研究成果の展示会を開催

増田助教が研究成果(草木染め和紙)の展示会を開催

 増田助教と山梨英和大学の杉山准教授(元JAIST知識科学研究科)は、6/11〜19の期間、金沢市のギャラリーにおいて草木染め和紙を用いた工芸品の展示会を開催しました。これは知識科学とマテリアルサイエンス領域の融合を目的とし、2年前から取組んできた研究活動の一環になります。
 石川県は友禅、金箔、漆、和紙、九谷、多くの伝統文化を有しており、この恵まれた文化圏を中心とした「地域創生」の取り組みは、文化的・経済的に大きな発展性を秘めています。増田と杉山は「科学技術と伝統文化の融合」を実践的な研究テーマと捉え、伝統文化の振興、産業化資源の活用、地域の活性化と差別化、そしてそれらを包括した地域ブランディングの可能性を探索してきました。
 増田と杉山は自然の草木から抽出される天然染料を科学的見地から解析し、世界発となるインクジェット可能な草木染め染料と、インクジェット草木染め染色技術の開発に成功しました。「インクジェット科学技術」と「草木染め伝統文化」の融合は、従来の草木染めには存在しない多様な伝統紋様を和紙上に再現可能とします。今回は県内作家がデザインした九谷紋様を草木染めで和紙上に表現し、煌びやかな絵紋様を持つ草木染め和紙の扇子や団扇を作製しました。
 本研究テーマの追求は、従来の和紙上では不可能とされてきた絢爛なデザインの創出を可能とし、草木染め和紙に新しい染色美の概念を与えます。また地域資源のシンボルとなる樹木や植物を染料として使用することで、地域固有の付加価値を持つ染色が可能となっています。本研究は九谷文化のみならず、京友禅や七宝焼きといった日本が誇る多様な伝統文化と草木染めの融合を可能とし、日本伝統文化の振興とそれを基軸とした新たな文化の創造と発展に繋がってゆきます。
 本研究活動は、石川県産業創出支援機構および三谷研究開発支援財団の助成を受けて行われました。


2016年06月19日