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連絡会議幹事会第8回会合メモ
日時: 2008年2月20日 16:00 - 18:30
場所: 北陸先端大 東京サテライトキャンパス
出席者: 福山秀敏、佐藤三久、中津健之、平尾公彦、中辻博、常次宏一、毛利哲夫、中村振一郎、高田章、三浦謙一、加藤千幸、小倉昌子(赤井の代理)、寺倉清之
関根仁博(オブザーバ)

議題

  1. 「次世代スーパーコンピュータ作業部会」の報告(福山)
  2. 理研における最近の状況(中津)
  3. 各コミュニティーからの報告(産業応用協議会、分子科学、物性科学、計算材料科学、高等研フォーラム、プラズマ核融合グループ)

配布資料

(1) 「次世代スーパーコンピュータ作業部会」資料
(2) 「次世代スーパーコンピュータを中核とする研究教育拠点の形成について」(理研:中津健之)

議論の内容

1.「次世代スーパーコンピュータ作業部会(作業部会と略称)」の報告
 これまでに作業部会は2度開催された。
   第1回:平成19年12月26日
 第2回:平成20年2月14日
 第1回の会合では、作業部会のミッションの概要が説明された。ミッションの項目だけを挙げる。

  • 次世代スーパーコンピュータの利活用のあり方。
    (1) 次世代スーパーコンピュータを活用した研究開発の推進について
    (2) 共用の基本的考え方及び利用促進について
  • スーパーコンピュータに係る全国ネットワークの形成・活用
  • 教育及び人材育成
  • 理解増進

 なお、配布資料その他については下記のURLを参照のこと。
 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/shiryo/029/08012313.htm#top

 第2回の会合では、作業部会の今後のスケジュールの説明があり、主として拠点形成についての議論がなされた。登録機関の役割に関しての議論が多くあり、それに関連して「共用の促進に関する基本的な方針」を取り決めた、所謂共用法の検討(見直し)が行われることになっている。
 作業部会の当面のスケジュールは下記の通りである。
 第2回:拠点形成の考え方
 第3回:研究開発及び利用者支援 (3月12日)
 第4回:研究開発及び利用者支援、人材育成 (4月頃)
 第5回:研究成果等の集約・蓄積・共有、理解増進等 (5月頃)
 第6回:とりまとめ (6月頃)

2.次世代スーパーコンピュータを中核とする研究教育拠点の形成について
上記テーマについて、理研の次世代スーパーコンピュータ開発実施本部企画調整グループディレクターの中津氏が私案を紹介。
基本的問題意識:

  • 次世代スパコンは運用開始以後、急速にその比較優位性が低下するので、運用開始に先立って、「施設の比較優位性を活かして、優れた人材を結集・輩出できる仕組みを考え、拠点形成に当たる」こと。
  • 国全体の計算科学の振興や、分野融合による新分野の創成、優れた人材の育成を十分に意識した戦略的研究開発マネジメントを前記の「仕組み」に折り込むことが不可欠。
  • 一方、厳しい行財政改革の状況下で、計算科学に特化した新たな研究所を(神戸に)設置することは困難。

提案:
1) Computational Science Center (CSC)の設立

  • 共用法の精神を踏まえつつ、大学や研究機関、コミュニティが有する強みを活かした、オールジャパンの連携・協力関係を構築することを目指して、計算科学の振興を強力に推進する仮想研究所 Computational Science Center (仮称)を実現してはどうか。これが、研究、教育、情報発信の中核拠点をなす。
  • Computational Science Center (CSC)が担う機能としては
    1. 次世代スパコンを活用した利用研究の推進、および充実した利用支援体制を整備
    2. わが国の計算科学分野の振興に必要な取り組みでありながら、従来は十分にできてこなかった事柄として、
     分野融合研究および若手研究者による研究の推進
     充実した支援体制を背景とした、計算科学分野の産学連携によるイノベーションの創出
     CSCに国内外から集まる魅力ある人材を活かした教育・人材育成プログラムの実施
     優れた成果の社会への発信、コンテンツの供給など計算科学分野における理解増進活動
     CSI (Cyber Science Infrascructure)構想の一翼

2) 重点利用分野と分野拠点、分野振興計画など

  • 研究の連携・協力を推進するために、課題提案による研究者の選定に加え、共用法に基づいて「重点利用分野」と、それ毎に「分野拠点」を選定する。
  • 重点利用分野は、次世代スパコンの計算資源を必要とする分野で、わが国の国際競争力の強化、人類規模の課題解決など、主に政策的な観点から選定する。
  • 登録機関は重点分野ごとに「分野振興計画」を公募し、委員会による審査を経て「分野拠点」を定める。
  • 分野拠点は、計算時間、研究スペース、研究費などの資源の優先配分を受け、次世代スパコンを利用した研究開発を推進する。
  • 分野拠点はまた、登録機関との連携のもとで、CSCの担う機能を実行に移す。

 以上の活動の実施は、共用法に記述されている登録機関の活動の枠内で、登録機関に配分される交付金で措置する。その意味で、登録機関の役割は非常に大きい。
登録機関の主な役割

  • 共用法に基づく利用者の選定
    研究課題の提案に基づく研究者の選定
    分野振興計画の提案に基づく分野拠点の選定
  • 共用法に基づく利用支援
    アプリケーションソフトウエアの次世代スパコン向け高並列化支援
    アルゴリズムの高度化などに係る技術相談 など
  • 産学連携による利用促進などに係る調査研究
  • 計算科学分野における国内外の動向調査
  • シンポジウム、セミナーの開催などの理解増進活動

