受験予定のみなさんへ
入試前から研究はスタートする
研究計画書の書き方

 入試では、今までの実績や研究の経過を説明するほか、最も大切なことは研究計画を提示して、自分の研究に理解を得ることです。また、研究することができる知識やスキルを、受験生として十分持っていること示すことも、研究計画書の重要な役割です。そこで、このページでは、大学院入試で重要な「研究計画書の書き方」を説明することにします。
 ただし、私は研究計画書のノウハウを示したいのではなく、意味のある面接にしたいからこのページを創っています。大学院の入学試験の面接は短い時間ですが、受験生と面接員にとっては大切な出会いの場です。受験生は高く評価されることを期待していますし、私たちもそこで素晴らしい資質と出会いたいと思っています。それを実現するための共有の場、プラットフォームが研究計画書です。

 なお、本学、北陸先端科学技術大学院大学を受験するのであれば、事前に計画書の作成について教員や先輩の学生たちに相談することもできます。私(敷田)に相談もできます。そ場合は下記のメールから(敷田)まで連絡して下さい。
                                    (2020年12月10日更新)

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研究計画書を書く目的は?

 入試、特に大学院の入試のために作成する「研究計画書」の第一の目的は、「面接で試験担当(面接)者とコミュニケーションをとる」ことです。ですから、どれだけ内容が素晴らしくても、自分にしか解らない独特の研究計画書を書いては、その目的が達成できません。
 そこで、一方的に自分の優秀さや実力を表明する計画書ではなく、入試の面接者とできるだけ研究を共有し、そこから自分の研究の面白さや可能性を説明できればよいと考えて研究計画書を作成してはどうでしょうか。

 大事なことは、研究計画書を入試における「コミュニケーション素材と考えることです。もちろん、事前審査でも、計画書が客観的に評価されると思いますが、自分の研究の可能性を面接者と共有する点では同じです。
  


受け取って困る研究計画書とは

 研究計画書の相談の際には、「困った研究計画書」をよく見ます。それは、「○○を研究する」とか「○○を調査する」とだけ書かれていて、具体的な研究内容、つまりどのような方法や手法で研究するか、またそのプロセスが書かれていない研究計画書です。面接では「じゃあどうやって研究するの?」と聞かざるを得なくなって、それ以上の展開はありません。。。。

 また、「地域や地域再生を研究したい」とか、「地域に興味がある」という希望を持っている学生の場合、時として、「観光客を増やす」「地域再生を実現する」など、具体的な問題の解決策を提案するという「実践的な内容」を書いてきます。しかし、それは研究ではなく、実践して問題解決した方がよい内容です。つまり、わざわざ研究しなくても、明日からでも個人的に努力することができます。

 どうしても「観光客の増加や地域再生がやりたい」、つまり「実践」だけがやりたいことであれば、大学院ではなく実社会に出て、また自治体やNPOでするほうが現実的です。わざわざ大学院で学ぶことをお勧めできません。

 特定の課題を解決する研究をしたいという強い希望がある場合を除いて、「なぜそうなったのか」「どういうプロセスでそうなったのか」などの理由を説明したり、起きている現象に新しい意味を見いだしたりすることが研究だからです。そのため「実践的」な問題解決の計画書を書いても、研究するよりも、社会で解決を実践してはどうかと思われてしまいます。

 くりかえしになりますが、具体的な問題の解決は、わざわざ大学院で研究しなくても、実社会で実践することを勧めます。もちろん、課題解決自体が研究であるという工学部のエンジニアリングのような分野もありますが、それは背景でしっかりその必要性や解決方法の新規性、解決方法を確立するための課題解明の独創性などを説明することが求められます。

 ただし「アクションリサーチ」のように、関係者と研究する側が一緒に活動し、その中で課題の発見や解決方法の発見をする研究アプローチはありえます。アクションリサーチでは、現場の課題解決がテーマになることもありますので、見た目は実践と変わりがないように思えます。しかし、アクションリサーとの言葉通り、そこにはリサーチが含まれていることが必要です。つまり、課題解決のために、自分の持つ知識やスキルを用いて、研究として分析や考察を行うことが含まれていることが重要です。
  


研究計画書の基本


 研究計画は最低、「Why, How, What」を含んで書いて下さい。
 
 Why-なぜあなた(私)はこの研究をするのか
 How-どうやって研究をするのか
 What-何を研究するのか


 まず、自分の研究の目的が何かをはっきりさせ【目的=What】、その次になぜこの研究をするのかを書きます【背景=Why】。さらに【方法=How】です。以上の3つのうちでは、Whyが一番重要です。しかし、3つどれが欠けても研究計画書としては成り立ちません。

  

研究計画書はどう構成するのか?


