未来社会創造事業 - 材料イノベーション創出

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「ハイスループット実験+データ科学→ゼロからの材料設計」

JAIST NOW No.18 研究室訪問

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キャタリストインフォマティクスプロジェクト(CREST)

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研究概要

谷池研究室では、ハイスループット実験による「探索」、データ科学による「学習」、高精度分子モデリングに基づく「予測」を中心とした研究手段によって、新しいマテリアルサイエンスの実践に取り組んでいます。

探索:

異なる元素や物質を組み合わせることで得られる材料の数は膨大です。マテリアルサイエンスの目標の一つは、特別に優れた組み合わせやうまい組み合わせ方(プロセス)を発見し、より優れた材料を生み出すことです。私たちの研究室では、高度に自動化・並列化された実験装置を駆使するハイスループット実験を行っています。新しい装置やプロトコルの開発を通して実験のスループットを最大化し、浮いた時間を思考や情報収集に当てる研究スタイルを志向します。

学習:

ハイスループット実験は材料の合成条件、構造、性能を紐づけた材料ビッグデータを生み出します。効率的な材料探索を行うためには、良い材料を選出するだけでなく、材料性能の良し悪しがどのような因子と相関しているかを見極める構造性能相関を明らかにしていく必要があります。多変量解析や機械学習を駆使し、全てのデータから余すことなく学習することで物質探索を飛躍的に加速します。

予測:

コンピュータや計算化学の発展によって、現実的な精度でのシミュレーションが可能になってきました。一方で、コンピュータを使った新しい材料の予測(in-silico設計)にはまだまだ距離があります。最も難しい問題は、複雑な材料を代表するような分子モデルを如何に構築するかです。材料実験も行う谷池研究室では、各種の実験結果を統一的に説明可能な高精度な分子モデルを構築し、計算化学の夢であるin-silico材料設計に取り組んでいます。材料実験を熟知した実践的な計算化学を標榜しています。


このような研究手段によって以下の狙いを達成します。

  • 迅速にブレークスルーを見出す方法論を構築
  • 特定の材料に縛られた研究をするのではなく、幅広い材料の中から社会問題へのソリューションを提案
  • 目標に対して、広い視野に基づき研究のアプローチ自体を設計することができる人材を育成
  • 研究成果だけでなく、自身で調査し考える能力を涵養

研究テーマ

触媒インフォマティクス

物質の触媒機能は予測が難しく、触媒研究は勘や経験を頼りにトライアンドエラーを繰り返すスタイルに多くを依存してきました。谷池研究室では、ハイスループット実験によるビッグデータの獲得と触媒インフォマティクスを推進し以下を実現します。

  • 触媒を前知見なしで迅速に発見すること
  • 広大な物質空間から触媒設計指針を抽出すること
  • データ科学による機構解明
  • 難易の高い触媒反応にブレークスルーをもたらすこと

データ駆動型の研究は、規模が大きく均一に分散し、矛盾の無いデータの存在を前提としますが、このような触媒データは世の中にほとんど存在しません。当研究室は、ハイスループット実験のための装置やプロトコルを開発し、これによって類を見ない規模と速度で触媒インフォマティクスに必要なビッグデータを蓄積しています。このようなデータをデータ科学的に分析することで、勘や経験に頼ることなく未知の触媒の性能予測や触媒設計指針の抽出が実現します。また、データ同化させたミクロキネティクスにより触媒反応の機構をデータ科学的に解明します。現在研究している反応は、「メタンの化学変換(酸化カップリング、直接メタノール合成、リフォーミング)」、「排ガス浄化」、「光触媒水浄化」などです。
参考文献: i) ACS Catal. 2021, 11, 1797; ii) ACS Catal. 2020, 10, 921; iii) https://www.alphagalileo.org/Item-Display/ItemId/204086; iv) ChemCatChem 2019, 11, 1146; v) Appl. Catal. A: Gen. 2020, 595, 117508; vi) https://www.youtube.com/watch?v=j_0SrPVzd3Y.

