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増田助教が友禅作家と連携し、地元兼六桜で染めた加賀友禅を商品化へ

 環境・エネルギー領域の増田貴史助教と山梨英和大学の杉山歩准教授(元本学知識科学研究科)が、加賀友禅 工房久恒と連携し、地元兼六桜を使った草木染め加賀友禅の創作とその製品化に協力しました。

 製品は2月1日~3月31日の期間、パリにあるショップMaison Wa(メゾン・ワ)にて展示販売されます。Maison Waは日本の優れた品を、フランスを中心とした欧州での販売や卸へ繋げる事業を目的としたショップです(B to Bを主目的とした展示会)。試作品に対して特に欧州から強い引き合いがあったことを背景に、美術品に対する感度が高いフランスを軸に、販売が開始されます。

 本取組における本学の役割は、世界初の友禅用の草木染め染料の創出になります。従来の天然染料の染めには高エネルギー(80℃、数時間)が必要とされ、筆彩色は困難とされてきました。本学では物質間の分子間力を設計し、室温30秒で染まる、筆彩色可能な天然染料を創出し、更に色素の劣化機構の解明と抑制に取組み、耐光性の改善に成功しました。

 増田助教らは、近年の製品の多くが、機能の差別化から情緒の差別化へと競争の局面をシフトさせている中、ストーリー性を持ち自己実現欲求を刺激する美意識を持った製品へのサイエンスの応用展開が必要と考え、兼六桜の染料を用いることで金沢という文化的ストーリーを示すこと、また途上国で問題となっている化学染料による水質汚染の問題を克服した初めての草木染め友禅であること、そして一目見て綺麗だと思える色作りの加賀友禅を求めました。

Maison Wa (ESPACE DENSAN)
8 bis rue Villedo 75001 Paris
http://maisonwa.com/


 

 

 

 

 

2018年02月01日

増田助教が研究成果を展示会へ出展

 12月17日~23日、環境・エネルギー領域の増田貴史助教と山梨英和大学の杉山歩准教授(元本学知識科学研究科)が、オーストリア、ウィーンにあるエスターハージー宮殿で開催しているクリスマス市において、本学の独自技術によって創作された草木染め工芸品を出展しました。2年後に控えたオーストリアと日本の国交150周年に向けた、ウィーン(エスターハージー侯爵家)とJAISTとの国際交流事業の一つと位置づけています。

 今回の取組は、サイエンスに基づく専門的スキルと、社会課題に挑むアートのマインドを融合し、国際展開することで生まれるイノベーション創出に向けた実証実験的な研究活動の一環として行われました。

 本学では赤ワインが服に付いた際に残る染みに着目をしました。ワインの染みは落ち難いものと敬遠されてきましたが、逆にこの落ち難さを最大化することでウィーン産のワインを天然染料にしました。科学的見地に基づき、ぶどう色素と繊維との間に働く分子間力(ファンデルワールス力)を最大化する材料設計を行い、更に特定の天然ポリフェノールを錯体化すると優れた酸化防止剤として機能する事を見出し、色素の光・酸素安定性を大きく強化する事に成功しました。この独自ワイン染料に更に、本学で創出した超微細染色技法のほか、IoT、AI等の最先端技術を駆使し、草木染め工芸品(団扇、扇子、加賀友禅等)を創作しました。

 バロック建築の宮殿内で開催されるクリスマス市はウィーン国内でも大変珍しく、音楽家ハイドンの名を冠したハイドンザール(コンサートホール)内では、ウィーン内の多くの工芸品が出展され、またワインのテイスティングやデリカッセンの試食、音楽団による演奏など、大変賑やかな催しとなっています。

 本活動の協力メンバーには、ウィーン・エスターハージー財団、加賀友禅作家(久恒俊治)他多数の作家に加え、本学の下田研究室、シングルナノイノベーティブデバイス研究拠点、石川県産業創出支援機構からの協力を得ています。


 

 

 

 

 

2017年12月20日

増田助教が研究成果の展示会を開催

8月3日~14日、増田助教と山梨英和大学の杉山歩准教授(元本学知識科学研究科)が金沢21世紀美術館正面ギャラリー「クラフト広坂」において、本学の独自技術によって創作された草木染め和紙工芸品の展示会を開催しました。期間中は1500名以上の来場者があり、大変高い注目を集めました。この展示会は、県内外の伝統工芸士や中小企業との協同のもとで実現に至りました。

 今回の取組は、大学で生まれるScience(科学技術)と私達の日常生活にあるArts(社会・歴史・芸術・文化)を繋ぐことで生まれるイノベーション創出に向けた実証実験的な研究活動の一環として行われました。より具体的には、「科学技術と伝統文化の融合による新たな価値の創造」をキーワードに、本学で開発した世界初の超微細染色技術の他、IoT、AI等の最先端技術を駆使した草木染め和紙工芸品(団扇や扇子)を創作し、県内伝統文化発展の道筋を切り拓く事を目指しました。