 以上のWhat, Why, Howを意識しながら、研究計画書は、以下の構成で作成するとわかりやすいと思います。それは、

 研究のタイトル(題目、テーマ)
 この研究の目的(whatを含む)
 この研究の背景(=why)
 この研究で採用する方法(=how)
 この研究の結果から予想される成果
 研究の特徴  
   
        です。
       
 
 まず、自分の研究の目的が何かをはっきりさせ【目的】、その次になぜこの研究をするのかを書きます【背景】。そして次に、どのようにして研究するのか【研究方法】。最後に【予想される結果】と【研究の特徴】を書きます。

  

計画書の各論に挑む

 それでは各論に入ります。

■研究のタイトル(題目、テーマ)
 研究のタイトル、あるいはテーマといってもいいでしょう、はこれから研究計画書で説明すること全体の『キャッチコピー(セールスコピー)』です。つまり「これについて書く」という宣言のようなものです。そのため、研究目的とペアになっている必要があります。そして、それが読み手に明確に伝わる必要があります。
 もちろんタイトルがすべてではありませんが、これでかなり決まってしまいます。そのためには、読み手、面接者が興味を持ってくれそうなタイトルにしましょう。要するに、相手が、「それって面白そう!」と思ってくれるようなキャッチコピー感覚で創るのがコツです。

 良くいわれることですが、短いタイトルにするようにしましょう(新聞や雑誌記事の見出しは9-13文字で構成しています。ここまで短くなくてもよいですができるだけシンプルアンドショート)にしましょう。もちろん、それでまとまらなければ、多少長くてもかまいません。また、副題をつけることもお勧めです。
   例えば
 「地域再生事業に対する「よそ者」の持つ知識の貢献の研究-石川県能美市のゆず生産事業の事例研究」
 
 なおタイトルいったん決めたらこの先まったく変えられないということではなく、入学後の議論や調査、研究の進展によっては変わります。それは入学後に受験生の皆さんが前進したことの証しでもありますから、心配いりません。実際、変わることが多いのが現実です。


■研究の目的
 目的は、「○○を△△にするために■■を××する。」というスタイルで2-3行から最大10行ほど行で書いて下さい。なお、スペースが十分あり、10行ほど書けるのであれば、背景と方法を簡潔に示唆しておけば、なおよいと思います

  目的は、「地方自治体の地域再生事業において、よそ者の持つ専門知識がどのように貢献しているかを明らかにする。そのために、能美市のゆず生産事業を事例に、よそ者の参加や持っている知識の寄与条件など、知識が有効に使われる条件を、関係者のインタビューとアンケート調査のデータから考察する」のようにしてもよいと思います。
 
 また、「金沢駅に到着した観光客が、どのように交通手段を選択するか、その判断に影響する知識や旅行経験を、旅行者のインタビューとアンケート調査を元に考察する」という例もあります。

 さらに「地域の伝統野菜がブランド野菜として評価されるプロセスを明らかにする。そのために金沢市の五郎島金時の事例を、集落の生産記録解析と実際の農業活動の参与観察から分析する」などもよいでしょう。

 もっと一般的に「地域の伝統野菜である五郎島金時のブランド化と伝統性の保持のバランスを明らかにする。そのために、五郎島金時生産者の意識と生産技術の近代化の関係を参与観察の記録から考察する」でもいいかもしれません。

 なお、よくある例ですが、研究すること、そのものが目的にならないようにしてください。つまり、○○を研究する、例えば「よそ者を研究する」「伝統野菜を研究する」などという書き方です。この場合二は、よそ者の何を研究するのか、伝統野菜の何を研究するのか、whatを明確に、というより絞ってもらうことが必要です。

 また、前述したように、多少の背景を加えた書き方もあります。例えば「地域の伝統野菜は、重要な地域資源であり、また維持すべき文化であると言われている。しかし、一般の野菜に比較し生産規模が小さく、需要も大きくないので、その生産の維持が難しい。そこで本研究では、伝統と近代的生産の維持の両立を実現している石川県金沢市の五郎島金時の生産を例に、この成立の仕組みを明らかにする」などという場合です。

■研究の背景
 背景には大きく分けて『社会的背景』と『学術的背景』を書きます。
 
 まず社会的背景は、「なぜこの研究をしなければならないかについて、研究テーマの社会的な重要性や課題を、この研究と関連する事例や事実(統計データ)などを引用して「客観的」に書きます。その際に、できれば最近のできごとや象徴的な事件、他の同様な主張を引用や紹介するとよいでしょう。

 ここで客観的とは、事実や統計データに基づいてしっかり論述することです。数字がすべては言いませんが、地域の人口や産業の様子、生産量や生産金額などを書き込みたいですね。逆に、冗長な、情緒的な表現はやめましょう。例えば「喫緊の課題である」「高く評価されている」「宣言に謳われている」「官民一体となって進められている」「人口減少が進んでいると言われて久しい」は使わないほうが無難です。作成者や研究者の「情緒」は、客観的な研究の実施では意味がありません。

