研究内容

CG,特にプロシージャルモデリングや質感表現に関心を持っています. また,メディア技術とセンシングデバイスの組み合わせによるインタラクティブな仕組みの開発にも興味を持っています. 今までにない新しい表現手法を生み出すことを目的に, CG技術をコアにその周辺分野の知見を積極的に取り入れています.

指導方針

宮田研究室では,学生が主体的に考えて行動することを大前提にしています. とはいえ,大学院に入学してすぐには,そのような姿勢は備わっていないことが多いので,研究への取り組み方を能動的に学ぶ場として, IVRC(国際学生対抗ヴァーチャルリアリティコンテスト)への参加を推奨しています. IVRCでは,アイデアの創出,企画書の執筆,企画のプレゼン,システムの実装,システムの展示と,「ものづくり」の一連の流れを半年かけて学ぶことができます. 複数人でプロジェクトを推進する半年間で,学生はスキルの向上はもちろんのこと,人間的にも著しく成長します. IVRCへの参画後,主テーマの研究を進めますが,研究テーマに関しては学生から提案されたテーマを基に,長い時間をかけてディスカッションしてより良い方向のテーマへと磨いていきます.教員からトップダウンでテーマを与えることでは,学生は成長しないと考えています.
必要な知識や能力 知識やスキルはたくさん持ち合わせていたほうが望ましいですが,こちらから特別に要求するものはありません.フォトショップやMAYAなどの特定のソフトウェアを使いこなせることも必須の条件ではありません.ただし,研究を進める上での基礎体力として、数学、物理、英語に関してのある程度の能力は必要かと思います.

まず,英語に関してですが,最新の情報を得るには英文が理解できないと結構厳しいと思います.最近では日本語サイトでも最新情報を得ることは可能ですが、原著(ほとんどが英文です)を読んだほうがはるかに深く正しく理解することができます.次に,数学と物理ですが,これらは論文の読解および自分自身が論文を執筆する際に必須のツールです.ツールなしで戦うことはできません.SIGGRAPHなどのトップカンファレンスの論文を何とか理解できるところまで到達できるようになってください.今すぐに,でなくて構いません. 当研究室ではCGやデジタルメディアの応用研究を研究の主軸にしております.したがって,CGやデジタルメディアの知識もあったほうが楽ではありますが,これらの知識は後からいくらでも吸収することができます。技術の進歩は急速ですが,キャッチアップは可能だと考えます. 一番重要なことは,旺盛な好奇心とあきらめない精神力です.知識やスキルがあっても,研究をドライブする情熱がなければ研究は進みません.優れたエンジンや車体があっても,ガソリンがなければ車は走りませんし,目的地が定まらなければ走らせることができないのと同じです.
スケジュール 初年度の上半期は,各自のスキルアップと視野を広げる目的から,原則としてグループによる共同研究を進めます. その研究成果を初年度の下半期に対外発表し,就職活動に役立てます.並行して,各自の興味に合わせた研究テーマの絞り込みを進めます. 次年度は,修士論文の研究に集中し,修了までには最低1回の対外発表を義務付けています.(スケジュールのPDF) 研究テーマの設定 当研究室では,CG,特にプロシージャル(手続き的)モデリングや質感表現の研究を行っています.また,メディア技術とセンシングデバイスの組み合わせによるインタラクティブな仕組みの研究にも取り組んでいます.したがいまして,研究テーマはこれらに関連したものが中心となります.

