増田助教が研究成果を展示会へ出展

 12月17日~23日、環境・エネルギー領域の増田貴史助教と山梨英和大学の杉山歩准教授(元本学知識科学研究科)が、オーストリア、ウィーンにあるエスターハージー宮殿で開催しているクリスマス市において、本学の独自技術によって創作された草木染め工芸品を出展しました。2年後に控えたオーストリアと日本の国交150周年に向けた、ウィーン(エスターハージー侯爵家)とJAISTとの国際交流事業の一つと位置づけています。

 今回の取組は、サイエンスに基づく専門的スキルと、社会課題に挑むアートのマインドを融合し、国際展開することで生まれるイノベーション創出に向けた実証実験的な研究活動の一環として行われました。

 本学では赤ワインが服に付いた際に残る染みに着目をしました。ワインの染みは落ち難いものと敬遠されてきましたが、逆にこの落ち難さを最大化することでウィーン産のワインを天然染料にしました。科学的見地に基づき、ぶどう色素と繊維との間に働く分子間力(ファンデルワールス力)を最大化する材料設計を行い、更に特定の天然ポリフェノールを錯体化すると優れた酸化防止剤として機能する事を見出し、色素の光・酸素安定性を大きく強化する事に成功しました。この独自ワイン染料に更に、本学で創出した超微細染色技法のほか、IoT、AI等の最先端技術を駆使し、草木染め工芸品(団扇、扇子、加賀友禅等)を創作しました。

 バロック建築の宮殿内で開催されるクリスマス市はウィーン国内でも大変珍しく、音楽家ハイドンの名を冠したハイドンザール(コンサートホール)内では、ウィーン内の多くの工芸品が出展され、またワインのテイスティングやデリカッセンの試食、音楽団による演奏など、大変賑やかな催しとなっています。

 本活動の協力メンバーには、ウィーン・エスターハージー財団、加賀友禅作家(久恒俊治)他多数の作家に加え、本学の下田研究室、シングルナノイノベーティブデバイス研究拠点、石川県産業創出支援機構からの協力を得ています。


 

 

 

 

 

2017年12月20日