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【Matching HUBアフターストーリー】 100年後の未来を創る、さまざまな連携のかたち/株式会社こみんぐる

【Matching HUBアフターストーリー】
100年後の未来を創る、さまざまな連携のかたち
株式会社こみんぐる

 

2021年11月11日・12日の両日にわたり開催されたMatching HUB Hokuriku 2021。
今年は延べ1,454名(オンライン含む、昨年度比+301)の方にご参加いただきました。
また、北陸地域を中心に全国各地の162の企業、大学、機関等がブースを出展し、
そのなかで様々なビジネスの「種」が生まれました。
<Matching HUBアフターストーリー>では、出展企業の皆様から、
Matching HUB 2021に参加した感想やその後の展開をお伺いしました。
今回お話を伺ったのは、昨年初出展となった株式会社こみんぐる 取締役の林俊伍 氏です。
林氏は、能登半島の最北端にほど近い石川県珠洲市真浦町をフィールドに、
限界集落」を「現代集落」に変えるプロジェクトを推し進めています。

 

― 今回、本学主催のMatching HUB Hokuriku 2021に出展いただいたきっかけや決め手について教えてください。

林俊伍 氏(以下、林):
北陸先端科学技術大学院大学(以下、JAIST)の水野惠介URAと、石川県内の展示会の場でご縁がつながり、お声がけいただいたことがきっかけでした。Matching HUBの魅力は、「研究」や「産学官連携」という要素が強いということでした。現代集落プロジェクトは地域活性化のためのものではなく、真浦という小さな集落に残る営みの知恵を、最新テクノロジーを使って後世に伝えていくための仕組みづくりの実験という位置づけです。そういった意味では、産学連携などアカデミアとの相性も良い事業だと考えています。人間の営みをサステナブルに循環させていくための共同研究や実験に、一緒に取り組んでくれるパートナーを募集したいという目的で参加しました。

― Matching HUB当日のブースの様子を教えてください。
林:
当日は、60人近くの方にブースにお越しいただきました。「現代集落」というプロジェクト名をご覧になって、「なんだろう?」とベーシックな興味をひかれて足を運んでいただいた方が多かった印象です。そのなかでも、「実証実験」というキーワードや、真浦にフィールドを確保しているということ、さらに具体的なプロジェクトが既に進んでいることが、来場者の興味をひくポイントだった印象でした。

― Matching HUB出展で得られた成果はどのようなものがありましたか?
林:
先ほど申し上げたような、プロジェクトの「訴求ポイント」を明確にできたことです。当日は私自らブースに足を運んでくださった皆様にプロジェクトについて説明したのですが、「生」の反応が見られるというのは貴重な機会です。そういった意味で、Matching HUBは大きすぎず小さすぎず、ちょうど良い規模感ではないかと思います。また、いろいろな会社にプロジェクトを知ってもらう良いきっかけにもなりました。

― 本学URAからのビジネスマッチング支援はありましたか?

林:
水野URAから何社か企業の紹介をいただきました。それも含め、現在3件程度のプロジェクトが動いています。地元のメーカーとはエネルギーマネジメントに関するプロジェクトを推進中で、廃熱を利用したエコな発電の仕組みを模索しています。また、VILLAGE DXの根幹にもかかわるIoTやDXを、教育に組み合わせたプロジェクトも進めています。100年後も家族で暮らせる地域づくりには、地域との連携が欠かせません。JAISTとの産学官連携も含め、地域のさまざまなアクターとの「実証実験」を今後も進めていきたいと思っています。

 

― ありがとうございました!

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コラム:「現代集落プロジェクト」(出展内容)

「金沢のためになることをやりたい」という想いで創業した、株式会社こみんぐる。当時は北陸新幹線が開通して間もなく、旅行者向けの宿の不足が地域課題となっていたことから、金沢で旅音というゲストハウスの運営をはじめました。一方で、金沢を「消費されるだけの観光地」にしたくないという思いも強くあったと語る林氏。そこで、「100年後も家族で暮らせる地域」をつくるために、さまざまな取り組みを行っています。そのなかの1つが今回Matching HUBに出展した「現代集落プロジェクト」です。

同プロジェクトのフィールドである珠洲市真浦町は、市内でも特に人口減・高齢化の著しい、いわゆる「限界集落」です。林氏が着目したのが、そこで営まれている生活のしくみでした。私たちは、日々さまざまなものを購入しながら生きていますが、それがどこでどのように生産されているかについてはあまり知らない。つまり、消費と生産が切り離されているのが現状です。一方、珠洲では消費と生産が密接な関係にあります。大昔の物々交換の時代には、地域内で資源を循環させることで自給自足を可能にし、必要なものを外から補うという経済サイクルが当たり前でした。そのような先人の知恵を生かした生活の仕組みが珠洲では当たり前に成り立っていると、林氏は語ります。

先行き不透明で不安定な時代だからこそ、大切な「家族」を守る能力が求められています。例えば、自分たちに必要な食料やエネルギーなどの生活インフラを生産できる、もしくは生産できる人を知っているなど、モノやお金に縛られない暮らしを可能にすることが、今こそ求められている価値。そのために、水や電気や食を自給自足できる集落をつくり、自然のなかで楽しむ生活を先人の知恵とテクノロジーで実現すべく、「VILLAGE DX(ヴィレッジ・デジタル・トランスフォーメーション)」を進めていきます。そのための実証実験(FS)として、現在シェアハウスのリノベーション、自家発電装置の導入、農作放棄地の開発に着手しています。また、「現代集落LAB」というオンラインサロンを立ち上げ、世界中の方々と100年後の豊かな暮らしを実現する情報やアイディアを共有しています。

「現代集落」プロジェクトの目的は、「都市生活のオルタナティブ(代替生活圏)」となりうる自然共生型生活圏をつくること。自然と共存しながら、人の快適性を追求したい。それを可能にするのが、最新のテクノロジーです。テクノロジーを駆使し、食料や、生活インフラを自給自足する。そのために、「集落での生活の営み」そのもののDXを目指します。

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次回は、Matching HUBの「リピーター」として、毎年本学の活動にご協力いただいている、株式会社キシテックのインタビュー記事をお届けします。ご期待ください!

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