険しいJAISTへの道 ML FAQ (1999/5/09/Sun/21:30版) part 4


研究の前になすべきこと

個人的意見には古い発言も混じっています。現在とは若干のズレがあるこ ともあるので、ご注意下さい。


4. 講義について


Q4-1. 配属はどうやって決まるのですか?

入学すると仮配属で学籍番号で適当に研究室に配属されます。これは単に机とWS(知識は+PC)の割当のためだけのもので、実際の本配属まで、ここが拠点となります。

研究室に本配属されるときには、あくまで本人の希望が重視され、希望者が多 い場合には入学後の成績を参考に決定されると思います。

なお、本配属では、情報では配属希望先を5つ(知識は3つ)まで書いて提出します。決定は1999年度から7月になるそうです。

1994年当時、情報.堀口研.岩田さん曰く

  「我々の代(2期生)から「競合の場合は成績で」となりました。1期生の方々
    の場合、競合が起こった場合はできるだけ本人と相談し、説得を行なった
    そうですが、その作業のあまりの繁雑さの為に、上記の様になったと聞い
    ております。
    我々の場合、全学生が102名だったので、1人の先生に平均4名の枠があり
    ました(確か Max:特例:が5名だったと思います)。
    基本的に希望が優先されます。しかし、成績が悪いとずるずると競争に敗
    れ、第5希望まで行ってしまうことがあります。
    私の場合、いろいろと考えて希望を出しました。例えば第2・3希望に競合
    率の高そうな先生の名を記入して、第4希望に本当の第2希望を書くとか(^_^;;)。 
    幸い私の場合第1希望の研究室に入ることができましたが。
    今年は127名程入学されたので、多分先生1人の枠が5名(1講座に10名)だと
    思います。」

Q4-2. 面接の内容と、入学後の研究内容が違っているとまずいのでしょうか?

大丈夫です。違っていても構いません。入学後に都合により研究テーマを変 える人もいますし、変えざるをえない人もいます。(志望する教官が長期出張 していなくなってしまったとか。)

基本的に、JAISTでは、自分のやりたい研究に対して、一番近い分野の先生 を希望することになります。指導教官の専攻分野と自分の研究対象がドンピシャ リ一致していれば、色々とアドバイスをもらえます。そうでもないとなると、 アドバイスは少なめになるかもしれませんが、その時は我が道を行けばいいの です。


Q4-3. アカウントの発行はいつですか?

入学式が終って次の日にオリエンテーションがあり、そのときにアカウント をもらいます。オリエンテーション終了後に仮配属先の先生を探すことになり ます。たぶん、その日のうちにWS、PCをさわれるようになるでしょう。


Q4-4. 博士前期課程で終ることはできますでしょうか? マスターをとって就 職する人はいるのでしょうか?

前期課程で終ることはできます。そのあとすぐに就職する人もいます。

博士前期課程の定員は 情報と材料が125人、知識が90人 博士後期課程の定員は 情報と材料が 37人、知識が30人 ですので、そのあたりはあまり心配することはないでしょう。マ スターから就職する人はいますから安心して下さい。

なお、就職は学校推薦で決まる人がかなり多いです。


Q4-5. カリキュラムについて教えて下さい。

簡単に説明します。講義は大きく4つに分かれてます。なお、1科目2単位で す。

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各学科のカリキュラムについて。


Q4-6. 年間の予定はどうなっていますか?

履修要項から抜粋します。

    [授業計画]                  [研究室所属と研究テーマの決定手続き指導]
  4 春季休業                    研究室仮配属
  4 ↑
  4 (1-1期)                     1年次履修計画書提出(4月下旬)
  5 ↓
  6 ↑
  6 (1-2期)							研究室配属希望届(6月末)
  7 ↓                                  研究室配属決定(7月下旬)
  8 夏季休業
  9 9月期 集中講義
 10 ↑
 10 (2-1期)
 11 ↓特論・研修(研究・ゼミ)(翌年度2月まで)
 12 ↑              副テーマ決定(2-1期終了後=12月初旬)  研究計画提案
 12 (12月期集中講義)       |
 12 ↓                     |
 12 冬期休業               |
  1 冬期休業               |   研究計画提案受理・
  1 ↑ 1月期集中講義       |     主テーマ申告(2月以降3月末まで)
  1 (2-2期)                ↓
  2 ↓                          (研究開始)
  3
  4 春季休業					就職指導・ガイダンス(4月)
  4 (1-1期)                     2年次履修計画書提出(4月末)
  5 ↓                          
  6 ↑
  6 (1-2期)                     後期課程進学願書提出(6月中旬)
  7 ↓                                 
  8 夏季休業                    修了見込み証明書発行(8月以降)
  9 9月期 集中講義                     
 10 ↑
 10 (2-1期)
 11 ↓
 12 ↑             
 12 (12月期集中講義)
 12 ↓
 12 冬期休業
  1 冬期休業
  1 ↑ 1月期集中講義
  1 (2-2期)                     学位申請書提出(1月末)
  2 ↓                          修士論文提出(2月中旬)
  3                             学位授与式(3月下旬)

Q4-7. 研究以外に費やす時間と研究に費やす時間の割合はどのぐらいでしょうか?

