受験予定のみなさんへ
入試前から研究はスタートする
研究計画書の書き方

 入試では、今までの実績や研究の経過を説明するほか、最も大切なことは研究計画を提示して、自分の研究に理解を得ることです。また、研究することができる知識やスキルを、受験生として十分持っていること示すことも、研究計画書の重要な役割です。そこで、このページでは、大学院入試で重要な「研究計画書の書き方」を説明することにします。
 なお、本学、北陸先端科学技術大学院大学を受験するのであれば、事前に計画書の作成について教員や先輩の学生たちに相談することもできます。その場合は下記のメールから(敷田)まで連絡して下さい。
                                    (2018年1月1日 修正)

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 研究環境(研究室の様子) 

 研究室の1年

研究計画書を書く目的は?

 入試、特に大学院の入試のために作成する「研究計画書」の第一の目的は、「面接で試験者とコミュニケーションをとる」ことです。ですから、どれだけ内容が素晴らしくても、自分にしか解らない独特の研究計画書を書いては、その目的が達成できません。
 そこで、一方的に自分の優秀さや実力を表明する計画書ではなく、入試の面接者とできるだけ研究を共有し、そこから自分の研究における発展可能性を説明できればよいと考えて研究計画書を作成してはどうでしょうか。

 大事なことは、研究計画書を入試における「コミュニケーション素材と考えることです。もちろん事前審査で計画書は客観的にも評価されると思いますが、自分の将来の研究可能性を面接者と共有する点では同じです。


受け取って困る研究計画書

 研究計画書の相談の際には、「困った研究計画書」をよく見ます。それは、「○○を研究する」とか「○○を調査する」とだけ書かれていて、研究内容(どのような方法や手法で研究するか、またそのプロセス)が書かれていない研究計画書です。

 例えば、敷田研究室を志望する学生には地域のことを研究したいという希望を持つ学生が多くいます。そうした学生は、時として、「観光客を増やすことを研究する」「地域再生を実現する」など、具体的な問題の解決策を提案するという「実践的な内容」を書いてきます。しかし、それは研究ではなく、実践して問題解決た方がよい内容です。わざわざ研究しなくても、明日からでも個人的に努力することができます。

 どうしても「観光客の増加や地域再生がやりたい」、つまり「実践」がやりたいのであれば、大学院ではなく実社会に出て、また自治体やNPOに勤めてするほうが効果的です。大学院で学ぶことはあまりお勧めできません。

 というのは、特定の課題を解決する研究をしたいという強い希望がある場合を除いて、「なぜそうなったのか」「どういうプロセスでそうなったのか」などの理由を説明したり、起きている現象に新しい意味を見いだしたりすることが研究だからです。そのため「実践的」な問題解決の計画書を書いても、研究するよりも、社会で解決を実践してはどうかと思われてしまいます。

 もちろん、上記のように課題の解決自体が研究であるという工学部のエンジニアリングのような分野もあります。しかしその場合には、背景でしっかり課題解決の社会的必要性を説明することが求められます。

研究計画書はどう構成するのか?


 研究計画書は、以下の構成で作成するとわかりやすいと思います。それは、

 研究のタイトル(題目)
 研究の目的
 その研究の背景
 研究の内容と方法
 予想される結果
 研究の特徴  
   
        です。
       
 
 まず、自分の研究の目的が何かをはっきりさせ【目的】、その次になぜこの研究をするのかを書きます【背景】。そして次に、どのようにして研究するのか【研究内容と方法】。最後に【予想される結果】と【研究の特徴】を書きます。

計画書の各論に挑む

 それでは各論に入ります。

■研究のタイトル(題目)
 研究のタイトル、あるいはテーマといってもいいでしょう、はこれから研究計画書で説明すること全体の『キャッチコピー(セールスコピー)』です。つまり「これについて書く」という宣言のようなものです。もちろんタイトルがすべてではありませんが、これでかなり決まってしまいます。そのためには、読み手、面接官が興味を持ってくれそうなタイトルにしましょう。要するに、相手が、「それって面白そう!」と思ってくれるようなキャッチコピー感覚で創るのがコツです。
 
 なおタイトルいったん決めたら変えられないということではなく、入学後の議論や調査、研究の進展によっては変わります。それは入学後に受験生の皆さんが前進したことの証しでもありますから、心配いりません。実際、変わることが多いのが現実です。


■研究の目的
 目的は、「○○を△△にするために■■を××する。」というスタイルで2-3行から最大10行ほどで書いて下さい。

 
 目的は、例えば「地域再生事業に対する「よそ者」の持つ知識の貢献の研究-石川県能美市のゆず生産事業の事例研究」のように書いてみます。また、「地方自治体の地域再生事業において、よそ者の持つ専門知識がどのように効果的な政策実施に貢献しているかを明らかにするために、能美市のゆず生産事業がを事例に、よそ者の参加や持っている知識の寄与条件など知識が有効に使われる条件をインタビューとアンケート調査のデータで考察する」のようにしてもよいと思います。
 