 社会的背景を描くときのポイントは、テーマに関するデータや事実を入れることです。そうすると皆さんが示すテーマの社会的な意味や重要性を客観的に示したり、面接員と共有することができます。重要だと100回言うより、事実やデータ(数字)を書くことです。そのためには、過去の統計や新聞雑誌の記事、分析結果をしっかり集めて読み混む必要があります。その調査(収集)能力が試されています。

 次に、学術的背景には、これまでの先行研究をレビューし、この研究と同じ内容の研究が今まで成されていないことや、類似研究があるがまだ解けていない部分があるなどを書いて下さい。つまり自分の研究が新規性や独創性をもっていて、まだ誰も研究していないようなことが書ければよいのです。また、ここでは先行研究を引用しておく必要があります。

 なお、先行研究があっても気にする必要はありません。その先行研究がなしえていないことや、カバーしていいない部分、いわゆる「穴」はあるはずです。それを見つけて書くようにしましょう。例えば、「○○によって△△は明らかになっているが、■■までは分析していない」等です。

 ■研究の方法
 内容には、具体的な研究方法や想定している調査地、調査対象などを書いて下さい。もちろん今考えられる範囲でかまいません。

 例えば、「○○を調査する」、「△△を研究する」としか書かないのではなく、「どうやって」というふうに書いて下さい。

 研究の対象や事例の場所、相手から、時期、インタビューや調査表調査などの手法など、今の時点の想定でかまわないので書きましょう。ただし、あくまでも研究の目的を達成するのに必要な内容です。研究目的に似つかわしくない方法の羅列はやめましょう。また自分が身につけていない(理解できていない、スキルとして持っていない)統計手法や分析手法を書くのは慎みましょう。

 あと時々で合いますが、ここに具体的な調査地や調査団体を書いてあるのに、その内容を知らない。つまりとりあえず書いている人がいます。○○町を調査すると書いたら、少なくともその町の人口や、人口構成、産業構造等の基礎情報は見てきて下さい。これには便利な本があります。東京経済新報社の『都市データパック20XX年版』です。高い本ですが、図書館にはあると思います。もちろん、ネット上のデータやその市町村が出している市町村要覧などの統計書は見つけられると思います。
 

■予想される結果
 予想される成果や結果は、この研究で何が得られそうかを書いて下さい。あくまで予想なので確約はいりません。

■研究の特色
 研究の特色には、この研究がユニーク(他ではなされていないような特徴がある)ことを主張して下さい。先行研究と野明らかな違い、計画者本人が実施する際のメリット、得意な点、研究結果が社会に与えるインパクトなど、アピールして下さい。

仕上がったら誰かに読んでもらおう

「さあ仕上がった、提出だ」というところまで来たなら、ほかの書類と一緒に提出準備には入れます。でもちょっと待って下さい。一見、完成度の高い研究計画書は、独りよがりになっていたり、自分しか解らない言葉遣いだったりしている可能性が残されています。そこで、身近な誰かに読んでもらいましょう。専門的なことが解らない人がよいと思います。その人が「うん解る、面白いね」といってくれれば十分なできあがりです。身近な誰かは家族や友人、先輩後輩など、日頃の関係性が重要です。研究にはこうした身近なつながりも重要なのです。

 それと誤字脱字のチェック、これも他者でないと気づきにくいです。誰かに読んでもらい確認してもらうとよいでしょう。もちろん自分でもしっかり見直して下さい。


 

 ということで、重要な敷田研究室の目指す方向、研究ポリシー

 研究では常に新しいアイディアや考え、いわゆる新たな知識創造を目指します。今までの理論やモデルの当てはめや解釈などより、稚拙でもいいので、自ら考えてモデルや新たな説明を提案することを推奨しています。

 テーマは、地域資源と社会を結びつけることを支援する中間システムの研究、よそ者、観光による地域再生などが主なものです。また、地域が資源を有効に使うための、新しい資源戦略論を研究したいと考えています。以上の研究はバラバラなようですが、地域を維持していくためには相互にリンクする重要な内容です。

 そして、グローバル化の中でも地域が地域社会を維持してゆくことができるように、研究と教育で地域社会に貢献したいと思っています。また、私は社会人で学んできたので、社会人で学びたい学生に入学してもらい、伸びてもらいたいと思っています。そのための労は惜しみません。
  

敷田研究室の研究における指導方針 フラットandオープン

 基本的な研究室運営方針は、『フラットandオープン』です。

 研究室の活動では、まず「考える力」を研究を通して伸ばします。また学生が自律的に学び、新しいアイディアや提案を意欲的にできるように積極的な発表や表現を推奨します。「On the shoulder of the giant」を忘れず、一方でダイナミックなリープを勧めます。修士論文や博士論文は山登りやマラソンと同じで時間がかかる学びです。教員は学生と併走しますので、安心して完走できます。なお研究を支えるテクニックも十分指導します(例えば、こちら)。

メールアドレス:
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