これは時期によります。M1の講義がある時期(4月から12月)は、まず単位の 取得を第一に勉強すべきだと思います。もちろん多くの方が私よりも優秀だと 思いますが、正直いって単位を取るのは一苦労です。優秀な方はもうその時期 から個別に先生と会い、ゼミに参加なさっている方もいます。また、先生方も その様な生徒を暖かく迎え入れて下さいます。

これとは別に、各学科主催のセミナーが月1回か2回のペースで開かれます。 これは第一線で活躍されている研究者の方を招いて、 講演を行なって下さいます。参加は自由です。1999年度はセミナーを10回 受けて、そのセミナーについてレポートをまとめて担当教官に提出すると 共通科目の単位(2単位)として認められることになりました。
しかし、単位取得に関わらず、積極的に参加することをお勧めします(自分の 視野が広がります。これは学外の方にも解放されています)。

次に8月になるとゼミの配属が決定し、正式にゼミに参加するようになりま す。論文紹介や輪講が始まります。9月及び12月から2月にかけては共通科目の 授業があり5科目10単位を取る必要があります。これらの授業は大抵集中講義形式で 行なわれます。つまり朝から夕方まで4時間分×5日となります。また同時に12 月頃、副テーマの指導教官を決めなければなりません。同時に副テーマが始ま ります。副テーマの期限は3月末です。

この間ももちろんゼミは続きます。なぜなら一つの関門であるプロポーザル (研究計画書)の提出が近付いて来るからです(3月末)。無事プロポーザ ルが認められると、本格的に研究が始動します。(もちろんそれ以前に自主的 に研究を進めていても誰も文句なんて言わない。それ以上に先生に認めてもら える。:-) しかし、単位が揃っていないといくら素晴らしいプロポーザルを書 いても受理されません(専門:(4分野)8単位以上、共通科目:6単位以上)。 でM2です。

単位の足りない人間は、必死になって単位をとる必要があります。(プロポー ザルが認められていませんので、2年での卒業が危うくなっているからです。 また就職に際しても学校推薦が受けられないので、できるだけ早く単位を揃え る必要があります。)

また単位が揃っている人でも、2年毎に開かれる講義もあり、自分の知識の 幅を広げる意味から講義をとることもできます。一方で修士論文に向けた研究 に邁進する日々が続きます。

今年から9月中旬にドクターへの進学試験を兼ねた中間発表が行なわます から、今の私みたいにさぼりにさぼっていた人間は冷汗の連続の日々を 過ごします。

(この欄の文章は、ほとんど情報.堀口研.岩田さんが書いたものです。感謝!)


Q4-9. 副テーマ、主テーマはどのような違いがあるのでしょうか?

主テーマは俗にいう「修士論文」のテーマです。それに対し副テーマは主テー マとは分野の異なるものを選択するよう指導を受けます。

我々学生が卒業するまでに、公式には4人の指導教官が付きます。

  1. 主指導教官(所属するゼミの先生)
  2. 主テーマ指導教官
  3. 副指導教官 (1が講座の教授であった場合はその講座の助教授。逆に助 教授であれば教授。)
  4. 副テーマ指導教官(1〜3以外の先生:つまり他の講座の先生)
通常、上記の1と2または3は同じ先生が務められますので、実際には3名の先生が我々 の卒業を最終的に審査をされます。

副テーマは主テーマほど重くはありません。大体は英語の論文を読んで、そ れを理解すれば認めてもらえます(その他先生によって多少(いや大幅にかな?) 異なります。副テーマを選ぶ頃になれば、先輩等から「おい! あの先生は楽だ そうだぞ!」なんて噂が乱れ飛びます :-)

(この欄の文章は、ほとんど情報.堀口研.岩田さんが書いたものです。感謝!)


Q4-10. 修了期間を短縮することはできますか?

