Beyond M-BIP

◇M-BIP Stories Vol.3 2018年度 優秀賞 株式会社Actra/九州大学大学院

本学が2017年度から開催している学生を対象としたビジネスアイデアプランコンペティション、M-BIP(Matching HUB- Business Idea Plan Competition)は、今年で5回目の開催を予定しています。これまで全国の学生の皆さんから素晴らしい提案があり、魅力的なプレゼンテーションも行っていただきました。 「M-BIP Stories」では、これまでの歴代の受賞者を訪ねて、M-BIPの感想や将来の夢などを伺いました。彼らの活躍を応援するとともに、これからM-BIPに挑戦する学生の皆さんへのエールをいただきました。

今回は 2018年度 優秀賞 を受賞、現在は株式会社Actra代表取締役の竹内さんにお話をお聞きしました。(以下、敬称略)

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2018年度 優秀賞
「脳科学を用いた集中度マネジメントのできるスタディスペースの構築・提供」
リーダー:竹内 啓人
(九州大学大学院 システム生命科学府 システム生命科学専攻一貫性博士課程2年(受賞当時))
メンバー:安田 雄樹、内海 志織、尾木 竜司、小出 陽世、小山 元暉、吉田 俊慶

概要:既存の脳波計による集中度測定技術を用い「集中度マネジメントのできるスタディスペース(個別学習空間)」を構築・提供する。学習者はその空間で勉強し、それぞれに合った学習方法・環境を見つける。個人が集中度の違いを実感できないという課題を脳波計による数値化という方法で解決し、誰もが自分にあった学習方法・環境を見つけ、集中度の高い状態で学習のできる社会を目指す。

 

現在は株式会社Actraの代表取締役である竹内さん

 

 

― M-BIPに応募したきっかけと、印象はどのようなものだったでしょうか?

竹内 九州大学にはQRECというアントレプレナーシップを支援するセンターがありますが、そこにM-BIPのポスターが掲示されていたのを目にしたことがきっかけでした。僕が福井出身ということもあり、応募してみようと思いました。M-BIPの印象ですが、産学官金のマッチングイベントM-BIPを同時開催しているというところが、他のビジコンと比べるととても特徴的で面白そうだなと思いました。

― 応募テーマはどのようにして決めましたか?

竹内 テーマの脳科学は、中学3年の頃に集中力が無いことを自覚したことで興味が湧きました。自分はなぜ落ち着いて勉強できないのかを考えて、落ち着くためにクラシック音楽を聴いたり、青ペンを使ったりしていました。こういった脳神経科学の研究で解明された知見や技術が社会を下支えする時代が来ると思い、そういった社会にワクワクし脳科学にたどり着きました。大人のADHD(注意欠如・多動症。不注意と多動・衝動性を主な特徴とする発達障害の概念のひとつ)の症状の一つにも落ち着きがないことが挙げられており、集中力を高めたい人や、その予防を願う人に、脳波の面から手を差し伸べることはビジネスの可能性があるのではないかと考えました。

― M-BIPの一次審査通過者後のブラッシュアップはどのように活用しましたか?

竹内 当日までに二回指導をいただきました。実は、自分を含めメンバーは締切りに追われるタイプが多くて、九州から金沢に向かう電車のなかでも担当の方とやりとりをして資料を作っていました。集中力の強化がテーマなのにおかしいですよね(笑)。ビジネスコンテストには何回か出場しましたが、M-BIPは若い人と企業とのマッチングを応援していることを肌で感じることができました。実際のビジネスの現場の声を中心としたブラッシュアップやフィードバックの数々は、その後の自信にもつながりましたね。

― 起業して半年余りが立ちましたが、就職との違いをどう考えますか?

竹内 あらゆる面に対して自分で判断することができため、広い視野を持って判断する能力がより早い段階で必要になり、身についていくのではないかと思います。一方で、経営が安定するまで時間がかかる場合もあるので、収入等いろいろと大変なことが多くあります。ですから何事にも耐える意志が必要になりますが、自分が考えていることができる自由さは大きな魅力ですね。

― M-BIPを考えている皆さんにひと言お願いします。

竹内 大事なのはビジネスコンテストの後の展開にどう食らいついていくかだと思います。自分の実体験をベースに、「どこにこだわるのか」と「何をやるのか」を結びつける必要があります。どんな社会にしたいのか、という明確な目標は不可欠です。そういった実体験との結びつきや目標が強固であればビジネスプランも具体性を帯びてくると思います。

 

 

脳波を測定する機器を装着する竹内さん。展示会等に積極的に参加し、ビジネスチャンスを広げています。

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現在も「脳科学」をテーマとしたビジネスを展開する、若き起業家である竹内さん。「起業」という選択肢がますます身近になっている今、多くの若者のロールモデルとして今後も活躍してほしいですね。
次回は2019年度M-BIP最優秀賞、NEDO賞、JBMC賞を受賞した徳島大学の前田さんのインタビューをお届けします。
今年のM-BIP応募はこちらから。皆さんのエントリーをお待ちしています!