谷池研が開発したハイスループット実験装置の一例です。オリジナルの装置を使って、質の高い実験データを圧倒的な効率で生み出すことができます。
ハイスループット実験によって得た触媒ビッグデータ。ある研究では、3日間で13000点のデータ取得を実証しました。これは、30年間の文献データの10倍の量です。
乱数のみで組成を決定した触媒のデータから、機械学習で触媒設計指針を得ることに成功しました。近い将来、経験や勘に頼らない材料設計が実現するはずです。

触媒の構造性能相関

分子触媒に対する固体触媒の利点は「多機能化を目的とした設計自由度」にあります。役割の異なる成分を固体表面上に集積する多成分化、分子ふるい効果(選択性)と基質拡散(活性)を両立する階層的な形態設計は、固体触媒に特有な設計指針の代表例と言えます。逆に考えると、触媒の多機能性は化学プロセスの様々な制約を同時に満たす上で必須ですが、これは触媒の化学組成や形態の複雑化を伴うということです。ここに固体触媒研究の魅力と難しさの一端があります。つまり、「複雑な構造を自在に設計できれば素晴らしい固体触媒が得られる」はずですが、「そもそも複雑であるが故に構造と性能の因果関係がわからないため」、「経験的なトライアンドエラーに頼らざるを得ない」のです。
私たちの研究室では、固体触媒の構造性能相関を解明し、多機能性の起源に迫る研究を行っています。特に、数ある固体触媒の中でも最も多機能的な一つであるZiegler-Natta触媒を対象に、計算化学による高精度な表面モデリング、構造性能相関の多変量解析、機械学習とX線全散乱を用いた触媒ナノ構造の決定など、様々な科学的手段を用いて研究を推進しています。
参考文献: i) J. Catal. 2014, 311, 33; ii) J. Catal. 2012, 293, 39; iii) ACS Catal. 2019, 9, 2599; iv) J. Catal. 2020, 385, 76; v) J. Catal. 2020, 389, 525.

計算機や密度汎関数法の進展は、材料の高精度なシミュレーションを実現しました。一方で、計算のインプットとしての「分子モデル」は経験的な入力であるため、対象が固体触媒のような複雑な材料である場合、分子モデルの推定が難しく研究のボトルネックとなってきました。私たちの研究室では、遺伝的アルゴリズムと密度汎関数法を併用し、触媒ナノ構造を非経験的に自動決定するプログラムを開発しました。ナノスケールで生じる触媒表面の不均一性が触媒機能に果たす役割を研究しています。
多機能な触媒の構造は複雑であるため、その性能は表面積・細孔径・化学組成といった様々な構造因子が複雑に絡み合った結果として決まります。私たちは、触媒の構造を様々な分析法によって定量化し、性能との相関を多変量解析や機械学習によってモデル化することで、多機能な触媒の構造性能相関を研究しています。活性と選択性あるいは安定性といった、互いに競合しやすい機能を両立する材料設計を理解することが狙いです。
触媒ナノ構造を理解する上で、計算化学的に分子モデルを決めるフォワード・モデリングと実験結果からモデルを逆算するバックワード・モデリングの相補的な利用は必要不可欠です。当研究室ではバックワード・モデリングの手段のひとつとして放射光を用いたX線全散乱実験を利用しています。X線全散乱測定とシミュレーションを組み合わせることで、触媒ナノ構造の定量的な構造決定を達成しました。

コンセプト触媒の開発

谷池研究室では、固体触媒に典型的な金属や金属酸化物といった無機材料以外に、高分子材料、グラフェン・有機金属構造体などのナノ材料を扱った研究を行っています。触媒の研究から得られた最先端の成果は勿論ですが、こうした別の目的で行った研究が全く新しい触媒につながるコンセプトを与えてくれることも珍しくありません。例えば、「均一であるが単機能的な分子触媒」と「多機能的であるが不均一な固体触媒」の長所を組み合わせた概念融合型触媒を提案しました。これは、精密合成した均一な高分子鎖に、規定数・複数種の分子触媒を担持し、ナノサイズのランダムコイル内で協奏的な触媒作用を発現させる、というものですが、まさに触媒化学と高分子化学のマリアージュとも言うべきコンセプトです。他にも、グラフェンの触媒利用が光触媒やファインケミストリーの分野で優れた成果を挙げています。
参考文献: i) J. Catal. 2018, 357, 6; ii) ACS Catal. 2019, 9, 3648; iii) Carbon 2018, 133, 109; iv) Appl. Catal. A: Gen. 2018, 549, 60.