研究テーマの設定は,学生自身が発案するところからスタートします.はじめから教員がテーマを与えることはいたしません.とはいえ,学部卒業後間もない学生にとって,何が研究テーマになり得るのかを見極めることはハードルが高すぎます.ですので,まずは世界の研究動向を調査することから始めます.自分の興味のある分野やテーマに関する文献調査を行い,その結果を毎週開催しているゼミの中で報告してもらいます.ゼミでは,発表者に,なぜその論文を選んだのか,論文を読んで自分だったらどのように改善するだろうか,などを問います.文献を読みっぱなしにするのではなく,批判的に読むことで理解を深めることを試みています.また,ゼミの中では,SIGGRAPHとSIGGRAPH ASIA,それからEurographicsの3大カンファレンスの早読みゼミも行っています.世界の一流の研究者たちがどのように問題点を探し出し,どのように解決したかなどを俯瞰してみる機会を与えています.これらの文献調査を通じて,自分なりに問題点を発見し,その解決法を考案して研究計画書の骨組みを作ります.4月入学の場合,この骨組み作りは11月中頃から始まり,教員や周りの学生との議論を経て,翌年の3月上旬頃に具体的なものになります.この長い議論の期間は,学生にとっては苦しい期間のひとつではありますが,学習モードから研究モードへと頭を切り替える重要な機会であると考えています.
ゼミ活動 週1回開催するゼミでは,最先端の英語の文献紹介を行い,英文を読み解く力とプレゼン能力の向上を目指します.また,各自の研究テーマの進捗報告も行います.SIGGRAPHとSIGGRAPH ASIA,それからEurographicsの3大カンファレンスの早読みゼミも行っています.それぞれ,カンファレンスの開催前後に行っています. ゼミ以外の活動 M1の上半期は,各自のスキルアップと視野を広げる目的から,原則としてグループによる共同研究を進めています.具体的には,IVRC(学生対抗バーチャルリアリティコンテンスと)やエンタテインメントコンピューティング,インタラクションシンポジウムなどが成果発表のターゲットとなります.その研究成果をM1の下半期に対外発表することで,就職活動にも役立ててもらっています.良い研究成果が得られれば,海外での発表も可能です.これまでに,SIGGRAPHで2件,Laval Virtualで4件の展示発表をいたしました.すべて,M1の上半期で成し遂げた研究成果がベースとなっています.

また,意欲的な学生には,企業などとの共同研究に積極的に参画させ,スキルアップを図っています.
対外活動の場 トップカンファレンスであるSIGGRAPHを目標に、以下の学会やジャーナルをメインの対外活動の場としています。

  • 情報処理学会 グラフィックスとCAD研究会
  • インタラクションシンポジウム
  • 芸術科学会
  • 画像電子学会
  • 映像情報メディア学会
  • 電子情報通信学会
  • 感性工学会
  • 人工知能学会

  • The Visual Computer
  • CG Forum
  • IEEE CG A
  • ACM SIGGRAPH
  • Eurographics

知識科学研究科で学ぶことの意義

CGは,すでに生活の中に深く浸透している基幹技術でもありますので, CG技術そのものは遍在したメディア表現技術・インターフェイス技術としてさらに発展していくことでしょう. 今後重要になることは,ごくあたりまえのものとして使われている技術を,どのような場面に応用して,人々の生活にどのように貢献していくか,を考え抜くことです. 知識科学研究科では,技術偏重の教育ではなく,「人」の役に立つにはどうすればいいのか,どのような問題があり,それをどのように解決するのか, の知識創造を重視した教育を目指しています. 当然のことながら,技術そのものを学ぶことはできますが,それ以上に人間から得た価値を活かし, 新たな価値を生み出すための学びの場が知識科学研究科では用意されています. 知識科学研究科に入学する学生は,バックグラウンドが多彩です.多様性のある学びの場で,多くの人と接しながら自分自身を磨いてほしいと願っています.

研究を通して,学生にはどのような人物になって欲しいか?

自分の頭で考える人物になってほしいと思っています. インターネットの検索エンジンを使えば,必要な情報を簡単に得られる時代です. したがって,単に情報を持っているだけではあまり意味はありません. 自分の手持ちのカード(知り得た情報)をどのように組み合わせて,新たな価値を生み出すのかが重要です. 宮田研究室では,学生とのディスカッションの場で,「なぜそう考えたのか」「なぜそれが必要なのか」を繰り返し問うようにしています. 自分の頭で考えていない場合,一回目の問いで答えに窮することになります. 自分の頭で考える,考えていることを文章として残す,言葉として発する,という出力を繰り返し, その出力に質問やコメントなどのフィードバックがかかることで,より良いアイデアへと昇華していきます. 考えたアイデアが批判されることを恐れずに,積極的に情報発信できる人物に育ってほしいと思います.

主な就職先

日立製作所,綜合警備保障,キヤノン,松下電器産業, リコー,良品計画,池上通信機,jig.jp, ソニー, 大日本印刷, 凸版印刷, コナミ,任天堂,バンダイナムコゲームス,エプソン,インテリジェントウェイブ,SO-NET,楽天,フロム・ソフトウェア,タボット,Yahoo,博報堂プロダクツ,NIFTY,マーベラスなど.