 また、「金沢駅に到着した観光客が、どのように交通手段を選択するか、その判断に影響する知識や旅行経験を、旅行者のインタビューとアンケート調査で考察する」という例もあります。

 さらに「地域の伝統野菜がブランド野菜として評価されるプロセスを、生産統計と農業者の活動の参与観察から分析し、野菜のブランド化に農業者の持つ知識がどのように寄与するかを評価する」などもよいでしょう。

 以上は知識科学的な分析を意識したものですが、もっと一般的に「地域の伝統野菜である加賀野菜の代表である五郎島金時の生産システムを分析し、伝統野菜生産における伝統性とブランド化の推進の関係を考察する」でもいいかもしれません。

 なお、よくありますが、研究すること、そのものが目的にならないようにしてください。つまり、○○を研究する、例えばこの例だと「よそ者を研究する」「伝統野菜を研究する」などという書き方です。

 また、場合によっては、次の背景が目的と一緒になった書き方もあります。例えば「地域の伝統野菜は、重要な地域資源であり、また維持すべき文化であると言われている。しかし一般の野菜に比較し生産規模が小さく、需要も大きくないので、その生産の維持が難しい。そこで本研究では、伝統と近代的生産の維持の両立を実現している石川県金沢市の五郎島金特の生産を例に、この成立の仕組みを明らかにする」などという場合です。


■研究の背景
 背景には大きく分けて、『社会的背景』と『学術的背景』を書きます。
 まず社会的背景は、「なぜこの研究をしなければならないかについて、研究テーマの社会的な重要性や課題を、この研究と関連する事件や評価などを引用して「客観的」に書きます。その際に、できれば最近のできごとを引用や紹介するとよいでしょう。

 ここで客観的とは、事実や統計データに基づいてしっかり論述することです。数字がすべては言いませんが、地域の人口や産業の様子、生産量や生産金額などを書き込みたいですね。逆に、冗長的、情緒的な表現早めましょう。例えば「喫緊の課題である」「高く評価されている」「宣言に謳われている」「官民一体となって進められている」「人口減少が進んでいると言われて久しい」は使わないことが無難です。情緒は客観的な研究推進には意味がありません。

 次に、学術的背景には、これまでの先行研究をレビューし、この研究と同じ内容の研究が今まで成されていないことや、類似研究があるがまだ解けていない部分があるなどを書いて下さい。つまり自分の研究が新規性をもっていて、まだ誰も研究していないようなことが書ければよいのです。また、ここでは先行研究を引用しておく必要があります。

 ■研究の内容と方法
 内容には、具他的な研究方法や想定している調査地、調査対象などを書いて下さい。

 例えば、「○○を調査する」、「△△を研究する」としか書かないのではなく、「どうやって」というふうに書いて下さい。

 研究の対象や事例の場所、相手から、時期、インタビューや調査表調査などの手法など、今の時点の想定でかまわないので書きましょう。ただし、あくまでも研究の目的を達成するのに必要な内容です。研究目的に似つかわしくない方法の羅列はやめましょう。また自分が身につけていない(理解できていない、スキルとして持っていない)統計手法や分析手法を書くのは慎みましょう。

■予想される結果
 予想される成果や結果は、この研究で何が得られそうかを書いて下さい。あくまで予想なので確約はいりません。

 ■研究の特色
 研究の特色には、この研究がユニーク(他ではなされていないような特徴がある)ことを主張して下さい。先行研究と野明らかな違い、計画者本人が実施する際のメリット、得意な点、研究結果が社会に与えるインパクトなど、アピールして下さい。

 ということで、重要な敷田研究室の目指す方向、研究ポリシー

 研究では常に新しいアイディアや考え、いわゆる新たな知識創造を目指します。今までの理論やモデルの当てはめや解釈などより、稚拙でもいいので、自ら考えてモデルや新たな説明を提案することを推奨しています。

 テーマは、地域資源と社会を結びつけることを支援する中間システムの研究、よそ者の地域貢献、働き方の研究を進めています。また、地域が資源を有効に使うための、新しい資源戦略論を導きたいと考えています。以上の研究はバラバラなようですが、地域を維持していくためには相互にリンクする重要な内容です。

 そして、グローバル化の中でも地域が地域社会を維持してゆくことができるように、研究と教育で地域社会に貢献したいと思っています。また、私は社会人で学んできたので、社会人で学びたい学生に入学してもらい、伸びてもらいたいと思っています。そのための労は惜しみません。

敷田研究室の研究における指導方針 フラットandオープン

 基本的な研究室運営方針は、『フラットandオープン』です。

 研究室の活動では、まず「考える力」を研究を通して伸ばします。また学生が自律的に学び、新しいアイディアや提案を意欲的にできるように積極的な発表や表現を推奨します。「On the shoulder of the giant」を忘れず、一方でダイナミックなリープを勧めます。修士論文や博士論文は山登りやマラソンと同じで時間がかかる学びです。教員は学生と併走しますので、安心して完走できます。なお研究を支えるテクニックも十分指導します(例えば、こちら)。

メールアドレス:
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