触媒化学と高分子化学が融合して生まれたコンセプト。精密合成した高分子鎖に分子触媒を集積することで、分子触媒の均一性と固体触媒の多機能性を両立できます。高分子鎖は反応溶液中でランダムコイルとして存在し、協奏的触媒作用を発現するナノリアクターとして働きます。
水中の有機汚染物質に対して高い分解能力を発揮する可視光応答型光触媒。切っ掛けは、グラファイトを効率的に剥離させる溶媒の研究で、金属アルコキシドが剥離溶媒として使えることを見出したことです。ここから研究を開始し、二酸化チタンのナノシートがグラフェンを均一に覆ったナノコンポジット構造にたどり着きました。現在、この触媒を用いた海洋プラスチック分解の研究も進んでいます。
酸化グラフェンをリンカー分子を介して積層させた構造を酸化グラフェン構造体(GOF)と呼びます。均一な層間空間を合成場として用いることで、サイズが均一で高度に分散したナノ粒子を得ることができます。こうして得られるナノコンポジット構造は、分子ふるい能を有し、リサイクル性に優れた触媒として様々な反応に使えます。

ポリマーインフォマティクス

身の回りのプラスチック製品を数えるだけでも、我々が如何にプラスチックの恩恵を享受してきたかは明らかです。サーキュラーエコノミーへの転換には、プラスチック製品のマテリアルリサイクルやケミカルリサイクルを推進する必要があり、これには様々な技術改革が必要です。谷池研究室では、ハイスループット実験とマテリアルズインフォマティクスの手法を使ってこの問題に取り組んでいます。
現在、最も研究が進んでいる技術は、ポリマーの耐久性を改善する添加剤配合に関するものです。マテリアルリサイクルの推進には、成形加工や使用時に発生する変性を最小限にする必要があります。熱や光などの継続的な負荷に対して本来強靭ではないポリマーに実質的な耐久性を与えているのが、抗酸化剤をはじめとする各種の添加剤です。私たちの研究室では、莫大な数の添加剤配合を超効率的にスクリーニングする技術を既に確立しています。この技術を使って、既存のプラスチックだけでなく、人工クモ糸やバイオベースポリマーなどの未来のプラスチック材料に耐久性を与えるプロジェクトに参加しています。
参考文献: i) Polym. Degrad. Stab. 2015, 121, 340; ii) ACS Appl. Polym. Mater. 2020, 8, 3319; iii) Polym. Degrad. Stab. 2018, 153, 37; iv) Polym. Chem. 2017, 8, 1049.

開発したハイスループット化学発光イメージング装置。ポリマー100検体の高温耐久性をカメラ録画しながら一括測定できます。光照射による黄変では、288検体一括測定のプロトコルを開発し、僅かな期間で数十年に相当するデータを取得できるようになりました。
ハイスループット実験と遺伝的アルゴリズムを併用した添加剤配合探索です。遺伝的アルゴリズムが配合性能を進化させていく様子が見て取れます。5.5年分の耐久性データを50日で取得し、汎用プラスチックの高温酸化を200時間以上も抑制できる高性能な配合を見つけました。
ビッグデータを解析し、添加剤間の相互作用を可視化したものです。互いに相乗的な添加剤の組み合わせが配合設計には必須であることがわかります。

ポリマーナノコンポジット

ポリマーナノコンポジットとはポリマーに酸化物などのナノ粒子を分散させた複合材料を指します。一般には、ポリマーの成形加工性や低密度などの長所を活かしたまま、ナノ粒子が有する機能をポリマーに付与することが狙いです。しかし、上手な材料設計ができれば、数パーセントのナノ粒子の添加で元のポリマーの物性とは別次元の物性を獲得することができるため、大変期待されています。これには、ポリマーとは化学的な親和性の異なるナノ粒子を高分散させる技術、ポリマーとナノ粒子の界面接合を強化する技術、ナノ粒子の分散と分布を同時に制御する技術などが肝となります。
谷池研究室では、触媒やナノ材料の知見を駆使した独創的なポリマーナノコンポジットの設計を行っています。例えば、相溶化剤などの第三成分を添加することなく、金属や金属酸化物のナノ粒子を低添加量から高添加量まで均一分散可能なリアクターグラニュール技術を発明しました。これらの独自技術を使って、紫外線を通さない透明プラスチック、放熱プラスチック、ポリマーフィルムコンデンサ、透過性に優れたナノコンポジット濾過膜など、様々な機能材料の開発に成功しています。
参考文献: i) Compos. Sci. Technol. 2017, 144, 151; ii) Polymer 2017, 127, 251; iii) Compos. Sci. Technol. 2014, 102, 120; iv) Compos. Part B 2019, 162, 662; v) Polymer 2014, 55, 1012; vi) Colloids Surf. A Physicochem. Eng. Asp. 2021, 614, 126204; vii) 特願2014-265887.

