Last Updated 2002,6/19

新入生への修了生からのアドバイス

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 また、修了生に何か聞きたいことがあったら、horita@jaist.ac.jpに連
絡して下さい。状況に応じて先輩方に直接連絡が取れるように致します。
但し、皆さん仕事で忙しいので、返事は遅れるかもしれません。御了承下さい。

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平成12年3月修了生   
国谷卓司 (現 東芝 )さんからのアドバイス

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1、自分で考えて行動する姿勢を養うこと
 社会に入ると、いきなり現場で仕事を任されます。 そんなときに、消極的で言われたことしかできないと成長もしませんし、まったく周りの信頼を得られなくなります。 学生時代のように、先生や先輩方が親切に教えてくれることはありません。 社会人なんだから、この部署にいるんだから知っていて当然と周りは考えているものです。 自分で考え行動すること、当たり前のようなこのことが社会人になると大事になります。
2、いろいろと経験すること
 学生時代トラブルや実験結果が出ずにいろいろ苦労しました。 しかし、その経験は会社に入ると重要になります。今、実際に半導体産業に身を投じていると学生時代の経験があったために助かることは非常に多いです。
3、自分の研究だけにとらわれないこと
 学生時代の研究がそのまま会社でできるということは、100%不可能です。ただし、何がしかの関係はあると思いますが。意外なのが、実際に会社に入ると同じ研究室の人がやっていた研究に近いことに出くわします。 私も今になって、「これって何?」とか聞いています。自分の研究は深く追求しなければならないけど、周りの研究にも興味をもっていると会社に入ってから大きい財産になります。
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平成12年3月修了生
  
山下 幸司 (現 東京エレクトロン(株))さんからのアドバイス

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こんにちは、堀田研5期生の山下幸司です。
2001年の春で社会人2年目を迎えました。新入生へのアドバ イスということで、簡単にコメントしたいと思います。

○やるといったらやる!
 「堀田研は厳しい」という評判は、研究室選びの時期に、 常に流れる情報です。大学時代を何となく過ごしていた人に とっては、堀田研で求められる仕事量とレベルはやはり高い のかもしれません。しかし、大人として最低限の当たり前の ことを要求されていたなと、社会人になって感じました。
 先生は「なぜなのか」「どうしてなのか」という質問をしま す。「どんな」実験を「いつまで」に「どうやって」やるのか というプランを求めます。私なりに考えて意見を述べ、計画 も練りましたが、質問に答えきれない、自分の考えが間違っ ている、計画通りに実験が進まないことがよくありました。 その度に言い訳したり、責任転嫁したりしていました。
 堀田先生を納得させる言い訳ができる話術も必要?ですが、 やはり、自分で5W1H(When,Where,Who,Why,What,How)を 盛り込んで計画した以上、やらなければなりません。できな いことはできないと判断できる力と発言も必要ですが、誰か のアドバイスでやることになっても、やる以上は自分の責任、 トラブルで出来なくても、やると言って出来ないのは、自分 の責任というぐらいの強い意思を持ちましょう。そうやって 研究をしていくうちに、自分で出来る計画を練る力と、実行 する力が備わっていくと思います。何をするにも有言実行あ るのみ!です。

○今すぐにやる!
 仕事を後回しにしてきてよかったなと思う瞬間が、始めて やってきました。ここで語る失敗談に事欠かないからです。  簡単なところから例を挙げると、メールや出欠の返事、ゼ ミや週報の準備、実験とそのデータ整理などなど、枚挙に暇 がありません。
 仕事に優先度を決め、計画的に進めることも大切です。し かし、後回しにした末に追い込まれ、締切日から逆算した勝 手な実験の時間割を元に、優先度を決めて仕事をするのは、 好ましいことではありません。これが研究生活での連日の徹 夜につながったと反省しています。この事実が「堀田研は厳 しい」という噂に化けたのだとしたら、「堀田研が厳しいので はなく、自分の生活態度が甘かっただけのことです」と訂正 させていただきます。
 やることが多い時ほど、仕事を後回しにすると必ずあとで 苦しくなります。簡単なことは気付いた時にすぐやるという 習慣を身につけておくこと、仕事にあまり自分勝手な優先順 位をつけ過ぎないようにすること、また、語学力や資格など は「必要かな?」と思った時に、すぐ勉強し始めることをお勧 めします。

○これをやる!
 「世間ではどんなことが流行しているのか」「専門分野の 研究でどんな成果が出てて、どこまで分かっているのか」と いう情報は、どんどん調査して最新のモノに更新する必要が あるでしょう。また、別の情報として、自分はこういうこと を知っている、こう考えている、こういうことがやりたいと いうことをアピールして、周囲に情報(意思)を発信すること、 さらに、誰がどういう情報を持っていて、誰に質問するのが 適切か、という情報を集めることも重要でしょう。
 堀田先生や研究室の学生にどんどん自己アピールしてみて ください。きっと意外な答えが返ってくるはずです。とこと んまで議論し、やりあってください。堀田研究室ではそんな 場がたくさんあります。その経験が社会に出て大きな力を発 揮するはずです。

