【Matching Stories】 株式会社エコシステム 代表取締役 髙田実 氏

 

【Matching Stories】 株式会社エコシステム 代表取締役 髙田実 氏

 


毎年本学が主催しているMatching HUBは、北陸最大級の産学官金マッチングイベントとして、北陸地域をはじめ日本全国で新事業・新産業の「種」を生み出し続けています。今回は、Matching HUBがきっかけとなり、令和3年度「産学融合先導モデル拠点創出プログラム」として採択された「北陸RDX ~DXとESG投資による次世代への飛躍~」の推進計画の1つである「DXで中小建設業の省力化・品質向上を目指す車載型生コンプラント」に参画いただいている、株式会社エコシステム 代表取締役 髙田実氏にお話を伺いました。

株式会社エコシステムは、1994年に瓦リサイクルのパイオニアとして、石川県能美市に誕生しました。瓦の廃棄は社会的にも大きな課題となっています。日本国内だけでも毎年約100万tの廃瓦が発生しており、そのほとんどが埋め立て処分されています。同社はこのような社会課題に着目し、 廃瓦を粉砕し舗装材として蘇らせるノウハウを全国に向けて展開しています。また、瓦からつくられる舗装材は多孔質であることから、透水性・保水性が高いという特徴があり、その特徴を活かしてゲリラ豪雨、都市型洪水やヒートアイランド現象などの問題の解決につながることが期待されています。髙田社長は「全世界の都市を循環型未来都市へ」という目標を掲げながら、国内では既に全国約20社にネットワークを広げ、将来的には国外への展開を目指しています。

 

世界的にますますサステナビリティ分野への注目度が高まるなか、関連分野で最も勢いのある地元のベンチャーの1つである株式会社エコシステム。同社をけん引する髙田氏も、世界規模で社会課題に取り組みたいという熱い想いを持っています。そんなビジョナリーな経営者の視点から、Matching HUBに参加した感想や、大学との共創に求めるものについてお話しいただきました。

粉砕された廃瓦。これを同社のノウハウを使って舗装材としてリサイクルします。

 

― この度、本学が取り組む「DXで中小建設業の省力化・品質向上を目指す車載型生コンプラント」プロジェクトにご参加いただいておりますが、きっかけはどのようなものだったのでしょうか。
北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)のURA*からお声がけいただき、Matching HUB Kanazawa 2020 に参加したことがきっかけでした。今回のプロジェクトメンバーとも同イベントを通じて知り合うことができました。

*URA⁼University Research Administrator の略。大学等において、研究者とともに研究活動の企画・マネジメント、研究成果活用促進を行うことにより、研究者の研究活動の活性化や研究開発マネジメントの強化等を支える業務に従事する人材を指す。

 

― Matching HUBがきっかけとなったとお伺いして主催者としても非常に嬉しいです。実際に出展されてみた感想を教えてください。我々の業界の展示会は、もっと広い会場を借りて出展社や展示品の数も無数にあって…というのが通常のやり方ですが、それに比べると小規模の展示会という印象でした。そのコンパクトさがMatching HUBの最大の強みだと思います。大規模な展示会に比べて、来場者や出展社同士の距離がより近く、いろいろな方とコミュニケーションを取りやすいというところは大きなメリットです。今の時代、例えば気になる会社があればオンラインで情報収集が簡単にできますが、リアルなコミュニケーションを重視している点は非常に良かったですし、例えば産学連携や企業間のコラボレーションなど、その後の展開の確実性が増す要因ではないかと思います。

― 現在参画いただいている、「DXで中小建設業の省力化・品質向上を目指す車載型生コンプラント」プロジェクトについて教えてください。

今回のプロジェクトを通じて、我々が解決したい建築業界の課題は大きく分けて2つあります。まずはインフラの老朽化です。建築後50年を経過する橋やトンネルなどの社会資本の割合は年々増加しています。弊社の車載式生コンプラント、通称「モバコン」はもともと瓦舗装材を製造するためのものですが、今後の需要の伸びを見込んでインフラメンテナンスで使用する特殊生コンクリート全般を製造できるようなモデルを開発したいと考えています。そして、建設業の深刻な人手不足にも着目しています。いわゆる3Kのイメージが強い建設現場。他業界に比べて賃金も安価であることから、慢性的な人手不足に悩んでいます。そこで、モバコンにAIやIoTの技術を組み合わせることで、作業者1人で特殊生コンクリートの製造ができるようになれば、省人化にもつながると期待しています。

 

― 当プロジェクトは、今まさに走り出したところだと伺っていますが、本学とのプロジェクトに参画してみていかがでしょうか。
本プロジェクトに関して言えば、新製品の開発という部分だけにとどまらず、特許戦略やマーケティングを含む販売戦略など、その後の事業展開についても協力していただけるという点が非常に嬉しいです。「製品を開発して終わり」ではなく、その後も長期的なスパンで、プロジェクトメンバーと共にモバコンをさらに発展させていけるのが楽しみですね。

― 貴社のようにまさに成長拡大フェーズにいるベンチャーにとって、大学との共創にはどのようなメリットがありますか。
一言でいうと、多様なリソースにアクセスできるという点です。例えば、IoTやAIなど最先端の技術の導入は、我々のような小さなビジネスにはハードルが高いものです。その理由として、専門知識を持つスタッフが社内にいなかったり、そもそもマンパワーが不足していたりということもあるのですが、そういうところを教授やURA、研究員、学生など、様々な視点を持った方のサポートを受けられるということは非常にありがたい点ですね。また、現在特許の取得も目指しているのですが、以前は特許に関しても社内のノウハウが不足している感が否めず、弁理士事務所との話し合いもスムーズではありませんでした。今は特許関連に関してもアドバイスをいただいているので、以前よりも前進している感じがします。弊社のようなスタートアップ企業が、中企業、大企業とステップアップしていくためになくてはならない協力機関が大学だと思っています。

 

― 今後はどのような展開をしていきたいとお考えですか。
一企業として、世のため人のためになるような事業を展開していくことは、非常に社会貢献度の高いことだと思っています。エコシステムというのは、弊社の社名でもあり、理念でもある言葉です。美しい未来を次世代へ引き継いでいかなくてはいくために、瓦のリサイクルを通じてエコシステムを確立する、それが私たちの使命だと思っています。そして、それを自社だけではなく、大学を含む様々なアクターを巻き込みながら取り組んでいきたい。みんなで一緒になって取り組んだことが成果につながって、それが社会貢献にもつながっていく、というわくわくするような循環が生まれてほしいですね。

 

― ありがとうございました!

 

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本件に関するお問い合わせ先:
北陸先端科学技術大学院大学 産学官連携本部
産学官連携推進センター
Tel:0761-51-1070
Fax: 0761-51-1427
E-mail:ricenter@ml.jaist.ac.jp
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