リアクターグラニュール技術とは、多孔性のポリマー粉末にフィラー前駆体を含浸し、これを溶融混練中に高分散したナノ粒子へと化学変換する独自技術です。汎用性が非常に高く、目的に応じて様々な使い方ができますが、共通点は類を見ない分散と機能の高さです。
銀ナノ粒子を高分散させたナノコンポジット。光沢があり、抗菌性や非線形光学特性を示します。
酸化アルミニウム粒子の分散と分布、ポリマーブレンドの相分離を同時に制御したナノコンポジット。均一に分布した熱伝導ネットワークが形成され高い熱伝導率を示します。

ハイスループットな研究を行うための装置・ソフトウェア群

私たちの研究は常に、研究のスループットを最大化するための最適な実験手順を立案することから始まります。既存の装置の組み合わせだけでなく、必要に応じて装置や実験プロトコルの開発も行います。以下では、私たちのハイスループットな研究の例や保有する装置・ソフトウェア群について解説します。

ハイスループット実験例1:触媒合成

触媒研究は、一般的に調製・評価・分析の3つのフェーズで構成されます。ハイスループット合成により調製した大量の触媒の性能をハイスループット実験により評価することで、極めて高速な触媒スクリーニングを行うことができます。さらに、得られた触媒ビッグデータをデータ科学的に分析することで、触媒の設計や機能に関する知見を獲得します。このようにして、触媒研究の全てのフェーズがハイスループット化されます。とはいえ、触媒の合成や評価には様々なプロセスが存在します。谷池研究室では異なるプロセスをハイスループット化する要素技術の開発を行っています。
触媒調製では、ナノ粒子の液相合成、含浸、共沈、水熱・溶媒熱合成などの並列ないしは自動化が達成されています。これらを、自動秤量や各種のワークアップ用装置と組み合わせて使用することで、さらに効率的な合成を行うことができます。例えば、各種の酸化物担体を、液相合成により並列調製した各種のナノ粒子に並列含浸することで、数百個の触媒のライブラリを短期間で構築することができます。

ハイスループット実験例2:触媒評価

触媒評価にも様々なプロセス(反応器の種類)があります。これまでにバッチやセミバッチ式の加熱攪拌反応、バッチ式の光触媒反応、固定床流通式触媒反応のハイスループット化を実現しています。例えば、流通式のハイスループット触媒評価装置を用いて、数百個の触媒の性能を一連の反応条件で評価することで、数万データ点から成る触媒ビッグデータを短期間で取得できます。このようなビッグデータから、機械学習を通して触媒設計や反応機構に関する知見を抽出します。

ハイスループット実験例3:高分子

繊維強化プラスチックやゴム強化プラスチックのような明らかな場合に限らず、製品としてのポリマーのほとんどは化学的に単一なものではなく、異種ポリマー、フィラー、添加剤を配合することで様々な物性や機能を実現しています。ポリマー一つを取っても配合によって生じる組み合わせは膨大であり、ハイスループット実験は配合研究にとって非常に有効な技術と言えます。しかし、これは現実にはほとんど実現されていません。根本的な問題は、同一配合の物性が、ポリマーに異物を混合する際のプロセスに大きく依存することです。
私たちの研究室では、このような問題に対して、スループットの向上を地道に行ってきました。まだまだ途上ですが、並列的な溶液キャスト法による添加物の配合、小型の溶融混練機によるフィラーの配合、得られたサンプルの耐久性・機械的特性・熱伝導性・誘電特性・透明性測定などができます。