 本活動の協力メンバーには、県内の蒔絵伝統工芸士(松山武司)、九谷作家(山崎裕理)、二俣和紙職人(斎藤博)、草木染め作家(杉山江見堂)他多数の作家に加え、本学の下田研究室、シングルナノイノベーティブデバイス研究拠点、および石川県産業創出支援機構からの協力を得ております。

 

 

2017年08月22日

D3の芳本君がポスター賞を受賞

学生の芳本祐樹さん(博士後期課程3年、環境・エネルギー領域・下田研究室)がThe 6th International Symposium on Organic and Inorganic Electronic Materials and Related Nanotechnologies (EM-NANO2017)においてポスター賞を受賞しました。
■タイトル
Study on low temperature solution processed Indium oxide using ultraviolet annealing
■概要
紫外線照射は酸化物ゲルを固体化させる有効な手段であることがわかっている。液相プロセスによる機能性薄膜を急速に発展するフレキシブルエレクトロニクスへの応用を可能にするために、紫外線照射を用いて機能性酸化物薄膜の低温形成に取り組んだ。また、材料系を低温形成用に設計し紫外線照射による焼成補助プロセス「紫外線照射アニール」を開発した。この最適化した材料系と紫外線照射アニールの組み合わせによりり200℃程度のプロセス温度で高性能なインジウム酸化物薄膜の形成に成功した。
■コメント
この度、EM-NANO2017におきまして、Student Paper Awardを頂き大変光栄に思います。本研究を進めるにあたり熱心にご指導を頂きました下田達也教授にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。また、多くのご助言を頂きましたシングルナノイノベーティブデバイス研究拠点のメンバーおよび研究室のメンバーにも深く感謝いたします。

 

 

2017年06月21日

JAIST社会人セミナーを開催

本学では地域創生/地域活性化の推進を目的に、社会人人材育成事業として社会人セミナーを実施しています。

今回は異業種・異分野の産学連携交流イベントとして本研究室の取り組みの紹介と、地域企業のとのニーズ・シーズの出会いの場を設けることを目的としました。

講演テーマ「インクジェット草木染めによる地域資源活用の可能性~紫の品格~」

講演者:増田貴史助教、 ゲスト:ひらみゆき農園 平美由紀代表

 

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2017年05月10日

科研費「若手研究(A)」と基盤研究(C)に採択

若手研究(A) 課題名「液体Siナノインプリントによる近赤外線センサの創製」 研究代表者:増田貴史 助教

基盤研究(C) 課題名「溶液用を用いたSiC物質の創製」 研究代表者:村上達也、研究分担者:増田貴史 助教

2017年04月03日

下田教授に卓越教授の称号を付与

下田教授が「卓越教授」の称号を付与されました。これは世界水準の優れた研究業績を有し、今後更なる研究の進展が見込まれるとして大学の名誉を著しく高めることが期待できる教授に対して称号を付与する「卓越教授制度」に依るものです。

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2017年03月27日

M2の乾君が発表奨励賞を受賞

学生の乾京介さん(博士前期課程1年、環境・エネルギー領域・下田研究室)が第21回(2016年度)応用物理学会 北陸・信越支部において発表奨励賞を受賞しました。
■タイトル
感光型シルセスキオキサンを用いたTFT用ゲート絶縁膜の低温形成
■概要
二段階UV照射という方法を考案し、優れた絶縁膜として知られる熱酸化SiO2膜に相当する絶縁性を持つ膜の低温形成に成功した。さらに、その絶縁膜をTFTの絶縁膜に用いることで低リーク特性の低温酸化物TFTの作製にも成功した。この成果により高絶縁性膜の低温形成が可能となり、フレキシブルな基板への高絶縁膜の応用が可能となった。

 

2016年12月19日

論文がScientific Reportsに掲載

■掲載紙
 Scientific Reports 6, 37689 (2016).

■著者
 Takashi Masuda, Narihito Tatsuda, Kazuhisa Yano, Tatsuya Shimoda

■論文タイトル
「Silicon deposition in nanopores using a liquid precursor(液体前駆体を用いたナノ細孔へのSi製膜)」

■論文概要
 半世紀に亘り半導体の開発を支えてきたムーアの法則が2020年に終焉を迎えると、ついに正式に発表されました(ITRS 2.0, 2016年)。ムーアの法則の番人であるインテルでさえも、2020年には微細化を終え、次には素子の3次元化に進むと発表しています。そこで重要な技術となるのが、微細な孔内へのSi埋め込み技術です。本論文では、そのような時代背景を鑑み、従来技術よりも一桁小さなシングルナノ(3.5nm)の細孔へSiを埋め込む新技術を報告しました。
 私たち下田研究室で開発をした「液体Si」は、半導体Siの前駆体となる液体物質です。この物質は従来のSi系物質(シランやジシラン)と比べ、σ共役由来の大きな電子揺らぎと、重元素由来の強い電子分極を持ち、そのために大きなvan der Waalsエネルギーを持つ事が研究から明らかとなっています。私たちはこの特徴を利用し、van der Waalsエネルギーが制御されたシングルナノの空間空隙内において「液体Si」の分子を不安定化させ、選択的に凝縮させる事に成功しました。この手法を用いると、シングルナノの細孔内のみに選択的にSiを製膜可能となります。本研究はSi埋め込み技術としてだけでなく、将来の量子スケールのSi素子開発に有力な技術へ繋がると期待されます。