3.中津提案に関連の議論

  • 福山:次世代スパコンをめぐる問題には、SPring8の運営体制が参考になる。Spring8ではJASRIが資源配分を行っている。しかし、そもそもの資源配分の原則は、もっとトップダウンで決めることになる。トップダウンとボトムアップのバランスが重要。
  • 寺倉:登録機関には主として外部の人からなる課題選定委員会が設置される。計算機資源の配分の原則は課題選定委員会で行うのでよいのではないか。
  • 中辻:中津提案でのCSC が仮想研究所などでよいのか。「仮想」では困らないか?
  • 寺倉:いわゆる神戸研究所は設立されるものと考えていた。
  • 中津:次世代スパコンに係る研究に対する資金としては、登録機関に配分される交付金しかないので、独立の研究所を設置することは難しい。次世代スパコンの研究マネジメントにおける戦略はトップダウンで行われるにしても、それが現実の研究に関連した課題選定の場所と離れることは好ましくない。
  • 関根:登録機関は資源の公平配分が原則。登録機関での支援業務の中味の明確化は必要。一方、登録機関に多くの条件をつけることは、登録機関に応募するにあたっての障害を作ることになるという問題もある。
  • 中津:作業部会においては、6月末までに基本的な考え方をまとめる、ということになっている。登録機関に関する議論はその後になるというのでは、登録機関の活動のための予算は22年度になってしまう。それでは、次世代スパコンの運用までの登録機関としての助走期間が短かすぎる。
  • 中村:産にとってこのプロジェクトの成否を測る物差しは、2点あると思います。
    1. 人が増えること。次世代スパコンプロジェクトの成功とは、計算科学が盛んになること。産業界においても、計算科学の重要性は認識されている。しかし、いくつかの企業を除くと、計算科学の活動は人的にも盛んとは云いがたい。
    2. 産が抱えている、産にとって本当に大事な課題を官学に正しく伝達し理解してもらうこと。産の大半の問題は階層縦断、分野横断的に出現するので、細分化された学に的確に相談することが難しい。産の詰めの甘さに大半の問題があるが、官学の英知を集めて、産の次元を高めるシナリオができないか、これは、官学にも新たな方法論的チャレンジを提供するはずである。
  • 平尾:CSTPからの提言においては、次世代スパコンプロジェクトの目標にはよりfocusingが必要であり、all Japan 体制が重要、などということが言われている。しかし、本当に重要なことは、このプロジェクトを契機として、計算科学そのものをlevel up すること。
  • 福山:bottom up と top down のバランスが重要であり、中津提案のより具体化をする必要がある。CSCの具体化、登録機関との関係の明確化をする必要がある。
  • 関根:登録機関の助走機関が十分にあることは重要。検討課題が沢山ある。登録機関についての基本設計を国が提示することが必要。なお、パブリックコメントは整理して、作業部会に上げる。
  • 高田:関西では、財団法人計算科学振興財団が平成20年1月22日に設立され、盛り上がりを見せている。(http://web.pref.hyogo.jp/press/press_ac021_00003040.html)スーパーコンピューティング技術産業応用協議会に参加の企業数は175になった。ただし、これの活動は企業研究者のボランティアベースで行われている。企業としての本格的取り組みのためには、会社のトップへの意識の浸透が必要。次世代スパコンプロジェクトに関連して企業が望むことは、
    1. 最先端ソフトを会社で使えるものにすること、それに取り組める人材の育成
    2. 公共の計算機資源を企業も利用できるようにすること
  • 福山:企業が最先端施設を活用するための支援はSPring8では長年の努力によって成果が出てきている。Coordinator の役目が重要。大学と企業の間の意見交換の場の設定など、action plan を立てる。

4.各コミュニティーからの報告

  • 平尾:理論・計算分子科学コミュニティー懇談会(主査:平尾)では、次世代スパコンの共用についての提案をまとめてきたが、ほぼ最終案に収束。3月初旬の分子研での会合で最終的にメンバーの合意を得る。教育・人材育成については、別途議論を開始した。ナノ統合シミュレーションソフトウエアの研究開発プロジェクトの分子科学WGについては榊氏が主査をしている。会合を何度か持ったが、実験家からの本プロジェクトへの要望が多かった。
  • 常次:計算物性科学WGでは、コミュニティーや拠点形成に関する意見をまとめてきた。概要は前回の連絡会議で紹介した。
  • 毛利:計算材料科学ワーキンググループの幹事会を2月8日に開催した。次世代スパコン共用に関する提言をまとめる方向で作業を始めた。3月下旬にワーキンググループの総会を開催する。
  • 小倉:高等研フォーラムとしては、提言をすでに提出した。それ以後は会合を開いていない。プラズマ核融合分野では、次世代スパコンのターゲットアプリに選ばれたソフトがないので、現在、この分野のソフトもターゲットアプリとして採用されるように、候補を募っている。
  • 中津:次回の理研主催の次世代スパコンシンポジウムは9月16,17日に東京で開催される予定。現在、そのシンポジウムにおけるメインテーマを検討しているが、人材育成はその候補であろう。
  • 福山:多くの問題があり、時間的に切迫している。文科省と理研の間の意見交換はよく行われているか。
  • 関根:作業部会での議論を進めたい。

5.その他

  • 高田:次世代スパコンの有効活用のためには、ソフト利用にしても次世代スパコンに近い環境での本番前の助走が必要だろう。
  • 佐藤:東大、京大、筑波大の協定で行われるT2Kプロジェクトでは、万のオーダーのCPUの利用が可能であり、これを使えば次世代スパコンにスムーズに繋がる。
  • 平尾:東大センターでも産業界が計算資源を利用できるようになっている。
  • 寺倉:次回の連絡会で、T2Kについての説明をお願いすることにしたい

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