代表的な装置・ソフトウェア

精密天秤 (Mettler Toledo Quantos QD205DR)
液体や粉末の自動分注ができる精密天秤。粉末の秤量を大量にこなす際に便利です。
ピペッティングロボット (Andrew+)
大規模な組み合わせ探索の際に日に数百回ものピペッティングが必要なことがあります。ピペッティングロボットはその作業を完全に自動化してくれます。
多目的並列反応装置 (Büchi Synchore Q-101を改造)
Büchi社のSyncoreを改造して作った多目的並列反応装置です。50 mL x 24本の試験管を使って、加熱・還流・攪拌(機械撹拌・Vortex)・雰囲気制御(真空・ガス置換)・蒸留・乾燥・シリンジ操作(追添・洗浄)等の操作が実行可能な非常に汎用性の高い装置です。
自動マイクロ波合成装置 (CEM Discover SP + Explorer 72)
ロボットアームを装備したマイクロ波化学合成装置です。例えば、温度、圧力、マイクロ波強度等が制御された72個の反応を自動で実行することができます。事前に反応条件をプログラムすることで、前夜に仕込んだ大量のサンプルを自動でこなしてくれます。マイクロ波は、分子や官能基の直接的な加熱によって、単純な加熱的効果だけでは説明できない反応加速効果があり、高分子反応やナノ粒子合成において興味深い結果が得られます。
多検体用ホットスターラー (Thermo Scientific Reacti-Therm TS-18823)
市販のホットスターラーです。例えば、10 mL x 27本のバイアルを使った反応実験ができます。基本はバッチ反応用ですが、バイアルの蓋を工夫すれば、セミバッチ式の反応にも対応できます。
遠心エバポレーター (EYELA CVE-3110)
スラリー状態から触媒粉末を直接真空乾燥できます。たくさんのサンプルを処理する場合に便利です。
触媒スクリーニング装置 (オリジナル装置)
研究室が開発した固定床流通式のハイスループット触媒評価装置です。ガス発生器・電気炉・オートサンプラー・質量分析計の連動によって、20個の触媒の性能をプログラムした一連の反応条件で完全自動取得します。2機存在し、2号機は揮発性液体の反応を扱うことができます。日に数千点の触媒データを生成する研究室を代表する装置です。
光触媒スクリーニング装置 (オリジナル装置)
光触媒スクリーニング装置の試作品です。4700個の白色LEDチップにより、50 cm x 50 cmの大面積で550 W/m2の均一照射を可能にしています。バス付きのマルチスターラーセルにより132個のバッチ光反応を並列実行できます。
オペランド化学発光分析装置 (オリジナル装置)
触媒反応を化学発光を通して高速(1秒)かつ高感度(10-100 nmol)に検出可能な装置です。ガス分析と化学発光測定を同時に行うオペランド測定、化学発光スペクトル測定もできます。光電子増倍管をCCDカメラに替えることで反応イメージングにも使えます。
並列フィルムキャスト成形装置 (EYELA特注品)
キャストフィルム成形用の特注品です。温度と真空度の制御ができる4つのチャンバーで計32枚のポリマーキャストフィルムが一度に作れます。
マイクロ混練機 (Xplore MC5)
ポリマーの溶融混練を最小3.5 mLのスケールで実施できる装置です。必要なサンプル量を劇的に低減できるため、合成側のスループットに大きく貢献します。
触媒用化学発光イメージング装置 (オリジナル装置)
近年、ポリマーのリサイクルやリユースを実現するために必要な長期耐久性に注目が集まっています。本装置は、酸化に伴う化学発光のイメージングを通して、ポリマーの高温耐久性を100検体同時測定可能なハイスループット装置です。逐次で数年かかる測定を1-2カ月で完遂する、研究室を代表する装置の一つです。
並列逆浸透膜ろ過装置 (オリジナル装置)
高圧での逆浸透膜ろ過を行う自作装置です。透明な耐圧プラスチックで作られているため軽量で並列化に向いています。ナノコンポジット逆浸透膜のスクリーニング(海水淡水化)に使っています。
その場中・遠赤外分光光度計 (JASCO FT/IR-6600 + Harrick Dewar DER-3-XXX)
1台で温度や雰囲気を制御したその場中・遠赤外分光が測定できる装置です。触媒表面のキャラクタリゼーションに使います。
マイクロプレートリーダー (BioTek Epoch 2)
マイクロプレートリーダーです。例えば、96ウェルのマルチプレート上にキャスト成形した透明プラスチックの黄変の研究に使っています。
高速ガスクロマトグラフィー (Agilent 7890A)
オートサンプラーと低熱容量カラムを装備したガスクロマトグラフは、ハイスループット触媒試験の生成物分析において有用です。
試薬ライブラリ (LMS Harmony R.M)
研究室の試薬ライブラリを管理するためのソフトウェア。自身のPCから試薬の在庫を検索できます。
Materials Studio (BIOVIA, 共用)
量子化学計算、古典計算、統計解析ツール等を備えた総合的な計算科学ソフトウェアです。例えば、材料性能に影響する構造変数が未知の場合の多変量解析、計算化学的に求めた分子構造パラメータを用いた定量的構造性能相関(QSAR)、様々な材料の量子化学計算等に用います。
LabEquipedia (オリジナルプラットフォーム)
装置やソフトウェア、実験等のマニュアルや使い方、トラブルシューティングを管理・共有する自作プラットフォームです。
PyCharm (JetBrains)
Pythonの統合開発環境。様々なデータ可視化や機械学習に使います。