2016年11月22日

研究成果の展示会を開催

増田助教が研究成果(草木染め和紙)の展示会を開催

 増田助教と山梨英和大学の杉山准教授(元JAIST知識科学研究科)は、6/11〜19の期間、金沢市のギャラリーにおいて草木染め和紙を用いた工芸品の展示会を開催しました。これは知識科学とマテリアルサイエンス領域の融合を目的とし、2年前から取組んできた研究活動の一環になります。
 石川県は友禅、金箔、漆、和紙、九谷、多くの伝統文化を有しており、この恵まれた文化圏を中心とした「地域創生」の取り組みは、文化的・経済的に大きな発展性を秘めています。増田と杉山は「科学技術と伝統文化の融合」を実践的な研究テーマと捉え、伝統文化の振興、産業化資源の活用、地域の活性化と差別化、そしてそれらを包括した地域ブランディングの可能性を探索してきました。
 増田と杉山は自然の草木から抽出される天然染料を科学的見地から解析し、世界発となるインクジェット可能な草木染め染料と、インクジェット草木染め染色技術の開発に成功しました。「インクジェット科学技術」と「草木染め伝統文化」の融合は、従来の草木染めには存在しない多様な伝統紋様を和紙上に再現可能とします。今回は県内作家がデザインした九谷紋様を草木染めで和紙上に表現し、煌びやかな絵紋様を持つ草木染め和紙の扇子や団扇を作製しました。
 本研究テーマの追求は、従来の和紙上では不可能とされてきた絢爛なデザインの創出を可能とし、草木染め和紙に新しい染色美の概念を与えます。また地域資源のシンボルとなる樹木や植物を染料として使用することで、地域固有の付加価値を持つ染色が可能となっています。本研究は九谷文化のみならず、京友禅や七宝焼きといった日本が誇る多様な伝統文化と草木染めの融合を可能とし、日本伝統文化の振興とそれを基軸とした新たな文化の創造と発展に繋がってゆきます。
 本研究活動は、石川県産業創出支援機構および三谷研究開発支援財団の助成を受けて行われました。


2016年06月19日

論文が学術雑誌の表紙に採択

英国王立化学会刊行Journal of Materials Chemistry Cの背表紙(back cover)に採択され、また同時に注目論文(Hot paper)に指定されました。

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2016年04月26日

NEDOプロジェクトに採択

「エネルギー・環境新技術先導プログラム/特徴ある機能性液体材料の実用化に向けた研究(研究代表者:下田達也 教授)」に採択されました

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2016年02月22日

研究成果がテレビで放映

増田助教の研究がNHKの海外向け番組「NHK world - great gear -」にて放映されました。この番組は海外の方に日本の優れた技術を紹介する内容となっており、今回は研究成果が8分に亘る内容で特集されました。

2015年12月20日

M2の笠松君が発表奨励賞を受賞

博士前期課程の笠松健太君が平成27年度応用物理学会北陸・信越支部学術講演会において北陸・ 信越支部発表奨励賞を受賞しました。
■タイトル
表面プラズモン共鳴法による酸化物半導体薄膜トランジスタの大気安定性評価
■概要
表面プラズモン共鳴(SPR: Surface Plasmon Resonance)法を用いて酸化物半導体薄膜トランジスタ(TFT: Thin Film Transistor)の大気安定性を評価した。酸化物半導体膜のSPR共鳴角の変化とTFTの閾値電圧(Vth)変化には相関があり、パッシベーション膜を形成することで、SPR共鳴角の経時変化が抑制され、同時にTFTのVthシフトも低減されることが明らかになった。

 

2015年12月17日

岩坂君がEM-Nano2015においてポスター賞を受賞

博士前期課程の岩坂明さんが、EM-Nano2015においてポスター賞を受賞しました。
■タイトル
Solution-processed amorphous silicon carbide films made from solutions with various carbon contents
■内容
従来のアモルファスシリコンカーバイド(a-SiC)膜の作製プロセスは高価で大型な真空装置が必要であることや、有害なガスを発生させることが問題となっている。そのため本研究ではそれらの問題を根本的に解決出来る可能性のある溶液法を用いてa-SiC膜を作製しその膜特性を評価した。溶液法に用いるSiC前駆体溶液のシリコンと炭素の原料比を調節することで、得られたa-SiC膜のバンドギャップを制御することが可能であるということが明らかとなった.また炭素とシリコンがSiCを形成するモデルを提案した。


2015年06月18日