者登録や課題選定という、共用法で規定されている機能を持つ部分を狭い意味での登録機関とすると、広い意味での登録機関は、この狭い意味の登録機関と研究教育推進機構を持つことになる。

  • 中津:登録機関における業務のうち、共用法に記述のある業務に必要な予算は交付金として国から降りるが、そうした既述のない研究教育推進機構の業務には予算措置がされないだろうから、予算についてはどう考えるか?
     一方、登録機関の活動に関して、研究教育のための業務が共用法の記述の業務に絡んでの必然的な滲み出しと考えられる部分については、上記の交付金でカバーするという考えがないわけではない。
  • 寺倉:研究教育推進機構の運営費は、コミュニティーの活動としての委員会費用、集会の費用などを考えており、比較的少額の予算である。コミュニティーが行う研究教育のための費用は、JSTや学振などのプロジェクトに応募して獲得することを前提としている。
  • 中津:重点分野をいくつか決めて、一定程度のリソースをそこに配分するというようなことがあってもよいのではないか。
  • 赤井:関西の財団が寄付金を集めており、登録機関の候補となるような組織を立ち上げる動きがある。(後述の中津氏からの報告を参照)
  • 中津:登録機関が、利用支援などについて All Japan でとりしきるようなことがあっても、コミュニティーの中では受け入れられるか。
  • 佐藤氏:それは利用支援という言葉の中味による。また、次々世代スパコンに向けての議論をしていく必要がある。例えば、次々世代スパコンもポートアイランドに設置されるのか、別のところになりえるのかなど。

2.国際高等研フォーラムからの報告
 三間氏から高等研フォーラムでまとめつつある提言の概要の説明があった。基本的な考えとして、次世代スパコンのアプリとして、ナノテク、バイオが進められており、第3の分野としてエネルギーを提案する。提案は以下の6章からなっている。

Ch.1  学際融合分野エネルギー科学の多階層連結コンピューティングの重要性と推進方策
Ch.2  エネルギー科学における光量子・プラズマ・流体、物質材料、計算化学のフロンティアと次世代スパコンで期待される成果
Ch.3  CLOE の在り方
Ch.4  人材養成
Ch.5  産学連携
Ch.6  結語
   
  • 毛利:高等研フォーラムの提言の中の連携大学院の考えは関西だけにとどまっているが、その理由は何か。
  • 三間:容易に顔を合わせられるということはやはり重要であること、しかし、必ずしも局所的であることに拘っている訳ではない。
  • 赤井:関西では、神戸大学と兵庫県立大学が中核となっての連携体制を作り、それを取り巻く形で、阪大、京大、その他の関西の大学や研究機関がネットワークを形成するというような多重のネットワークの形成が計画されている。
  • 寺倉:高等研フォーラムの提言における産学連携に関する提言はかなり思い切ったものになっているが、現実的かどうか。
  • 中村:企業の場合、建前と本音が別であることが多く、いかにして本音を引き出すかが重要である。
  • 中辻:知財についての高等研モデルがあり、産が参加しやすい方式を作り出して欲しい。
  • 赤井:高等研におけるマテリアルデザインの分野の活動では、高等研モデルに基づく動きを実際に進めている。

3.理研開発本部の最近の状況
 中津氏から、以下の5件についての報告があった。

1)  財団法人計算科学振興財団の結成に向けた動き
2)  情報科学技術委員会の下に、次世代スーパーコンピュータ作業部会の設置:第1回の会合が12月26日に予定
3)  次世代生命体統合シミュレーションソフトウエア研究開発に関する評価委員会が理研に設置
4)  次世代生命体統合シミュレーションソフトウエア研究開発シンポジウム2007が12月25日に開催予定
5)  次世代スパコンハードウエアの概念設計について:2つのシステム((スカラ部とベクトル部)を繋ぐ部分についての概念設計が決定

 なお、中津氏の説明の後の質疑応答から以下のことも明らかになった。次世代スパコン共用に関する提言を受付、その処理を決めるのは上記2)の作業部会。前回の連絡会議で話題になった、理研の平尾委員会の役目も上記の作業部会が担当することとなった。

  • 山下:登録機関が複数になることはあり得るか?
  • 中津:利用支援業務に関しては、複数の登録機関ということもあり得るが、課題選定の業務については1箇所のはずである。
  • 佐藤:利用支援が何を意味するか。単に、利用者がプログラムの並列化を頼み、それを業者に投げるというようなレベルの支援に留まるはずはなく、もっと高度なもの、つまりアルゴリズムの変更まで突っ込まないと片付かないものが多く出て来る。それは利用支援と云っても共同研究のレベルになる可能性が高い。
  • 中津:現在走っている、ナノおよびバイオのプロジェクトでは、プログラムの高度化はそれぞれのプロジェクトのミッションとなって予算措置もとられているが、それ以外の分野への利用支援業務が問題になる。SPring8の場合は、稼動を始めてから何年もたって、どのような利用支援が必要かが明らかとなり、JASRIでの対応が実現されてきた。一方、スパコンの場合、その寿命が短いことから、稼動を始めてからの対応ではダメで、稼動までに対応しなければならない。
  • 福山:SPring8 では、コーディネータの役割が非常に大きい。SPrng8の能力を活かした高レベルの研究が行われるようになっている。
  • 中津:次々世代スパコンがどうなるかは、次世代スパコンが稼動した直後の成果に依存する。
  • 平尾:稼動直後の成果が非常に重要であり、分野別の対応ではなく、分野横断的な対応が必要。公募による(bottom up)各コミュニティからの課題選択と同時に、top downによる課題の選定をなすべきであろう。

4.その他

  • 平尾:分子科学についてのCOEのことで情報課に行ったが、その際に、CLOEの定義そのものを明確にして欲しいという要望があった。漠然とした集約と分散というだけでは不十分。
  • 佐藤:情報処理学会、すなわち計算機科学側からも、次世代スパコン共用に関するパブリックコメントを準備している。
  • 寺倉:三浦氏が欠席のため、情報学研究所の関係の動きについては次回に報告をしてもらう。

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