最近は、博士前期課程(修士課程)を最低1年で修了することができるそうで すね。博士後期課程も1もしくは2年で修了することができるところがあるよう です。(法律でも変わったのかな?) 一応、JAISTの学則でも第36、37条あたり にそういう記述があります。

が、JAISTでは、博士前期課程は1年で修了する ことは難しいです。これはカリキュラム上の問題で、修士論文作成のための研 究として、最低限1年間研究しなければなりません。また、この研究に入るた めに研究計画書を出さなくてはならないのですが、そのために副テーマを終了 していることと、専門の単位を4分野以上8単位取得していなければなりません。 ですから、博士前期課程は2年間掛かるのが普通です。

博士後期課程はわかりません。ひょっとしたら2年ぐらいで修了できるかも しれませんね。


Q4-11. 学生のライフスタイイルはどうですか? (起床、通学、講義、実験、帰 宅、プライベート、就寝、休日の過ごし方など)

人によって講義あり、ゼミあり、補講あり。さらに昼間型、夜行型、30時間サ イクル型等、バランバランなので、あまり参考にはならないと思います。

M1の場合、講義をとっていますので、これに合わせることになります。

一つの講義は週に1時限と2時限に各一回ずつ、計2回ありますから、3つもと ると約4日分の午前中はつぶれます。午後は基本的に質問や研究に当てられま すから、ないといえばないです。たまに補講があったりします。

時間は 月曜から金曜 1時限 9:20 〜 10:50 2時限 11:00 〜 12:30 です。 土日は講義はないのですけど、ここにいるんですよね。なぜか。

1994年当時、情報.佐藤さん曰く

  「これは、人によって大きく違うと思いますが、共通しているのは基本的に
    授業は午前中(9:20〜10:50と11:00〜12:30)なので、朝が苦手な人はつら
    いでしょう。
    昼からは、大体レポートをやったりしています。
    今のところ仮配属なので、まだそんなに忙しくないので、遅くても10:00
    までには来て19:00までには学校を出るという、贅沢な生活をしています。
    まぁ、4月から7月までは比較的忙しくないなので、自分のしたいように、
    論文を読んだり、勉強したりできるのではないでしょうか。
    あと、最近ちょっと暑くなってきたので、土・日曜の昼は学校に来ていま
    す。」
1994年当時、情報.嶋中さん曰く
  「私の場合、平日は9:00には学校に来てます。(授業がなくても)
    やっぱりレポートに追われてます。というわけで、帰りは平均して23:00
    位でしょうか。(しかし、駐車場には結構車が残ってたりして、、、)
    週に1日は休みたいので、土曜は出来るだけ休むことにしてますが、レポー
    トの期限が近かったり、テスト前だったりすると、そんなことは言ってら
    れないのでやっぱり学校です。もうその頃は2:00や3:00までいたりして、
    「昨日帰ったら今日だったよ!」なんてことも少なくありません。
    JAISTでは最初の半年が大きなヤマですから、ここが辛抱のしどころと思っ
    てますけど、、、卒業までの遠い道のりはまだ始まったばかりなのであっ
    た(^^; 。」
1994年当時、情報.千葉さん曰く
  「私の場合、パート勤務の妻、小学1年生、保育所年少の家族構成です。
    午前中は講義ですよね。昼食をとりに帰宅します。昼寝をします。14時頃
    長男が帰宅しますので面倒をみます。16時過ぎに妻と長女が帰宅します。
    今度は私が研究室に出かけます。メイル、ニュース、文献などを読みます。
    18時頃帰宅します。夕食、家族でコミュニケーション、風呂、子どもを寝
    かせます。22時頃やっと時間がとれますのでレポートなどに取り組むため
    に研究室に出かけます。2時頃夜食をとりに帰宅します。自分でラーメン
    などをつくって食べます。少し休憩してまた研究室に出かけます。6時頃
    帰宅して休憩します。家族で朝食をとりそれぞれ散ります。私は朝食後、
    講義まで仮眠します。
    突如として、疲れが出て夕食後 12時間以上眠ってしまいます。
    休日は家庭を第一に考えております。子どもたちが勝手に遊んでいれば私
    は研究室に出かけます。」

Q4-12. JAIST情報科学科でやっていくのに数学の力は、結構ポイントとなっているのでしょ うか?