保有装置・ソフトウェア一覧

秤量
精密天秤 (Mettler Toledo Quantos QD205DR)
ピペッティングロボット (Andrew+)

化学合成
多目的並列反応装置 (Büchi Synchore Q-101を改造)
自動マイクロ波合成装置 (CEM Discover SP + Explorer 72)
多検体用ホットスターラー (Thermo Scientific Reacti-Therm TS-18823)

サンプル処理
デスクトップ高速遠心分離機 (AS ONE AS185H)
遠心エバポレーター (EYELA CVE-3110)
電気炉 (FULL-TECH FT-001W)
凍結乾燥機 (Labconco FZ2.5)

触媒評価
触媒スクリーニング装置 (オリジナル装置)
光触媒スクリーニング装置 (オリジナル装置)
オペランド化学発光分析装置 (オリジナル装置)
触媒用化学発光イメージング装置 (オリジナル装置)

高分子の成形加工
並列フィルムキャスト成形装置 (EYELA特注品)
マイクロ混練機 (Xplore MC5)
二本ロール混練機 (Imoto IMC-1104)
ホットプレス機 (AS ONE AH-2003)

高分子物性・試験
EMS粘度計 (Kyoto Electronics EMS-1000)
偏光顕微鏡 (Olympus BH-2)
引張試験機 (Abecks Dat-100)
動的粘弾性測定装置 (TA Instruments Q800-RH)
化学発光分析装置 (Tohoku Electronic Industrial CLA-FS4)
高分子用化学発光イメージング装置 (オリジナル装置)
耐光試験機 (Toyoseiki CPS plus)
耐候試験機 (Atlas SUNTEST XXL+)
熱拡散率測定装置 (Hitachi High-Tech Science ai-Phase mobile 1u/2)
LCRメータ (Hioki IM3533-01)
耐電圧・絶縁抵抗試験器 (Kikusui Electronics TOS5301)
並列逆浸透膜ろ過装置 (オリジナル装置)
原子間力顕微鏡 (Park NX10)

一般分析
その場中・遠赤外分光光度計 (JASCO FT/IR-6600 + Harrick Dewar DER-3-XXX)
レーザラマン分光光度計 (JASCO NRS-4100)
マイクロプレートリーダー (BioTek Epoch 2)
X線回折装置 (Rigaku MiniFlex600, オートサンプラー付)
蛍光X線分析装置 (PANalytical Epsilon 3, オートサンプラー付)
熱重量分析装置 (Rigaku Thermo plus EVO2)
高速ガスクロマトグラフィー (Agilent 7890A)
自動接触角計 (Excimer SImage AUTO 100)
ガスクロマトグラフィー (Agilent 8860 GC)
粒子径分布測定装置 (Microtrac MT3300EX II)
ハイパースペクトル顕微鏡 (HinaLea 4200M)

代表的なソフトウェア
試薬ライブラリ (LMS Harmony R.M)
Materials Studio (BIOVIA, 共用)
SIMCA (Umetrics)
PyCharm (JetBrains)
CHEMKIN-Pro (ANSYS)
DXデータ管理 (Pleasanter)
LabEquipedia (オリジナルプラットフォーム)