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研究テーマ

暗黙知の構造化と体得支援技術

暗黙知(あんもくち、英: Tacit knowledge)とは、経験的に使っている知識で、簡単に言葉で説明できない知識のことで、経験知と身体知の中に含まれている概念です。なぜだかコミュニケーションをとるのが得意な人、同じマニュアルを使っているのに誰よりも作業がはやい人、ダンスが抜群に上手い人。そうした熟練者は、言葉で説明するのは難しくとも、確かにノウハウをもっています。私達は、暗黙知の全ては形式化できないとしても、様々な方法によって、一部は言葉に説明できると考えています。

Tacit Knowledge

暗黙知を考える上で重要なモデルとして、野中郁次郎先生のSECI モデル[2]があります。SECI モデルは、組織において、どのように知識創造・実践が行われるかを説明したものです。「暗黙知と形式知」と「個人、集団、組織、環境」の2 つの次元の相互作用から、知識実践が促進、維持、拡大すると説明されています。「暗黙知と形式知」と「個人、集団、組織、環境」、それを取り巻く現場の状況・文脈に適したSECI モデルの実現に基づいて、暗黙知の構造化と体得支援技術を研究します。

Tacit Knowledge
新たな価値を共創し、共に感動する技術の研究

人と人、人とロボット。日常生活は様々なコミュニティで成り立っています。何気ない日常生活の見方を変えると、「感動」を見つけることができます。現代は変化が大きく将来が予測困難な時代となっています。そこで、常識を疑い、身の回りの出来事の意味を発見・構造化する技術を研究しています。これにより、新たな価値を共創し共に感動することができるイキイキとしたコミュニティ作りに貢献します。熟練者の知識をデータ知識構造化し暗黙知も含めて体得することを支援する技術について、一緒に考えてみましょう!

Tacit Knowledge

3つのサービス

概要

私たちは3つのサービスに関して研究を行っています。暗黙知の構造化と体得支援技術は、これらの現場でのサービスで実践されます。サービスとは人が他の方に価値を提供することです。ですから、製造業の現場の中の人のやりとりでもサービスがあり、貨幣のやり取りがない無償のサービスもあります。つまり、家庭や地域コミュニティなどの現場でもサービスがあります。連携している現場としては、幼児教育、大学、介護、看護、精神ケア、コンサル、健康教室、自動車業、重工業などがあります。

身体知のサービス

クライアントの身体動作の課題を解決するよう支援するサービスです。複雑な身体の状態や動きを含む身体知をもとに健康増進や介護予防に資するスポーツ科学と運動指導技術を研究します。データ知識構造化をもとに、データと知識の両面から身体知の解明を目指します。

[サービスの例]

オリンピック選手を支援する身体知基盤

競技ダンス世界チャンピオンの動作分析・知識構造化

作業知のサービス

クライアントの日常業務の課題を解決するよう支援するサービスです。熟練者ならではの判断や知見を見える化するため、知識の適切な記述方法を含め、継続的な知識の獲得・活用を機能させるためのデザインについて研究します。

[サービスの例]

点検業務における作業知識構造化

業務中から知識を獲得するプラットフォームのデザイン

身体知のサービス

クライアントのこころの課題を解決するよう支援するサービスです。脳科学や医学の知見を生かした心理療法、音楽療法、認知行動療法、精神ケア、認知症ケアや、働く人のストレス低減など心理面の支援の技術を研究します。

[サービスの例]

認知症ケアの完全カスタマイズ介護技術構築

認知行動療法の熟練者の知識構造化

参考文献
[1].大崎正瑠. 暗黙知を理解する. 人文自然科学論集. 2009 Mar;127:21–39.
[2]. 野中郁次郎, 竹内弘高. ワイズカンパニー 知識創造から知識実践への新しいモデル. 東洋経済新報社; 2020.