*********************************************************平成10年9月修了生   
堀井 貞義 (現(株)日立国際電気 )さんからのアドバイス 

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 新入生の皆様、こんにちは、
 堀田研、平成13年9月博士後期課程修了の堀井です。
 私は、昭和62年に国際電気(株)に入社し、ソフトウェアエンジニアとして しばらく仕事をしており、平成8年10月に北陸先端大材料科学研究科に 企業派遣生として入学したという、変わった経歴を持っているものです。 現在は、同社の半導体装置システム研究所の主任研究員として、半導 体プロセス技術といった観点から、半導体製造装置の要素技術を研究 している部隊の取りまとめ(要するに中間管理職)をしております。
 ということで、他の修了生とは異なった、企業人として経験した堀田研、 そして現在の管理職からみた要求される大学院研究室について述べる ことで、皆様へのアドバイスとさせていただきたいと思います。

 まず、企業人として経験した堀田研での経験ですが、堀田研の学生さん は、純粋に、まじめに研究に取り組んでいました。時間管理は厳しく、真 剣に問題に対して考え、自分に妥協せずに解決しようという姿勢が見ら れました。これは、現代の風潮から考えますと、他の研究室には見られ ない、奇異な現象であったように思われます。その原因は、「堀田研は 厳しい」といううわさが流れ、それでも入ろうという、マゾっ気のある人材 が集まったのか、堀田先生に調教されたのか、とも思われますが、堀田 研に入ったら間違いなくあなたもそうなるでしょう。
 大自然の摂理は、エネルギー的に安定な方向に落ち着いていこうとする のと同じで、人は易きに流されがちで、楽をして修了できる研究室はない かと探している人も多いようですが、少なくともJaistに入学した諸君は、こ れから始まる長く、厳しい技術者としての人生を歩み始めるわけで、その 助走期間に楽をしてしまうと、いざ就職してスタートしたとたんに、大きくラ イバルに水をあけられてしまうでしょう。少なくとも、これから始まる技術者 としての人生を充実したものにしたい人は、真剣に修士課程を学んでほし いものです。それは、どの研究室にはいっても同じなのですが、人は環境 に流されやすいものですから、研究室の雰囲気が大切だと思います。そう いった意味では、興味分野が合致すれば、堀田研究室がお勧めだと思い ます。

 次に、企業の管理職として大学院をみた場合について述べたいと思いま す。企業が新人を採用する場合は、各々の部署が必要と思われる専門 分野と人数を指定して、要求を出し、それをトータルして新年度の募集要 項が決まるのですが、配属されてくる新人は、当然その分野の専門知識 を十分に知り尽くし、大学院生であれば、課題に関する目的を教えれば、 自分でその技術背景を調査し、学んできた技術力を生かし、結果をだせ る人材であることが期待されております。
 日本は学歴と年齢で昇進、給料が決まるシステムでありましたが、最近は かなり変わってきており、実力重視の時代になってきております。当社でも その傾向は強くなってきており、高専卒でもまじめに学んできて、実力を発 揮している人は、大学院卒の人を職位の上でも、給料の上でも追い抜いて いるという例があります。
 そこで、大学院研究室の果たす役割でありますが、いかに教育をしてくれ るかということであります。これまで、Jaistはじめ、いろんな大学院の研究 室のあり様を見てきましたが、安易に研究テーマだけに特化した指導をし ているところがいかに多いかという点に気がつきました。専門的な分野に 特化した知識、思考能力を導き出すには、まずその基礎となる学術分野 の知識、思考能力が必要なのですが、安易に研究テーマの狭い専門的な 分野に対して、場当たり的な知識だけを押し付けている研究室、なかには ひどいところになると、教育はしないで、「下手な鉄砲数撃ちゃあたる」ふう に、実験だけさせて成果だけを求める研究室も見受けられました。研究室 のせいだけでなく、学生さん自身の姿勢もあるのでしょうが、大学院の研究 室では、専門分野の基盤技術分野の教育をきちんとやってきてもらいたい というのが、企業側(私だけかもしれませんが)の考えです。
 そういった観点からしますと、私がいた堀田研究室は非常に満足の出来る 研究室であったと考えておりますし、ソフトウェアの知識しかなかった私が、 博士号を習得し、企業に戻っても半導体の専門分野で十分?戦っていけ ているという証拠もあります。これから、みなさんが研究室を選ぶ際には、 指導をきちんとしてくれるところという観点で選んだ方がいいと思います。 (もちろん、自己学習も必要ですが。)

 以上のように、簡単に企業人、管理職から見た大学院観を述べさせてもらっ たわけで、皆さんの参考になったかどうかわかりませんが、有意義な、後悔 しない大学院生活を送ってください。
以上
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