どれくらいの数学の力がいるのかは、やりたい研究によって違ってきますが、 単位をそろえるためなら、うまく履修すれば、苦手な数学を避けることはでき ます。大学の教養レベルの数学がわかれば、大丈夫でしょう。 1994年当時、情報.國藤研.千葉さん曰く

  「JAIST に限らず、研究のために文献を読み理解するのに数学の力を必要と
    すると思います。
    もう 10 年以上前に高校を卒業したので高校卒業程度の数学の知識という
    のが私にはよくわかりません。すみません。でも何となくそれだけでは済
    まないような気も致します。私の半年ちょっとの経験から言わせてもらい
    ますと、ベクトル、行列、統計、漸化式、確率、微積分、偏微分、三角関
    数、数列などについてはよく理解していなければならないような気が致し
    ました。」
1994年当時、情報.奥村研.今井さん曰く
  「ただ、このように書いてしまうと文系出身者の方がしりごみなさるかもし
    れないので、いくつかフォローしたいと思います。
    ・カリキュラムに情報 or 材料出身者以外の人のための入門的授業が用意
      されている
        この授業は「入門コース」と呼ばれていて,履修案内(情報科学の欄)
        を引用すると、
        「情報科学の入門的内容を教授する。各講義は情報関連学科の学部レ
          ベルに担当する内容を持ち、情報科学に関する入門者を対象にした
          ものである。」
        となっています。私は受けたことがないので分かりませんが、履修案
        内を見る限りでは、(文系出身者にとって)それほど難しいことは要求
        されてないと思います。
    ・情報科学で使う数学はちょっと違う (どう違うんだ???:-)
        うまくいえないのですが、主に情報で使う数学は「離散数学」と呼ば
        れるものです (と書くとあちこちから反論が来るかも)。
        これは「いろんな問題を計算機で解かせるときにどういう手順でやる
        と効率良く解けるのか」というアルゴリズム論が中心です。ここから
        が私の経験に基づく私見ですが、この分野は一見すると数学に見えな
        い(?)こともあり、必ずしも大学レベルの数学は必要としないように
        思います。また、この辺の理論は「悟り」が開けるかどうかが結構重
        要だと思うのですが(一般的に数学はそうなのかもしれないが....)、
        これは出身には独立なものだと私は思ってます。情報出身の人でも苦
        手とする人はいるでしょうし、逆にバックグラウンドのない文系出身
        の人でも「悟り」を開くのは十分可能だと思います。
        長くなりましたが,要するに言いたいことは「情報科学で使う数学の
        中には必ずしも大学レベルの数学を要求されないものがある」という
        ことです(うーん、やっぱり批判が来そうな表現だなあ)。
    ・頼もしい先輩や同級生がたくさんいる^_^;
        当然、学部時代から情報科学や材料科学を専門にしている人はたくさ
        んいます。また、研究室には優秀な先輩方もいらっしゃいますから、
        あまり心配することもないでしょう。まわりにいる人を捕まえて、分
        からないことをどんどん質問すればいいのです。きっと皆さん丁寧に
        答えてくれるでしょう^_^;(私も情報出身者なので利用されまくり:-)」
1994年当時、情報.奥村研.徳田曰く
  「連続系の数学が苦手(で嫌い)なものですから、画像や認識処理の講義をこ
    とごとく避けてきた結果、入学してから、微積分や確率の計算をした覚え
    がありません。電力や夕食の勝率を求めるぐらいの計算ならいつもやって
    ますけど、高校数学公式辞典を見てたりするから・・。
    離散数学の方は、あまり苦になっていないので意識していませんが、「ブー
    ル代数」という言葉を聞いたことがあるぐらいなら、入門講義もあります
    から、大丈夫だと思います。」

Q4-13. 本代は(教科書代)は年間どのくらいかかるでしょうか?

人によって違うと思いますが、最低5教科履修するとして、1教科あたり 3000円 〜 4000円ぐらい教科書代がかかるとして、年間15000円以上ってとこ ろですかね。

教科書の必要性は講義によりますが、「教科書」の蘭に書いてある本は必要 でしょう。「参考書」の必要性は講義によります。一般的な話は難しいですね。 参考書は、図書館にある程度の数は用意されます。 例えば、教科書に指定されていて今後自分の本棚にも置いておきたいような本 だけを買っておくというのはいかがでしょうか。


Q4-14. (情報)入門コースの基準は何なのでしょう?(特別な者にしか受講できないよ うな感じで書かれてあります)

熱意があれば受けさせてもらえます。UNIXの使い方なら「たのしいUNIX」を 読んでわかる人なら別に受ける必要ないと思います。それでも、受講したいと いう熱意があるのなら、受けさせてもらえるでしょうけど。(でも、演習室の 計算機に限りがあるから制限していたような気もする。)

電子情報工学科出身となると入門コースの受講は難しいでしょう。私が覚え てる範囲では、入門コースを受講できるのは情報系出身者以外が対象だったと 思います。仮に、履修できたとしても単位として認定されるかもわかりません。

まぁ、この辺の話は入学したらすぐにでもガイダンスがあると思いますので、 詳しいことは、その時にでも聞いて下さい。


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