連載 最先端の科学と人類の歴史を学び 社会の分断を防ぐには
「相互扶助は相互闘争と等しく自然の一法則であるが, 進化の要素としては恐らくはより大なる価値を有し, 種の存続と発展とを保障すべき習慣と特質との発展を促し, 同時にまたその各個体に最小の努力をもって最大の幸福と享楽とを得しめるものである.」書籍[3-1]28-29頁引用.
「群れは平常は散存しているが, 野牛やその他の反芻類に見るように, 必要の場合にはただちに団結する. そしてこの団結がさらに進歩すれば, 社会生活の利益を失わずに, ますます個体の独立を保証するようになる. 」書籍[3-1]75頁引用.
「もっとも遠い人類の祖先の原始的団結様式は, 家族ではなくて, 社会, 団体, もしくは種族であったのだ. 」書籍[3-1]101頁引用.
「人類社会の存在は, 前期石器時代と後期石器時代とから発見されるその遺物によって証拠立てられている. そしてこの前記石器時代の原始人と同様な生活状態にある現代の未開人を研究して見ると, 彼等は氏族というごく古い組織によって密接に結束し, そしてこの組織によって弱い個々の力を結合して, その共同生活を楽しみ, またその生活の進歩発達を遂げて来ていることが分る. 人類は自然界の一例外ではない. 人類ともまた, 生存の闘争においてもっと善く互いに助け合うことを知っているものにもっとも善き生存の機会を与える. かの「相互扶助」の大原則に従うものである.」書籍[3-1]138頁引用.
「われわれの紀元の最初の世紀における野蛮人は, (今なお当時と同じ野蛮状態にある多くのモンゴリア人, アフリカ人, アラビア人およびその他の野蛮人のごとく) しばしば好戦的動物とみなされているのであるが, 実は戦争よりも必ず平和を選んでいた.(中略) 野蛮人の最古の法典は, その社会が互いに相戦っている人々の群集ではなくして, 平和なる農業的村落共同体から成り立っていたことを, すでにわれわれに示している.」書籍[3-1]172-173頁引用.
「漁夫, 漁師, 行商人, 建築者, もしくは定住した工匠等, とにかく一群の人々が共通の目的をもって集まってるところには, 必ずこれと同じ団結が生まれたのだ.(中略) その相互の関係において平等であること, お互いにただの人間であること, そしてもしその間に何等のかの争いが起これば, みんなで選挙した裁判官の前でそれを決定することに合意したのである. 」書籍[3-1]187頁引用.
「これらの中世都市が, 敵の封建諸領主の領地に取り囲まれ, 農民を開放することもできず, 自らもまた漸次ローマ流の専制的思想に腐敗されて, ついに十五世紀の終わり頃に, 当時勃発しつつあった武力的国家の餌食になってしまった. 」書籍[3-1]237頁引用.
「『倭人伝』の中には, 「国々に市あり. 有無を交易す」という記事が出てきます. (中略) こうした多様な生産物の交換が広い範囲で行われなくては, 社会が成り立たなかったと考えなくてはなりません.(中略) この時期の交通の基本が海, 川による交通であったことは, 遺跡, 遺物の分布をみてもはっきりわかります.(中略) 日本列島を横断する交通路は, 早くから何本もあったと思われます. 」書籍[3-2]280-281頁引用.
「世俗の縁から離れているから無縁所といわれるので, 土地, 所領に中心を置いて考えますと, 財政的な基盤のきわめて弱い寺のようにみえます. ですから, そのように貧しい寺と見る学者も多いのですけれども, じつは「無縁所」は金融と歓進で寺を経営しているわけです.(中略) 十四世紀の社会の大きな転換のなかで, かつてマジカルな古い神仏の権威に支えられていた商業, 交易あるいは金融の性格が変化してきたわけで, 鎌倉新仏教は, かつての神仏と異なり, 新しい考え方によって商業, 金融などに聖なる意味を付与する方向で動きはじめたのではないかと考えることができると思います.」書籍[3-2]77-78頁引用.
第4話では, それでもなお日本においては江戸時代以降も農民たちで助け合いが行われ, 特に「報徳」という考え方やその実践が 現代社会の問題の解決 にとって重要であることを説明します.
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[3-1] P.Kropotkin (著), 大杉 栄 (翻訳)
『<新装>増補修訂版 相互扶助論』 同時代社 (2017/2/28), ISBN-13: 978-4886838131 |
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[3-2] 網野 善彦 (著)
『日本の歴史をよみなおす (全) 』 筑摩書房 (2005/7/6), ISBN-13:978-4480089298 |