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クラヴィコードの手入れ

製作方法の説明ですでに述べたことであるが、楽器の2つの部分が湿度に影響 される。共鳴板(soundboard) と底板(baseboard) である。共鳴板(soundboard) を指示通りに縮め ていれば、乾燥した気候で割れる心配はないだろう。湿気の多い気候では、 ブリッジ(bridge) の終端あたりがわずかにふくらむかもしれないが、問題はない。 共鳴板(soundboard) は薄いので、気候の変化に素早く反応する。一方、底板(baseboard) はゆっ くりと反応し、乾燥した気候が数週間続いた後には縮んでいるのに気がつくか もしれないし、雨が続いた後では伸びているかもしれない。この変化は、鍵盤 の中心部辺りでのみ判別できる。なぜなら隅の方は、調律ピン板(wrest plank) と 低音弦系結横木(bass hitchrail) 、胴横木(belly rail) でしっかりと固定されているからである。唯一 の影響は、乾燥した気候では平衡横木(balance rail) が後ろへずれることにより中心部 の鍵盤レバー(key) が後方へずれること、したがってタング(tongue) がラック(rack) のスロットに引っ かかるようになるかも知れないことくらいである。この問題には、タング(tongue) を 少し削り取って対処できる。

保管場所に関しては、ストーブの近くなど熱源には近づけないようにし、また 直射日光を避けること。また楽器に向かってくしゃみをしてはいけない。弦が 寿命前に切れてしまうから!これは聞いた話でしかないが、本当かもしれない ので、ここに記しておく。それ以外は、丈夫で問題もなく、ハープシコードよ りも調律しやすい楽器である。



Tsutomu Fujinami
Wed Dec 8 11:06:30 JST 1999